北海道発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
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達人指南
現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。
日本で唯一、球状のマリモが生息する阿寒湖は釧路・阿寒エリアのなかで高い人気を誇る有名観光地だ。湯めぐり、アイヌ文化、周辺散策の楽しみ方を、地域観光のプロにインタビュー。急いで通り過ぎることなく、ぜひ宿泊込みで訪れよう。阿寒湖は時間ごとに異なる表情を見せてくれる。
総面積で約9万500ヘクタールの広大な面積のなかに屈斜路湖、摩周湖、そして阿寒湖を擁する阿寒摩周国立公園。中でも阿寒湖は、火山、深い森、そしてアイヌ文化を強く感じられる土地だ。北海道最大級のアイヌコタン、国内でもここでしか見られない「マリモ」、そして周辺の自然を楽しみ方を紹介。着地型観光プランを数多く企画している現地の達人に、1泊2日で楽しむ阿寒湖・夏のおすすめプランを聞いた。取材・文/たびらい編集部 更新/2016年 6月
[たびらいセレクション]
(あべ まことさん) 阿部 誠さん
阿寒湖温泉の泉質は単純泉、硫黄化水素泉で源泉温度はおよそ38~85℃、刺激が少なく神経痛、冷え性、疲労回復、リューマチ、慢性消化器病、痔疾に効果が期待できる。日帰り入浴もあり、温泉街のホテルの料金は1000~1600円台が目安だ。温泉旅館は400円~500円で入浴できるところが多く、温泉公衆浴場「まりも湯」という風情ある地域の湯どころも。無料で楽しめる手湯や足湯もあるので、リーズナブルな旅を心がける人にもおすすめできる。宿泊施設の数は多く、ホテル7施設、旅館5施設、民宿4施設のほか、ライダーハウスもある。施設によって値段・設備のほかさまざまな特徴があるので、家族連れや一人旅、友達同士など、旅のスタイル別に好みで宿を選ぼう。
阿寒湖は摩周湖・屈斜路湖まで約1時間の距離にある。距離的には近いため、阿寒・屈斜路エリアを1日で満喫してしまおうという人も多いだろう。しかし、この温泉郷は見どころ・遊びどころが多いので、短時間では楽しみきれない。宿泊込みで観光するべき温泉郷だ。「例えば、釧路を朝に出発して昼間に到着したならば、ホテル周辺散策~アイヌ文化を知る~温泉宿でゆっくり~翌朝に散策を楽しんでから遊覧船に乗船。そんな過ごし方がおすすめです」と達人の阿部さん。温泉街には「まりもの里商店街」「幸運の森商店街」「アイヌコタン」という3つの土産物ゾーンがあり、時間をかけて土産選びを楽しめる。地域の名産品やアクセサリーなどを探す場合には温泉街に面した商店街を、大型の木彫りやレリーフ・織物など伝統的なアイヌ民芸品を中心に探す場合には「アイヌコタン」と目的別に歩くのがおすすめ。例年9月初旬から10月下旬までの2カ月間、湖岸駐車場からアイヌコタンまでをたいまつを掲げて行進する「千本たいまつ」も行われている。「たいまつの数には限りがありますが、観光客も飛び入り参加できるイベントなんですよ」。夜の阿寒湖温泉街も魅力的だ。暖色系の照明が店を一軒ずつ照らし出すその明かりのなかに入ると、まるで不思議の国に迷い込んだよう。
到着した夕~夜の時間帯に訪れてほしいのが「阿寒湖アイヌシアターイコロ」。ここは、アイヌの歴史・文化の継承とともに情報発信の拠点となる施設。地域住民と国内外からの観光客との交流の場として活用されており、「アイヌ古式舞踊」や「イオマンテの火まつり」などが上演されている。「アイヌ古式舞踊は国の重要無形文化財に指定された、またユネスコ世界無形文化遺産に登録されている、非常に貴重な踊りです」。すぐ近くの「アイヌコタン オンチヌセ」では、前日までに予約すると、アイヌの代表的な楽器ムックリやアイヌ文様の刺しゅうなどの製作が体験できる(有料/1100円~1600円)。
阿寒湖と聞いて多くの人がイメージするのは「マリモ」だろう。阿寒湖は世界で二カ所でしか確認できていない球状マリモの群生地で、湖に浮かぶチュウルイ島には、マリモ展示観察センターがある。ここは謎に満ちたマリモの生態を紹介する日本唯一の展示施設。 チュウルイ島へは遊覧船や高速船(モーターボート)などを利用しよう。1日に4~11便運航されている遊覧船は、1周約85分(大人1900円)。春はヤマザクラやエゾムラサキツツジ、夏はエゾシャクナゲ、秋は紅葉に彩られた湖を堪能できる。時には木々の隙間からエゾシカがこちらをのぞいていることも。「遊覧船一隻が入れる程度の入り組んだ地形にある景勝地「滝口」があります。ここは、阿寒湖から流れ出る唯一の河川・阿寒川の撮影スポットとして非常に人気の高い場所」と阿部さん。また、2019年7月5日(金)から阿寒湖温泉の豊かな自然とアイヌ文化を活かした、今までにない新たな体験型観光コンテンツ「阿寒湖の森ナイトウォーク『KAMUY LUMINA(カムイ ルミナ)』」がオープン。このプログラムは、阿寒湖温泉の豊かな自然の中をデジタル技術を駆使したさまざまな仕掛けや、自然との共生の大切さを伝えるアイヌの物語を追体験しながら、幻想的に彩られた夜の森を散策できる。
阿寒湖を初めて訪れるという人には、自然散策ルートとして、まずボッケ遊歩道をすすめたい。阿寒湖畔エコミュージアムセンターの裏手に広がる自然性豊かな遊歩道だ。「火山」「森」「湖」の阿寒湖温泉の3つの要素が存分に楽しめる。一周1.5キロメートルの「湖の小道」と一周1.2キロメートルの「森の小道」があり、どちらも散策は一時間ほどが目安。「ボッケ」とは、火山活動で発生した硫気ガスや水蒸気が熱い泥とともに吹き出す泥火山のこと。湖のすぐ脇、温泉街から徒歩圏内に火山スポットがあるのだ。アイヌ語でボッケは「煮え立つ」という意味をもち、硫黄の臭いが強くなる場所もあるので、喉の弱い人は少し注意が必要だ。また、阿寒の温泉街から東へ向かうと、雄阿寒岳登山道がある。ここを進んだ先には湖から流れ出す唯一の河川・阿寒川が。その滝口からさらに奥には「太郎湖」「次郎湖」というふたつの小さなカルデラ湖があり、こちらの観賞もおすすめ。現在、阿寒湖ではガイドと歩くネイチャーツアーが盛んになっている。一度、夏の阿寒の魅力に触れたなら、ぜひ冬にもう一度この湖へ戻ってきてほしい。完全凍結した阿寒湖を歩く「湖上ウォーク」、氷から昇華した水蒸気が再び凍ることによってつくられる神秘的な氷の花「フロストフラワー」を見に行く「早朝散歩ツアー」など、ユニークなツアーが実施されており、夏とはまったく違う世界を体感できるのだ。観光を楽しむならホテル選びも重要!ホテル・宿を見つけて、旅行に行こう!
阿寒湖は自然だけでなく、旅行の折に気軽にアイヌ文化に触れられるエリアだ。おすすめイベントを紹介!
マリモだけでなく、阿寒湖は連泊しながらゆっくりと楽しめる“自然スポット”がたくさん。
阿寒湖から足を延ばせる「オンネトー」のほか、近年人気急上昇中の神秘的な水辺を紹介!
駅や空港から車での移動が利便性がよい。釧路市街、たんちょう釧路空港、女満別空港からのアクセスがよく、車での移動時間は約1時間~1時間30分。ただ、国道240号線、241号線のどちらのルートを使うにしても、朝~昼間の移動をすすめたい。阿寒湖に至る道は一帯を深い森に囲まれており、街灯も少ないので、シカ・ヤマシギなどの野生動物との接触事故が多いためだ。■阿寒観光協会【住所】北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉2丁目6-20【営業時間】5時30分~22時30分【問い合わせ(電話番号)】0154-67-3200【公式サイト】http://www.lake-akan.com/
新千歳空港から道央自動車道(阿寒IC下車)と国道を利用し、約約4時間たんちょう釧路空港~阿寒湖温泉 約60キロ、約1時間女満別空港~阿寒湖温泉 約70キロ、約1時間30分
札幌駅前ターミナル~阿寒湖温泉 約1時間20分たんちょう釧路空港~阿寒湖温泉 約45分釧路駅~阿寒湖温泉 約1時間55分
阿寒のアクティビティプランを検索する釣り・・・全国的にも憧れのスポーツフィッシングのフィールドとして知られる阿寒。人気のアメマス釣りや冬のワカサギ釣りなどが楽しめます。
これぞ神秘。言わずと知れた阿寒湖のまりも
阿寒湖は世界的にも有名なマリモの群生地である。マリモは球状の集合体を形成するが、球状体一つがマリモの一個体単位というわけではなく、この球状体を構成する細い繊維(糸状体と呼ぶ)がマリモの個体としての単位である。よく目にする球状の「マリモ」は、生物学的にはマリモの“集合体”である。多くの生息地では、マリモは糸状体の形態で暮らし、球状の集合体を作らない。見た目は柔らかそうであるが実際には硬い藻であり、実は手で触れるとチクチクとした感触があるのだ。
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