宮崎発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
更新:2019年02月20日
近年スピリチュアル・スポットとして人気を集める「高千穂」。柱状節理(ちゅうじょうせつり)の渓谷・高千穂峡で知られると同時に、日本の滝百選にも選ばれた真名井の滝や、神話に由縁のある「おのころ島」や「月形」「鬼八の力石」など、ここでしか見ることのできない独特な景観が広がっています。高千穂峡は歩いても、ボートでも楽しめる景勝地。高千穂の魅力と楽しみ方を紹介します。
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ローカル案内役 藤田 秀樹(たびらい編集部)
福岡県出身。九州内の食べ歩きスポットを探し続ける編集スタッフ。カメラ片手に友人・知人を巻き込んで観光スポットにも出没。
高千穂峡は、1934年に国の天然記念物にも指定された五箇瀬川峡谷(ごかせがわきょうこく)が見られる宮崎でも指折りの観光スポット。九州のみならず、日本を代表する景勝地としても知られています。「日本の滝百選」にも選ばれた高千穂のシンボルともいえる「真名井の滝(まないのたき)」や、岩体に入った柱状の割れ目が形作る独特の渓谷美に圧倒されます。その昔、お隣の熊本県・阿蘇の火山活動により噴出した火砕流が、宮崎県北部までのびる五ヶ瀬川(ごかせがわ)に沿って帯状に流れ出し、急激に冷却されたことによって、切り立ったような崖の峡谷になったといわれてます。 長い年月をかけてさらに侵食され、現在は深いV字型の美しい峡谷を見ることができます。日本神話ゆかりのスポットや戦国時代のエピソードも残っており、見上げれば歴代の橋が先人たちの労を偲ばせます。神話に由縁のある「おのころ島」や「月形」「鬼八の力石(きはちのりきいし)」など、高千穂峡の遊歩道のみで高千穂の魅力を十分に感じることができるスポットといえます。また、夏は新緑やライトアップ、秋は紅葉など1年を通して移り変わる自然を間近で感じることができる高千穂峡。ぜひ一度訪れてみるべきスポットです。
高千穂の見どころは、何といっても自然が作り出したその壮大な景色。 まず注目してほしいのはその絶壁の長さ。大昔に阿蘇山の火山活動によって生み出された断崖は、平均80メートル、高いところでは100メートルにも及び、東西には約7キロメートルに渡って延びています。自然が作り出した絶景には、ただただ圧巻。柱状節理(おうじょうせつり)と呼ばれる切り立った岩壁と、その表面を覆う筋状の模様でできた断崖「仙人の屏風岩」は迫力満点です。 高千穂を象徴する風景として有名なのは、日本の滝百選にも入っており、約17メートルの高さから水が流れ落ちる「真名井(まない)の滝」。天孫降臨の際、この地に水がなかったことから、天村雲命(アメノムラクモノミコト)が水種を移した「天真名井(あまのまない)」から湧き出る水がこの滝の水源とも伝えられています。 夏の間は期間限定でライトアップもされ、遊歩道と合わせて幻想的かつ神秘的な美しい景色と雰囲気を楽しむことができます。真名井の滝の上方には、広々とした「おのころ池」や「玉垂の滝」があります。おのころ池はイザナギノミコトとイザナミノミコトが生み出したとされており、その中心には神話の中で日本初の国土となる小島の名に由来する「おのころ島」が。そしてこのおのころ池と真名井の滝の水源が「玉垂の滝」。この湧水は、高千穂峡から1.5キロほど北東にある槵觸(くしふる)神社近くにある神話ゆかりの泉「天真名井」と同じ水脈であると信じられており、これが滝の名の由来でもあります。 玉垂の滝付近は御神域であり、一帯の町の水源地となっているので、湧水に直接触れることはできませんが、おのころ池の裏手の小さな泉に玉垂の滝の水が引かれています。ぜひ清水を汲んで、その神聖な水を味わってみてください。 近くには、高千穂郷一帯で悪さをしていた鬼八が力試しで投げたといわれる「鬼八の力石」などもあり、神話や伝説に由縁のあるスポットが数多く存在しています。 高千穂峡をもっと楽しむなら、「貸しボート」の利用がおすすめ。上から勢いよく流れ落ちる真名井の滝も荘厳な景色ですが、ボートから見上げる滝もまた迫力満点。船に乗って漕ぎ始めると、滝付近を友遊と泳ぐカモたちも一緒に出迎えてくれます。貸しボートの利用は8時30分~17時まで(最終受付は16時30分まで)。1隻2000円で乗ることができます。時間は30分で10分ごとの延長も可能。人気のため、数時間以上の列ができることも。訪れたい場所がたくさんあるなら、一足先に訪れておくことをおすすめします。ボートは大人3人乗りですが、未就学児の場合は4名でも乗船が可能です。恋人と、友達と、家族でも。ボートに乗って、ぜひその絶景を間近で体感してください。 雨などの天候不良の際はは運行見合わせの場合もあるので事前にチェックを。高千穂町観光協会のホームページで現在の運行状況が確認することができます。(公式ホームページ:http://takachiho-kanko.info/sightseeing/taka_boat.php) 高千穂には、この他にも神話や伝説にゆかりのあるスポットがたくさん。自分たちだけで自由に回るのももちろん良いですが、高千穂観光をより充実させたい方は、ガイドさんが自分たちの車に乗って、おすすめの観光コースを案内してくれるというユニークなプランも。高千穂を知り尽くしたガイドさんの解説を聞きながらの旅も、より楽しむためのひとつの方法。 天野岩戸神社や高千穂峡を巡る「基本コース」や、神社をメインで周る「神社巡りコース」などの中から、自分の旅に合わせて選ぶことができます。自分たちで決めたオリジナルコースを案内してくれる「希望コース」も。金額は3時間1人のガイドがついて4000円から。ぜひ利用して、より深い高千穂の旅を楽しもう。 また、連休などの混雑時には、広い高千穂峡内をシャトルバスが走ります。運行予定日は決まっているので、これも高千穂観光協会のサイトで要チェック。人気の観光地高千穂には、利用者に合わせたサービスも満載。旅に合わせて利用し、「高千穂峡」をたっぷりと楽しんで。 美しく壮大な高千穂の峡谷をしっかりと写真に収めておきたい方も多いはず。訪れたらぜひ押さえておきたい「フォトスポット」を少しご紹介。まずおさえておきたいのは「真名井の滝」。特に絵になるのは遊歩道から見える景色。滝が一番美しく見えるベストポジションなので、ぜひその幻想的な姿を写真で切り取って。 また、遊歩道の途中にあり趣の違う3つのアーチ橋が一望できる「高千穂三橋(高千穂三代橋)」も。ひとつの峡谷の中の1か所に、3本ものアーチ橋を見ることができるのは全国でもここだけだだそう。珍しいその景色も、それぞれの感性でぜひ写真に収めてみてください。
長い遊歩道の途中でお腹が空いたら、高千穂の名物料理を楽しむことができる「あららぎ乃茶屋」へ。 注目は、高千穂の池でとれた新鮮なニジマスを使った「あららぎ定食(1430円)」。ニジマスに加えて山菜煮しめ、そば吸物、チキン南蛮がセットになった人気の定食です。同じく高千穂名物である「鳥の丸焼き(3400円)」もぜひ。4時間以上かけて焼き上げる丸焼きは、豪快ながらも繊細な味付けで地元の方も良く食べにくるそう。持ち帰りも可能なので、高千穂観光の後にもその名物を味わうことができます。おいしい名物料理と供に味わって欲しいのは竹筒(かっぽ)に日本酒を入れて飲む「かっぽ酒(1090円~)」。かっぽに酒を入れて焚火で沸かすと、竹の油が酒に混ざって独特の風味になるそう。竹のさかずきで飲むお酒もまた格別なこと間違いなし。店内からは高千穂峡の景色が見え、大自然の中での食事が楽しむことができます。高千穂に古くから伝わる風習と名物に触れながら、趣ある時間を過ごしてください。 また、半分に割った長い竹筒のテーブルが目を引く「千穂の家」は、昭和30年代に「日本で初めてそうめん流しを行った」というそうめん流しの始まりの店。季節に関わらず、一年中そうめん流しを楽しめる全国でも珍しいお店です。そうめん流しには、すぐ近くを流れる「玉垂の滝」の清水を使用。竹筒のほか、円卓で回すそうめん流しもあり、ファミリーや多人数でそうめん流しを楽しめます。他にも炭火で焼くヤマメや煮しめにかっぽ酒など、高千穂名物も充分に味わうことができます。 名物料理でお腹いっぱいになったらぜひ一度立ち寄って帰って欲しいのは、高千穂峡のすぐ側にある「高千穂淡水魚館」。コンパクトながらも本格的なラインナップのこの水族館は、五ヶ瀬川水系の淡水魚のほか、ブラジルやアフリカに生息する熱帯淡水魚など約100種類がそろっており、隣接する「玉垂の滝」の湧水を利用して飼育。全国的にも珍しい淡水魚専門の水族館です。 高千穂峡の観光も終盤。思い出を持ち帰るための「お土産探し」は、かやぶき屋根が趣深い「高千穂土産処 花かぐら」で。高千穂の定番のお菓子や加工品に加え、竹や木の小さな玩具や雑貨も並んでいます。周りには、飲食店が軒を連ねているので、食事と合わせて気軽に立ち寄ることもできます。 地元ならではの名物を買って帰りたい、という方には、高千穂峡近くにある自家製の漬物や加工品が評判の「ひやくしようや」がおすすめ。運営するご夫婦が製造から販売まで行っており、素材もなるべく自分たちで収穫したものを使用。着色料や保存料は一切使っていないというお手製の漬物は、ほとんどが380円というリーズナブルな価格で購入可能です。 高千穂峡の観光エリア内でも充分満足できそうですが、周辺にも注目のスポットが数多く点在しています。 高千穂峡からすぐの場所にあるのは、元気なおばあちゃんが切り盛りする店「そば処 銀橋」。お店の看板メニュー「夜神楽そば」に加え、ふっくらと柔らかくと大ぶりのうなぎを使った「うな重(そば付き )」は、コアなファンも多い人気メニュー。 旅の疲れに、しっかりとスタミナをつけたいという人には高千穂大橋のたもとにある焼肉店「ジパング」もおすすめ。備長炭の七輪で焼く上質な牛や豚、鶏、内臓系の珍しい部位など、幅広い種類の肉を味わうことができます。 お腹が満たされたら、最寄りの名スポット「高千穂神社」にも。高千穂峡から車で約5分ほどの距離にあり、御利益は縁結び・夫婦円満・諸願成就・農産業・厄祓いなど。また、「高千穂の八十八社の総杜」ともされており、約1900年前に創建された長く深い歴史を持つ神社で、神社本殿は所蔵品の鉄造狛犬一対と共に国の重要文化財にも指定されています。 鉄造狛犬一対は、鎌倉時代にあの源頼朝によって奉納されたといわれています。境内にある神楽殿では、毎晩20時~21時に観光客向けに、国の重要無形民俗文化財に指定されている「高千穂の夜神楽」も開催。各集落の神楽の舞手が交代で奉納する本格的な舞が人気だそう。ぜひこの機会に観賞してみて。 高千穂神社のすぐ近くには神楽面をモチーフにした大きなモニュメントが特徴的な「道の駅高千穂」も。物産館では、地元で採れた新鮮な野菜や加工品などのほか、工芸品も販売。併設されたレストランでは、高千穂ならではの旬の味覚が味わえるメニューがそろいます。ぜひ食べてほしいのは「高千穂牛コロッケ(160円)」。その名の通り日本一の和牛「高千穂牛」を使ったコロッケを「揚げたて」で提供してくれます。テイクアウトも可能なので、観光プランが詰まっている場合は移動中にも味わうことができます。そのほか、「チキン南蛮」や、高千穂牛が豪華に盛り付けられた「高千穂牛丼」も人気。うどんやそば類などもあり、幅広くメニューがそろっているので、ドライブ中の食事休憩にはぴったり。高千穂峡や神都高千穂大橋を一望できるロケーションも最高。情報施設でもあり、道路情報や人気の観光スポット、高千穂の夜神楽などの伝統芸能の紹介や宿泊施設の案内までしてくれます。地元に根ざした食材やお土産探し、観光情報の収集にもにもぜひ利用して。
高千穂狭 【住所】宮崎県西臼杵郡高千穂町向山 【料金】無料 【駐車場】あり(有料) 【電話番号】0982-73-1213(高千穂町観光協会) 【公式サイト】http://takachiho-kanko.info/
車(レンタカー)で
・九州自動車道の熊本インターチェンジから県道57号、国道325号を経由して約1時間35分 ・熊本空港より車(レンタカー)で県道57号、国道325号を経由して約1時間35分
バスで
【熊本市街から】 ・熊本交通センターより約2時間20分
高千穂では公共交通機関だけで観光地をまわれますか?
高千穂回遊バス(http://www.miyakoh.co.jp/bus/rosen/takachiho_kaiyuu.html)を利用すると、ある程度可能です。ただし、運行が土・日・祝日など繁忙日のみで、便数にも限りがあります。一般の路線バスだけですと、時間にかなり余裕がないと難しいでしょう。レンタカーやレンタル自転車、タクシーの利用もご検討ください。
阿蘇や湯布院に行くバス路線はありますか?
熊本市と延岡を結ぶ特急バス(たかちほ号、あそ号)が南阿蘇の高森に停車しますが、1日2往復のみです。その他の湯布院、別府、黒川温泉など隣県の観光地と結ぶバス路線はありません。
高千穂峡のボートは自分で漕ぐしかないですか?
またボートは自分で(自己責任で)漕ぐことを前提としており、漕ぎ手を代行するサービスは原則ありません。観光ガイドに漕ぎ手を頼むという方法もありますが、事前の相談が必要です。
高千穂の観光地は車椅子でも大丈夫ですか?
高千穂の観光地には階段のある遊歩道や石段が多いので制約はありますが、車椅子で巡れるところも多いです。 高千穂峡では、おのころ池の近くに障害者用駐車場があり、その周辺なら段差はほとんどありません。バリアフリーの滝見台からは真名井の滝などが望めます。また天岩戸神社西本宮は駐車場からの正面の参道に大きな段差はありません。
高千穂にボランティアガイドはいますか?
高千穂町観光協会や個人が運営する観光ガイドのサービスがありますが、いずれもボランティアではなく有償です。詳細は公式ホームページ(http://takachiho-kanko.info/tour_guide/)でご確認ください。
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