現代

鹿児島県の歴史

菜の花畑と列車
 

戦後、徐々に日本経済が復興し始めると、鹿児島県では米づくりや果樹栽培、園芸、畜産などが奨励され、日本一の生産量を誇る農作物や海産物が次々と登場した。昭和27年(1952)には、トカラ列島がアメリカから日本に復帰し、翌年には奄美群島の復帰が実現した。昭和44年(1969)には、種子島に宇宙センターが開設された。平成に入ると屋久島が世界遺産に登録されたほか、平成23年(2011)には最速1時間17分で鹿児島と博多を結ぶ九州新幹線鹿児島ルートが全通した。

 

奄美群島日本復帰

奄美大島のアオンのリーフ

奄美群島(奄美諸島)は、鹿児島県本土南方の海上に点々と浮かぶ島々(薩南諸島)の南半分を占める。奄美大島をはじめ、加計呂麻島(かけろまじま)、請島(うけしま)、与路島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島という八つの有人島と、48の無人島から構成される。敗戦まもない昭和20年(1945)9月、これらの島々は米軍によって日本本土から分割され、米国民政府の統治下に置かれた。7年後の昭和27年(1952)4月、サンフランシスコ平和条約(日本国との平和条約)の発効により、日本の主権は回復。米国は群島内に自国の基地が少ないことや島民による復帰運動の高まりなどを考慮して奄美群島の統治をやめ、昭和28年(1953)12月25日に奄美群島を日本に返還した。ちなみに沖縄の本土復帰は、その19年後の昭和47年(1972)5月15日。

種子島宇宙センターの設立

種子島宇宙センター

昭和41年(1966)に種子島宇宙センターの設置が決定され、昭和43年(1968)9月17日に高層気象観測用個体ロケットSB-ⅡA9号機ほか3機の小型ロケットが打ち上げられた。その後、昭和44年(1969)にはNASDA(宇宙開発事業団)の発足に伴い、種子島宇宙センターはNASDAの施設に組み込まれた。NASDAとしての初の人工衛星・技術試験衛星ETS-I「きく」を軌道へと送り込んだのは、昭和50年(1975)9月。その2年後にN-I3号機によって打ち上げられたETS-Ⅱ「きく2号」は日本初の静止衛星となり、日本は米ソに次いで世界3番目の静止衛星打ち上げ国となった。種子島宇宙センターには三つのロケット発射施設があり、島内の数カ所に観測所が設けられている。

世界遺産登録

屋久島の白谷雲水峡(世界登録遺産)

世界的にも特異な樹齢数千年の屋久杉だけでなく、屋久島の生物相は、多くの固有種や絶滅危惧の動植物などを含む。また、海岸部から亜高山帯には、典型的な「植生の垂直分布」(標高差で生み出される植生の分布)が見られる。このように、特異な生態系とすぐれた自然景観が保たれていることが評価され、平成5年(1993)に屋久島が、白神山地(青森県・秋田県)とともに日本で初めての世界自然遺産に登録された。遺産地域は、西部林道から山頂部にかけた1万747ヘクタールで、島全体の約21%にあたり、その96%が国有林。九州最高峰の宮之浦岳近くの標高1000~1300メートルには、推定樹齢7200年といわれる「縄文杉」や、同3000年の「大王杉」、同2000年の「翁杉」など、屋久島を代表する巨大な古木が見られる。
⇒達人コラム「屋久島トレッキングで縄文杉に会う」

 

業界初のイモ100%の芋焼酎が誕生

業界初イモ100%焼酎・国分酒造のいも麹芋

“鹿児島の酒”といえば、サツマイモを使ったイモ焼酎。サツマイモのほかに麹(こうじ)には米を使うのが一般的だったが、“麦焼酎は麦と麦麹、米焼酎は米と米麹なのに、芋焼酎はなぜイモと米麹なのか。イモ麹でイモ焼酎を作って欲しい”との一般人からの提案から、試行錯誤の結果、平成9年(1997)12月に霧島市の国分酒造で、麹にもサツマイモを使ったイモ100%焼酎「いも麹芋」が誕生した。新聞をはじめ多くのマスコミに取り上げられ、販売は全国展開。現在、鹿児島では十数社がイモ100%の焼酎を製造している。国分酒造には、ほかにも「純芋」や「安田」などのイモ100%焼酎がある。

 

九州新幹線開業

九州新幹線

九州新幹線鹿児島ルートは、平成16年(2004)に鹿児島中央駅(旧・西鹿児島駅)と新八代駅が部分開通し、新八代駅と博多駅の間には在来特急「リレーつばめ」が運行。博多駅までの全線開通は平成23年(2011)で、これに伴い山陽新幹線との相互乗り入れが開始した。鹿児島中央、川内(せんだい)、出水、新水俣、新八代、熊本、新玉名、新大牟田、筑後船小屋、久留米、新鳥栖、博多の12駅。列車の愛称は「みずほ」「さくら」「つばめ」の三つ。みずほとさくらは山陽新幹線へ乗り入れ、みずほは鹿児島中央駅と新大阪駅を最速3時間45分で結ぶ。また、鹿児島中央駅から熊本駅へは最速42分、博多駅へは最速1時間17分。熊本駅と博多駅間は最速33分。

指宿のたまて箱運行

指宿のたまて箱

平成23年(2011)の九州新幹線鹿児島ルートの全線開業に伴って運行を開始した観光特急、「指宿のたまて箱」。列車は2両連結で、鹿児島中央駅と指宿枕崎線の指宿駅を1日に3往復する。指宿枕崎線は、主に鹿児島湾に沿って走り、海側の席のほとんどは海に向いたカウンター付きの1人用回転イス。本棚のあるソファコーナーやキッズチェア、車いすスペースなどを備える。車内には南九州産のスギやチーク材などが使われており、駅に着くと浦島太郎の竜宮伝説の“たまて箱”をイメージした煙に見立てたミストが、ドアの上部から噴き出す。

×