1. しかりべつ湖コタン フォトジェニックすぎる氷の湖イベントを

達人指南

現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。

しかりべつ湖コタン フォトジェニックすぎる氷の湖イベントを

  毎年、鹿追町・然別湖(しかりべつこ)の湖上に1月下旬~3月下旬の期間限定でオープンする“幻の村”があります。その名は「しかりべつ湖コタン」! 湖の氷でつくられた村の完成度に、あなたはきっと驚くはず。SNS映え必至の冬のイベントを、たびらいがガイドします。

コタンメイン

  標高810メートル。北海道内の湖で1番高い標高に位置する天空の湖「然別湖」。全国有数の透明度を誇るこの湖は、氷点下の訪れとともに徐々に結氷し始め、12月下旬には完全に湖上が氷で覆われる。この湖上に現れるのが、「しかりべつ湖コタン」。建造物の全てが氷と雪だけで作られ、春の雪解けとともに湖に沈んでいく。1月下旬から3月末までの、わずか60日間にだけ現れる、美しく幻想的な雪と氷の世界。

ここを訪れれば、誰もが極寒の地の住人だ。氷で作ったバーでドリンクを楽しむ「アイスバー」、脱衣所も雪と氷で出来ている「氷上露天風呂」など、“今だけ、ここだけ、私だけ”の特別体験ができる。他にも、アイスシアターや氷のグラス作りなどの催しのみならず、クロスカントリースキーや森の散歩、ナイトウォッチング、スノーモービルまで、冬の然別ならではの多彩な自然体験も魅力的だ。

取材・文/かとう けいこ 投稿/平成28年(2016)1月

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石川さん
(いしかわ しょうじ)
石川 昇司さん

しかりべつ湖コタンの達人
  昭和39年(1964)上士幌町に生まれ、子どもの頃から自然豊かな中で育つ。上士幌高等学校卒業後、札幌で8年間を過ごし、ホテルマンなど複数の仕事を経て、十勝の豊かな自然に改めて気付き平成4年(1992)より現職。鹿追町観光協会副会長、然別湖コタン実行委員会事務局長他公職多数。(株)「北海道ネイチャーセンター」チーフマネージャー。

北海道で最も高い標高に位置する自然湖・然別湖

然別湖の冬の風景

  然別湖は大雪山国立公園の特別地域にも指定されている区域で、太古から受け継がれてきた自然が今なお色濃く残る豊かな環境が魅力だ。水温の低い貧栄養湖のため透明度が高く、平成25年(2013)7月の調査では、19.4メートルの透明度を記録した。これは現時点での国内最高の透明度。また、清く澄んだ水の中で、数万年にわたり進化を遂げてきた魚・ミヤベイワナが生息しているのは、地球上で然別湖だけ。火山活動がもたらした大きな変化の中で、奇跡的に誕生した湖と独特な自然環境が広がっている。

冬時期、朝の最低気温はマイナス25℃前後になり、日中でもマイナス10℃前後。真冬の自然を体全体で感じられる場所だ。冬には完全結氷し、氷の厚さは最大で1メートルに達する。湖は風の影響などを受けるので、氷上の積雪は平均40センチほどだが、多いところでは2メートルの雪が積もる。

湖に降り積もった雪でつくられる「イグルー」

コタンのイグルー内部

  “雪と氷の村”を表現するしかりべつ湖コタンは、昭和55年(1980)に始まった。期間中4万人ほどの来場者が訪れ、独特な世界観を楽しんでいる。南に暮らす人にとって雪や氷は美しい存在に思えるはず。しかし、北海道に暮らす人々の冬の生活にとって「寒さと雪」は厄介な現象だ。このふたつを冬の恵みととらえ、楽しむために活用しているのがしかりべつ湖コタン。訪れる人も少なく、閑散とした真冬の然別湖に自由な場所を作り上げたい。そんな、地元の若者たちの熱い想いで始まった冬の幻の村づくりは、35年を超える歴史あるイベントに成長した。

このイベントが独特なのは、湖上に降り積もった雪を固め、数万個の雪のブロックを作り、積み上げて巨大な建物を作るというもの。川の水をくみ上げて噴霧し凍らせる、上川町の「層雲峡氷瀑まつり」や支笏湖の「支笏湖氷濤まつり」とはまた異なる然別湖ならではのスタイルだ。 この建物の名前は「イグルー」と言う。アラスカ先住民のイヌイットの氷の家になぞらえたものだが、北方民族の生活の知恵に敬意を払いつつ、美しく大きく進化したしかりべつ湖コタンのイグルー群を楽しんでほしい。実は然別湖のブロックの作り方や積み上げ方、デザインはオリジナルだ。とくに巨大なドーム型のアイスバーは年々進化しており、一度として同じものはない。

世界にひとつだけの絶景湯、湖に出現する「氷上露天風呂」

湖上露天風呂

  しかりべつ湖コタンには、さまざまな“建造物”がある。アルコールなどのドリンクを楽しめるアイスバーのほか、大勢で盛り上がれるコンサートホール、氷の造形を楽しむアイスファクトリー。さらには湖上宿泊体験のできるアイスロッジなどもある。

特に、湖畔に出現する「氷上露天風呂」にはぜひチャレンジしてみてほしい。これは世界でもここだけ、冬の然別湖でしか体験できないプログラム。男女別で3人ほど入れるスペースがあり、真正面の「くちびる山」や、一面の白い世界を独り占めした気分になれる。お湯は黄色い褐色なので、人目を気にすることがない。ただ、女性は水着を着用する方がさらに安心だ。また、入浴時間は「混浴利用」「男性専用」「女性専用」と時間帯によって分かれているので、どうしても混浴が苦手という女性は夜20時以降に入ればOK。

この「氷上露天風呂」は、岸から100メートル沖合、まさに湖の“ど真上”に設置されている点にも注目。雪と氷に囲まれた静かな森の中の湖で露天風呂に入るという非日常は、旅の思い出として特別な経験になること間違いなしだ。

■氷上露天風呂
【混浴利用時間】6時30分~18時
【男性専用時間】18時~20時
【女性専用時間】20時~22時

絶好のロケーションにある然別湖温泉を楽しもう

コタン露天風呂

  大雪山国立公園の中に存在する湖周辺は第2種特別地域に指定されており、原則として自然を改変してはいけないルールになっている。そこで、然別湖の湖畔には「然別湖畔温泉ホテル風水」と「しかりべつ湖福原」という2軒の温泉旅館が存在するのみ。

ホテル風水は、ほぼ全室が湖畔に面しているので、寝る時にカーテンを閉める必要がないほどの絶好のロケーションだ。また、露天風呂からは昼間、静かな湖畔と「くちびる山」がすぐ近くに見える。しかし、本当のおすすめは夜の露天風呂。星の明るさだけで入ることができ、満天の空の下で湖畔と風呂、そして自分が一体になったような感覚になれるはず。

福原は、ホテル風水よりも道路一本山側に建っているため、9階ラウンジのレイクビューが素晴らしい。このラウンジの山側の窓側も、雪の積もった針葉樹をすぐ間近に見られ、森の中でお酒を飲んでいるような特別な空間だ。こちらの温泉は、内風呂の広さと豊かな湯量が特徴である。

2軒の温泉旅館の源泉は青みがかった鈍色で鉄分を多く含んでおり、空気に触れて茶色のにごり湯に変化する。柔らかい手触りの含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉(低張性中性高温泉)で、源泉掛け流し。神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、慢性消化器病、慢性皮膚病に効くと言われている。“冬のコタン”を満喫した後は、こちらの温泉に入るのがおすすめだ。

[たびらいセレクション]

しかりべつ湖コタンと一緒に満喫!おすすめ観光情報

鹿追町の“ファームレストラン”3選

  十勝の食材、とくに農産物グルメを堪能したい!そんな人におすすめなのがファームレストランだ。

おすすめポイント
  然別湖のある鹿追町(しかおいちょう)にはファームレストランが多いのも特色だ。これは農家が自家生産したもの、地域で生産されたものを調理・提供するレストランのこと。鹿追町のファームレストランはカントリー調のものが多く、木造コテージやオープンデッキでゆっくりとランチを楽しめる。馬や牛、手入れの良い芝生や牧草地帯が見える中での解放感にあふれた食事は、ゆったりとした時間の流れとともに、本当の贅沢さを味わわせてくれる。

鹿追町のアートスポット3選

  鹿追町は美術館がたくさんあるのも特色。コタン観光の折に、ぜひ立ち寄って。

おすすめポイント
  十勝・釧路地方を中心に展開する食品スーパー「福原」の創業者である福原治平のコレクションを一般に公開する「福原記念美術館」「ミネルヴァ美術館」が鹿追町にある。特に「ミネルヴァ美術館」は然別湖畔のホテル福原内にあるので、しかりべつ湖コタンを観光した後、宿泊しながら楽しめる。

近隣で開催!十勝・冬のイベントとおすすめ情報スポット

  十勝地方で楽しめる人気のウインターイベント情報を紹介。

おすすめポイント
  300以上のオブジェが夜の雪原に幻想的に浮かび上がり、イルミネーションが点灯する「彩凛華」は、十勝川温泉に飛来する白鳥にちなんだイベントで1月末から3月初旬までのロングランのイベントだ。「上士幌ウインターフェスティバル」は2月に開催される全国5カ所のバルーンイベントのひとつ。道内ではほかに「富良野バルーンミーティング」(中富良野町)、「ゆめ気球とかち」(帯広市)、「わっさむ越冬キャベツバルーンミーティング」(和寒町)が開催される。

観光に便利。十勝のおすすめホテル情報

編集部の視点
  帯広市内を流れる十勝川のほとりに広がる「十勝川温泉郷」には、植物性の有機物が多く含まれたモール温泉が湧出。入浴後、しっとりした肌ざわりを感じられるこの温泉は、「美人の湯」とも呼ばれています。夫婦・カップル旅行にもぴったりの十勝川温泉、そのおすすめ施設を紹介します。

しかりべつ湖コタン(然別湖)への交通アクセス

  冬場、上士幌町にあるぬかびら源泉郷・糠平湖と然別湖をつなぐ道道85号線は通行止めとなる。車でアクセスする場合は、札幌・旭川・帯広各方面から主要国道を利用するのがおすすめだ。

しかりべつ湖コタンの開催情報

  【会場・住所】北海道河東郡鹿追町北瓜幕 然別湖コタン
【開催期間】平成30年(2018)1月27日(土)~3月21日(水)
【開催時間】イベント全体:6時30分~22時
      アイスカフェ:10時~17時
      アイスバー:20時~22時
      氷上露天風呂:6時30分~22時(18時~20時:男性専用、20時~22時:女性専用)
      アイスめいろ:6時30分~22時
【問い合わせ(電話番号)】0156-69-8181(然別湖コタン実行委員会)
【公式サイト】 http://www.nature-center.jp/kotan/

車(レンタカー)で

  【札幌市街地から】道東自動車道を利用し「十勝清水」ICで下車。国道274号線を経由し、約210キロ、約3時間。
【帯広空港から】帯広・広尾自動車道(無料区間)を利用し「芽室IC」で下車。道道54号・133号・国道274号線を経由し約80キロ、約1時間30分。
【旭川市街地から】国道452号・38号線を経由し、約155キロ、約3時間。

バスで

  JR帯広駅から北海道拓殖バス(新得・鹿追・然別湖線)を利用。「然別湖畔温泉」下車
【料金】
片道1650円、往復2900円
※しかりべつ湖コタン開催期間中は「帯広~然別湖間」無料

JRで

  JR石勝線「新得駅」が最寄駅
※1日数本の然別湖行きバスが運行しているので、時間を確かめて利用してほしい。
※バス時間の目安は約1時間(距離は約40キロ)

然別湖のQ&A

Q 然別湖はパワースポットと聞いたことがありますが、本当ですか。
A 大地の力がみなぎる然別湖は、いつの頃からかパワースポットと呼ばれるようになりました。湖の中心には弁財天を祀った弁天島があります。少し歩けば豊かな自然があり、森の木々のエネルギーを吸収でき、癒しの効果があります。
Q 然別湖周辺ではどんな動植物と出会えますか。
A 然別湖を取り囲む森は、厳しい気象条件下でも生存が可能なエゾマツやトドマツ、ダケカンバなどの樹木を中心に形成されています。この森には、日本最大のキツツキであるクマゲラを筆頭に、ナキウサギ・シマフクロウといった希少生物のほか、オジロワシ・エゾシカ・キタキツネ・エゾクロテン・エゾリス・モモンガなどが暮らしています。また、湖の北側から澄んだ水を供給し続ける清流・ヤンベツ川は、ミヤベイワナやサクラマス・ニジマス・ワカサギにとっての貴重な産卵の場でもあります。
Q 夏の手軽なアクティビティをおしえてください。
A 湖の氷が解けた初夏から秋にかけての遊覧船がおすすめです。早朝6時と夜の20時に出航するモーニングクルーズ、ナイトクルーズではほかの湖とは一味違うオリジナルな楽しみ方ができるはず。それぞれ航行時間は約40分。静かに進む船の上で、朝は山の香りを、夜は満天の星を味わってください。

いざないの一枚

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