南に位置する鹿児島県には琉球文化が見られ、アラセツやシバヤなど沖縄言葉を思わせる民俗芸能が受け継がれている。食文化も琉球との関わりが深く、さつま揚げは魚のすり身を油で揚げた琉球料理の「チキアーギ」が薩摩に伝わったもので、鹿児島では「つけあげ」と呼ばれている。島々では、沖縄の黒糖を用いた焼酎作りも盛んだ。また、日本一の生産量を誇るサツマイモは、宝永2年(1705)に薩摩国の前田利右衛門が琉球から唐イモを持ち帰り、自ら栽培方法を見出して薩摩に広めたという説がある。県内ではサツマイモを使用したイモ焼酎の製造が多い。一般的にイモ焼酎は、イモのほか麹(こうじ)には米を用いるが、平成9年(1997)、麹にもイモを使った初のイモ100%焼酎が県内の酒造メーカーから発売され、業界の注目を集めた。鹿児島県は日本有数の農業県で、総産出額は全国4位、九州では1位を誇る。