豊かな海が育むとびきりの美味。知床グルメ
とびきり新鮮で美味しい海の幸は、知床旅行の大きな魅力のひとつ。その味わいを支えているのは、実はオホーツクの流氷。そして知床羅臼の前浜に広がる理想的な漁場にあった。
![とびきりおいしい知床の海鮮 知床グルメ]()
北半球で最も南まで漂着するため、奇跡の流氷ともいわれる知床の流氷。その存在は、知床の海の豊かさを支える源だ。この流氷から始まる植物プランクトン、動物プランクトン、魚、海洋生物・・・という命の連鎖。これこそが知床の海の豊かさの原点なのだ。
また羅臼の前浜となるわずか20キロほどの根室海峡には暖流と寒流が流れ込み、その流れも速い。この急流に負けまいと活発に泳ぐ知床の魚は、健康で脂乗りもよいという。そして羅臼の海には最浅部で約40メートル、最深部で2400メートルほどという変化に富んだ魚礁が広がるため、多彩な魚が暮らす北海道でも指折りの漁場となっている。知床には、この豊かな海で穫れるとびきりの海の幸を中心に、食の愉しみが多彩に充実している。
知床は温泉地(ウトロ温泉)もあり、知床グルメを思う存分満喫できる。
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達人が語る 知床グルメの魅力
![ダシの王様、羅臼昆布のうまさが極上のウニを育てる 羅臼の昆布]()
ウニ丼、いくら丼、鮭児やトキシラズ、羅臼昆布に、ホッケ。知床にはおいしい海の幸が数えきれないほどあります。
その美味しい味わいの源が流氷なんです。冬のオホーツクを埋め尽くした流氷は、春の日差しを浴びると付着していた植物プランクトンを爆発的に増殖させます。それをエサに動物プランクトンも大量に発生。これを狙っていろいろな魚が知床の海に集まってくるんですね。魚が集まれば、イルカやクジラ、アザラシの餌場になり、それを目当てにシャチもやってくる。秋には鮭が知床の川に遡上し、それを熊やキツネ、鳥たちが食べる。その動物たちの糞で知床の森に海のミネラルがもたらされ、植物を育て、また川から海に帰っていきます。
この壮大な命の循環があるからこそ、私たちは知床の海からいろいろな恵みをいただくことができるのです。たとえばダシの王様といわれる羅臼昆布がミネラル豊富な知床の海で大きく育ち、その昆布を食べて育つからウニの味が良くなるんですね。そうした自然の理想的なつながりがあるから、知床の海の幸はとびきり美味しい。世界遺産にも登録されるこの素晴らしい自然の価値は、見るだけじゃなく、食べても実感できるんです。
北海道でも有数の漁場が目の前に
![もはやブランドとなった羅臼産の魚たち 羅臼の海産物]()
知床の中でも羅臼の前浜は、江戸時代から漁が行われていた歴史があるほど古くから知られていた漁場です。今でも羅臼産といえば北海道を代表するブランドになっています。実は、羅臼の港に行くとその理由が分かるんです。晴れた日は国後島が見えるのですが、その距離は近い所だと20キロほどしかありません。この国後島と知床半島にはさまれた海域を根室海峡というのですが、20から30キロの幅しかない狭い所に勢い良く暖流と寒流が流れ込み、魚たちはその流れに負けまいと一生懸命泳ぐ。それで羅臼の魚は身が締まり脂も乗って美味しいのです。
また知床半島の先端あたりでは海の深さが2400メートルほどもありますが、付け根にある標津あたりでは水深約40メートルとかなり浅め。深海から、浅い海まで変化に富んだ魚礁にはさまざまな魚が棲みつき、その多彩な海の幸がほとんど羅臼の目の前と言っていいほどの近くで穫れるんです。羅臼が古くからいい漁場として知られていた理由はこの魚との“近さ”にあるんです。
鹿肉を食べて、知床の環境を守る
![知床土産に鹿肉を! 知床の鹿肉]()
海の幸ではありませんが、知床でいま注目の食材が鹿肉です。最近北海道の大手スーパーが鹿肉の販売を始めましたが、増えすぎた鹿の問題は知床だけでなく北海道の全体の問題になっています。他の地域では畑の作物を荒らし、知床では貴重な植物を食べてしまう。また冬になると、木の皮まで食べるので森が死んでしまう。そこで徐々に駆除する数を増やしているのですが、駆除した鹿をどうするかという問題がある。捨てるのにもお金がかかってしまうので、どうにか鹿肉を流通できないかという試みが始まっているのです。
かつては敬遠されていた鹿肉ですが、最近では、臭みやくせも全然感じられないくらいに処理の技術も向上し、首都圏のレストランなどにも出荷されています。知床ではまだ鹿肉を食べさせてくれる店は少ないですが、ジャーキーや缶詰に加工されたお土産なども売られています。また鹿肉のハンバーガーを食べさせてくれるショップもありますから、知床の環境保全のためにも、ぜひ一度トライしていただきたいと思います。