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達人指南
現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。
札幌北東部ののどかな郊外に広がるモエレ沼公園は、世界的彫刻家イサム・ノグチが設計を手がけた都市公園。北海道らしい広々とした風景のあちこちにオブジェが点在する園内を、ゆったりと巡ってみよう。
札幌中心部から車で約30分、札幌市の北東部に位置するモエレ沼公園は、市街地を公園や緑地の帯でぐるりと囲む「環状グリーンベルト構想」の一環として計画された総合公園だ。世界的な彫刻家、イサム・ノグチが基本設計を手がけ、1982年に着工を開始。そこから23年の歳月をかけ、2005年にグランドオープンした。広大な敷地には人工の山や噴水、遊具などさまざまな施設が配置されており、自然とアートが融合した美しい景観を楽しむことができる。“芸術”に敷居の高さを感じる人でも、体全体で気軽にアートと触れあえるスポットだ。投稿日/2015年 9月2日文・構成/北海道の出版社 亜璃西社写真提供/モエレ沼公園北海道ローカル案内役が厳選おすすめホテル特集
[たびらいセレクション]
(みやい かずみ) 宮井 和美さん
現在でこそ美しい景観が広がるモエレ沼だが、もともとは札幌市のゴミ処理場だった場所。そこを埋め立てて公園を造成するという事業が進んでいた時、札幌を訪れたイサム・ノグチが強い関心を寄せ、市から設計の委託を受けたという経緯がある。ノグチが公園の計画に参画し「大地を彫刻する」というコンセプトのもと基本設計を手がけたのが1988年。同年にノグチは亡くなってしまうが、彼の財団による監修のもと、ノグチの遺志を継いで計画は続行される。1995年に一部開園、そこから継続的に部分開園が行われ、2005年の「海の噴水」の完成によって、ついにグランドオープンを果たした。東京ドーム約40個分という約190万平方メートルの園内には、幾何学形態を多用した遊具や噴水などの施設が点在。北海道らしい広々とした自然とアートが融合した、美しい景観を楽しむことができる。「モエレ山」や「プレイマウンテン」が描く緑の稜線や、「モエレビーチ」のキラキラ光る水面を眺めながら、家族や友人と思い思いの時間を過ごしたい。
公園設計に際してノグチが意図したのは、園内に配置された作品をただ眺めるだけではなく、訪れた人が実際に触れたり、感じたりできることだった。「モエレ山」や「プレイマウンテン」は、登って楽しむオブジェであり、頂上から望む景観はもちろん、視点の高さが移るにつれて変わる景色を含めて、すべてが作品鑑賞という考え方だ。また、遊具エリアの「サクラの森」にはノグチ自らがデザインした120基以上の美しい遊具が並び、海辺をイメージして設計された「モエレビーチ」と共に、子どもたちが自然にアートと触れられるスポットになっている。そのほか、モエレ山とプレイマウンテンを結ぶ水と石の広場「アクアプラザ」や、ステンレス製の柱を三角に組み上げた姿が印象的な「テトラマウンド」、音楽や舞踏のパフォーマンスにも利用される「ミュージックシェル」など、触って、体感することでよりアートが感じられる、さまざまな作品が配置されている。
広大な園内を巡るなら、歩くのもいいけど自転車が便利。東口のP1駐車場にはレンタサイクルの貸出所があるので、ぜひ利用してみよう。園内は舗装路が整備されているので、全体を効率よく自転車で見て回ることができ、平坦な道が多いので体力的な負担も少ない。レンタサイクルでまず訪れたいスポットは、モエレ沼公園を象徴するモニュメントでもある「ガラスのピラミッド HIDAMARI」だ。そこから北へ進むと、最大25メートルまで噴き上がるダイナミックな水の彫刻「海の噴水」と、「テトラマウンド」が鑑賞できる。そのまま東側へ道なりに進めば、イサム・ノグチがデザインした遊具が並ぶ「サクラの森」へ。自転車であれば約1時間、徒歩でも2時間ほどで巡ることが可能だ。貸出所ではルートマップも配布しているので、そちらも散策の参考にしてみて。
季節ごとに魅力的な風景が広がるのも、モエレ沼公園の特徴。春にはサクラが咲き、夏はモエレビーチがオープン。秋にはカラマツが黄葉し、冬は一面の雪原でウィンタースポーツなどが楽しめる。さらに、「ガラスのピラミッド HIDAMARI」での各種コンサートや展覧会をはじめ、敷地内ではさまざまなイベントも開催。屋外には最大3万人を収容する「野外ステージ」があるほか、舞踏やミニコンサートといったパフォーマンスには、直径約15メートルの半球形舞台「ミュージックシェル」が使用される。また、2014年の「札幌国際芸術祭」ではメイン会場のひとつにも。モエレ沼公園を含めた国内外約10カ所の樹木に流れる微弱な電流をデータとして取得、音楽に変換するという、坂本龍一氏と山口情報芸術センターのコラボレーション作品『フォレスト・シンフォニー in モエレ沼』などが発表された。
「ガラスのピラミッド HIDAMARI」の中にはフレンチレストラン「L'enfant qui rêve(ランファン・キ・レーヴ)」が併設されている。同店は市内にある有名フレンチ店「モリエール」の姉妹店。店名はフランス語で「夢見る少年」という意味で、モエレ沼公園を駆けまわる少年たちをイメージしてつけられたそう。昼も夜もメニューはコースのみで、ランチは2630円から、ディナーは3680円から(サービス料別途10%)。使用する野菜には委託農家から直送される野菜をふんだんに使用しており、北海道の旬の恵みを味わうことができる。園内側は全面ガラス張りで、店内から眺められる緑豊かな風景も魅力。なお、同店は完全予約制なので事前の予約を忘れずに。同じくピラミッド内には、手軽に利用できるテイクアウト専門の「panier(パニエ)」がある。こちらで軽食やドリンクをゲットして、芝生の上で味わうのもアリだ。観光を楽しむならホテル選びも重要!ホテル・宿を見つけて、旅行に行こう!
遊具や建物、はたまた人工の山など、さまざまな作品が点在する園内でも、ぜひとも鑑賞しておきたい3施設をご紹介。
ガラスのピラミッド内には、オリジナルグッズがそろうショップもある。アーティスティックなおみやげのなかでも、おすすめの商品はこちら!
手軽に食べられるメニューが充実している「テイクアウトショップ panier(パニエ)」。名物のモエレ珠やソフトクリームなど、園内で味わいたい人気グルメをチェック!
札幌中心部からは地下鉄とバスを乗り継ぎ、45分ほど。車であれば国道275号や道道89号を北上し約30分が目安だ。夏期は、大通バスセンターや地下鉄東豊線環状通東駅前などから期間限定の専用バスが運行。
住所北海道札幌市東区モエレ沼公園1-1TEL.011-790-1231開園時間/7時~22時(最終入園21時)
札幌中心部から/≪国道12号・275号・道道89号・三角点通約12キロ≫でモエレ沼公園へ。所要約30分新千歳空港から/千歳インターチェンジ経由≪道央道・札樽道約39キロ≫で伏古インターチェンジへ。伏古インターチェンジから≪札幌新道・伏古拓北通など約9キロ≫でモエレ沼公園へ。所要約50分
地下鉄東豊線「環状通東」駅下車(さっぽろ駅から約6分)、環状通東バスターミナルから北海道中央バス札苗線「中沼小学校通」行などで約25分、「モエレ沼公園東口」下車、徒歩約10分
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雄大な自然とアートの融合
イサム・ノグチの「公園全体を一つの彫刻に」という大きなコンセプトのもと作られたモエレ沼公園。先鋭的なアート作品と自然が融合した姿は、まさに「大地の彫刻作品」と言うべきスポットだ。 また、園内にある各施設も、五感感すべてを使って楽しめるものとなっている。普段、身近に接することの少ないアートの世界だが、イサム・ノグチが残した「大地の彫刻」を見て、そして触れて、体全体で感じてみよう。
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