筥崎宮のパワースポットに
あやかる6つのコツ

世界の幅広い情報を網羅した事典として親しまれているブリタニカ国際大百科事典小項目事典に、明治政府によって決められた社格の高い旧官幣大社として紹介されている「筥崎宮（はこざきぐう）」。別名「筥崎八幡宮」とも称される「筥崎宮」は、大分県の宇佐神宮や京都府の石清水八幡宮と並んで日本三大八幡宮に数えられる由緒ある神社で、おすすめ観光スポットです。創建は不明ですが、古い記録によれば平安時代中頃にこの地に壮麗な社殿が建立され、朝廷から大衆に至るまで広く祈りの場として信仰されてきたことが記されています。

御祭神は応神（おうじん）天皇、神功（じんぐう）皇后、玉依姫命（たまよりひめのみこと）。ご祭神である応神天皇は、八幡神社の御祭神であり、武運の神様である八幡神と同一神。神功皇后は、応神天皇の母と考えられています。

鎌倉時代中期の蒙古襲来（元寇）の際に、筥崎宮の神の力によって俗にいう神風が吹き、未曾有の困難を退けたという言い伝えから、厄除け・勝運の神として厚く信仰されています。この勝ちのパワーあやかって、豊臣秀吉や小早川隆景、そして初代黒田藩主の黒田長政など、名だたる武将が神社に参詣していたのだとか。

筥崎宮の力強さを感じるポイントとして一番に目に留まるのが、大きな檜皮葺（ひわだぶき）の屋根を有する楼門（国指定重要文化財）です。鳥居をくぐればすぐにその雄々しい姿が目に入ります。さらに楼門に掲げられている扁額にも注目です。「敵国降伏」の四文字熟語が書かれた扁額の文字は、醍醐天皇をはじめとした歴代の天皇が同社に納めたと伝わっています。

「敵国降伏」という文字を見ると、戦いに打ち勝つ武神のイメージが湧いてきますが、実はこの4文字に込められた意味がとても興味深いのです。筥崎宮の敵国降伏が表わしているのは、武力で敵国を退けるのではなく、徳の力をもって他の国を鎮めるということ。真の勝利について深く考えさせられる、筥崎宮ならではのシンボルです。この力強い楼門の姿と敵国降伏と綴られた扁額は、筥崎宮オリジナルの御朱印帳にも描かれています。そこに平和の象徴である白い鳩が舞っているのもポイントです。

敵國降伏の言葉に象徴されるように勝運の神として知られる筥崎宮には、地元の有名な野球チームやサッカーチームが戦勝祈願に訪れます。年に1度シーズン前に行われる祈願では、多くのファンも訪れるのだとか。またスポーツ関係者はもちろん、選挙での勝利を祈願する政治家や、経営者・自営業の人々も多く訪れているそうです。“勝運の神”筥崎宮は、多くの人々に人生を勝ち抜くパワーを与えてくれます。

筥崎宮では、厄除け・勝運の神様に参拝すること以外にも、たくさんの見どころや楽しみ方があります。例えば境内に多く点在する個性的なご利益巡り。手水舎の近くには、触ると運が湧き出るという境内でパワースポットNo1の「湧出石（わきでいし）」や、身を清めて災いを祓（はら）うとされる箱崎浜の砂を持ち帰る「お潮井取り」も。また、果てしない年月をかけて大きくなった「さざれ石」は国歌にも登場する縁起物です。

そして筥崎宮といえば御神木の「筥松」もおすすめスポット。御祭神である応神天皇が誕生した際に、胞衣（えな）を筥に入れて埋めた場所に目印として松を植えたのだとか。筥松は神様の誕生にまつわる聖地として、周囲には願掛けの絵馬が飾られています。

手水舎の近くにある樹齢800年を超える大楠も、人々から信仰の対象として大切にされてきました。街中でありながら、自然に触れられる点も魅力。本殿の裏手に行くと、さまざまなご利益を授けてくれる神々が祀られた社があるので、こちらも忘れずにお参りするのがおすすめです。

本殿の右側にある石燈籠は、千利休が奉納したとされるもの。必見です。

筥崎宮ではユニークな祭りも多く行われています。特に有名なのが、「玉せせり」の名でも知られている「玉取祭」。毎年1月3日に、締め込み姿の男性たちが、災いを退ける幸運の玉を取り合う迫力のある祭りで、九州三大祭にも数えられています。新年の寒さを吹き飛ばすような気合の入った光景は、見ているだけでもパワーをもらえそう。

筥崎宮には駐車場がありますが、正月三が日は特に混み合い、臨時の駐車場があったり、交通規制があったりしますので、事前にチェックしていきましょう。

3月と9月の年に2度取り行われる社日祭の行事として有名な「お潮井取り（お潮井汲み）」。この「お潮井取り」とは、筥崎宮の前にある箱崎浜から取られた真砂（お潮井）を自宅に持ち帰るもの。ます。祭り当日には、厄除開運の祈願がされた筥崎宮の真砂が境内に置かれています。ちなみに、日本三大祇園祭のひとつとされる伝統の山笠行事「博多祇園山笠」でも同様の「お汐井取り」の行事が行われています。

もうひとつ人気のお祭りが、毎年9月12日から18日まで開催される「放生会（ほうじょうや）」。万物の生命を慈しみ、殺生を戒め、秋の実りに感謝するという祭りで、博多三大祭としても有名です。7日間の期間中はさまざまな神事が行われるほか、参道には数百軒の露店が立ち並んで多くの人々でにぎわいます。放生（ほうじょう）会では、巫女（みこ）さんがひとつひとつ手作りしたガラス玩具の「ちゃんぽん」や、博多人形師の粋を凝らした数量限定の「放生会おはじき」も授与されるので、こちらも縁起ものとして手に入れてみてください。

また、筥崎宮は花の名所としても知られています。境内にある「あじさい苑」は6月に見頃を迎えるほか、参道にある「花庭園」では冬ぼたんやしだれ桜、百合など四季折々の花を眺めることができます。神域に咲く美しい花々に、ホッと心が癒されますよ。

観光スポットである筥崎宮の周辺には、個性豊かなグルメスポットが点在しています。中でもおすすめなのが、自然薯を使った和食店「筥崎とろろ」です。築100年以上の古民家を利用した同店では、ねばりの強い自然薯を使った御膳やコース料理を楽しめます。 自然薯（じねんじょ）は昔から、滋養強壮によいとされる食品。筥崎とろろでは、そんな優れた健康食の自然薯を自家農園で育てているというから驚きです。自然薯をたっぷりかけたとろろご飯や、マグロ鉄火丼に加えて、牛タンやすき焼きなどをプラスして、しっかりとボリュームのある食事もできます。

また自家製自然薯のとろろは持ち帰りも可能。筥崎宮で健康祈願をした後で、ヘルシーな自然薯料理をいただくのもおすすめです。

筥崎宮のすぐ目の前にある「筥崎鳩太郎（きゅうたろう）商店」も見逃せないグルメスポットです。同店は2016年にオープンした比較的新しい店舗ながら、築40年の建物をリノベーションして古きよき時代の雰囲気を醸し出しています。

メニューは和食をメインとしながら、ポルチーニ茸のソースで食べるおでん御膳などユニークなメニューも。筥崎宮の蒙古襲来（元寇）の伝説に由来する「てつはう餅」などのスイーツも充実しています。さらに世界各国のクラフトビールが飲めるというのも自慢。参拝後のティータイムからしっかりした食事、軽く1杯まで、あらゆるシーンで使えますよ。

さらに、参道にある筥崎宮の神苑「花庭園」の中にも穴場なグルメスポットが。美しい日本庭園を眺めながらフレンチをいただける迎賓館もおすすめですが、もっとカジュアルに利用したいなら、同じく花庭園内にある「筥カフェ」もイチオシです。

店はオープンテラスになっているため、開放的な気分でお茶や食事が楽しめるのが魅力。メニューのハンバーグや季節野菜のカレーなどは、隣接する迎賓館のシェフが監修しており、上品な味わいが特徴です。テラス席の周りにはグリーンが点在していて、春は桜、秋は紅葉を眺めながら休憩できるそう。夏場はビアガーデンにもなるので、季節を通して楽しめます。

レトロな外観をみせるパン屋「ナガタパン」の石窯パンや練乳パンなどの出来立てパンも参拝後の楽しみ。2階のイートーンコーナーで一之鳥居を眺めながらいただくも良し、持ち帰って食べるも良し、お好みのタイミングで味わえます。

博多周辺は、ランチでラーメンやうどん、そばなどの人気の福岡グルメを味わえる地でもあります。筥崎宮の参拝の後は、ぜひお気に入りのグルメスポットで、お腹の中からパワーアップを目指してみてください。