北海道発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
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達人指南
現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。
「北海道の桜は本州より色が鮮やか」と道内で活躍する桜の樹木医、金田さんは語る。北海道に多く見られるエゾヤマザクラ(オオヤマザクラ)は、厳しい寒さのおかげで本州のものより鮮やかに咲くため、全国の桜愛好家からも注目を集めているのだ。そんな北海道の桜の魅力と道内の花見スポットを紹介しよう。
日本を北上する桜前線は5月上旬に道南の松前町に到達し、北海道の桜の季節がスタートする。函館の五稜郭公園や札幌の円山公園、旭川の旭山公園など道内には多くの花見の名所があり、ゴールデンウィーク時期には各地で花見や桜まつりが行われ、長い冬の終わりと春の訪れを喜ぶ人でにぎわいを見せる。北海道を代表する桜といえば、エゾヤマザクラ。北海道民にはソメイヨシノが人気だが、実は本州のものより色鮮やかで野趣のある北海道のエゾヤマザクラは、全国の桜愛好家が注目しているのだ。厳しい冬の寒さが鮮やかな発色を生み出すという北海道の桜の魅力と、北海道らしい花見を楽しめるスポットを紹介!取材・文/たびらい編集部 投稿/2016年 3月北海道ローカル案内役が厳選おすすめホテル特集
[たびらいセレクション]
(カネタ マサヒロ) 金田 正弘さん
はじめに北海道の桜の特徴を知っておこう。北海道を代表する桜である「エゾヤマザクラ(蝦夷山桜)」は、道内全域で見ることができる野生種の桜である。本州ではオオヤマザクラ(大山桜)の名で知られ、広く自生している桜だが、北海道のエゾヤマザクラには際立った特徴があるという。「北海道のエゾヤマザクラは、本州のものと比べて色がとても鮮やかです。道民には白いソメイヨシノが人気ですが、北海道の鮮やかな紅紫色のエゾヤマザクラは本州の桜愛好家にとても注目されています」桜の開花や発色には「寒さ」が関係しており、北海道の厳しい冬の寒さが桜の美しい発色を生み出している。また写真の厚岸町の国泰寺のエゾヤマザクラのように、寒さの厳しい道東の桜は、同じ北海道内でもより色鮮やかに咲く傾向があるという。「エゾヤマザクラのもうひとつの魅力は、野生種であることです。ソメイヨシノは接木などで増やした“クローン”のために一斉に咲き一斉に散るのに対し、野生種のエゾヤマザクラは一本ごとが異なる個性をもっています。木によって咲く時期も異なれば、花の色味も違います。その野趣あふれる風情が大きな魅力です」エゾヤマザクラの木ごとの個性の違いを楽しみ、自分だけのお気に入りを探しながら花見を楽しむのも、北海道の桜を楽しむコツのひとつだ。
次に雄大な草原で戯れる馬たちの姿と、桜を一緒に楽しめる実に「北海道らしい」花見を体験できるスポットを紹介しよう。苫小牧市から襟裳(えりも)岬方面に向かう日高路は、新ひだか町静内のしずない二十間道路など、人気の桜名所が点在する人気の花見エリア。今回達人がおすすめしてくれたのは、新ひだか町をさらに南に進んだ浦河町西舎の桜並木だ。「ここは乗馬体験をしながら桜を見るという、北海道ならではの花見体験ができる場所です。優駿さくらロードの約3キロ続くエゾヤマザクラのトンネルは見応えありますよ。また放牧地にある一本桜も見事です」浦河町(うらかわちょう)西舎にある「うらかわ優駿ビレッジ AERU(アエル)」では乗馬も体験できる。日高山脈の美しい風景と桜色に染まった並木の中を、馬の背に乗り進むのは実に北海道らしい花見体験になるはずだ。日高路の桜名所をめぐる春のドライブを楽しもう。■うらかわ優駿ビレッジ AERU(アエル)【住所】 北海道浦河郡浦河町西舎141番40【電話番号】0146-28-2111【公式サイト】//aeru-urakawa.co.jp/
北海道を代表するもうひとつの桜といえば「チシマザクラ(千島桜)」だ。別名エトロフザクラとも呼ばれ、もとは千島列島に自生していた桜が根室に渡り、道内に広がったとされている。幹の短い低木であり、枝が横に広がっていく様が特徴的だ。エゾヤマザクラと同じく自生種であり、木によって開花時期や花の色、大きさなど異なる個性をもつ桜だ。北海道でしか見られないチシマザクラ。中でも大変希少で、珍しい個性をもった巨木が道東の別海(べっかい)町にある。「野付小学校にあるチシマザクラは非常に大きく、珍しいものです。推定樹齢は110年、樹高は5.5メートル、外周は45.8メートルもある日本一の大きさのチシマザクラです。低木のチシマザクラが大きく横に枝を広げている姿は圧巻です」野付小学校の子どもたちの成長を見つめ続けてきたチシマザクラ。北海道内でもひと際色鮮やかといわれる道東の桜を見に行く際には、ぜひ立ち寄ってみよう。■野付小学校のチシマザクラ【住所】 北海道野付郡別海町尾岱沼潮見町217
次に花見と温泉を楽しめる、小樽の桜スポットを紹介しよう。それは2016年4月9日(土)にリニューアルオープンする、小樽市の朝里川温泉地区にある和風温泉旅館「おたる宏楽園(こうらくえん)」だ。ここは達人が10年以上に渡って桜の管理を手がけてきたという思い入れのある場所のひとつだという。「おたる宏楽園の広大な和風庭園では、エゾヤマザクラをはじめ、樹齢100年以上のソメイヨシノや八重紅枝垂桜など、約200本の多彩な桜を見ることができます。一昨年の火災の際も、幸い庭園には被害は及ばず工事中も庭園の整備を続けてきました。温泉と桜を楽しめる小樽の桜名所にぜひ足を運んでみてください」この春、小樽を訪れた際にはぜひ宿泊利用をして和風庭園の桜を観賞しよう。また小樽には手宮公園や天狗山など桜の名所が多数あるので、合わせて花見を楽しんでほしい。■おたる宏楽園【住所】北海道小樽市新光5丁目18番2号 【電話番号】0134-54-8221【公式サイト】//www.otaru-kourakuen.com/
最後にもうひとつ、北海道ならではの桜を紹介しよう。「釧路八重(くしろやえ)」という桜をご存知だろうか? この桜はエゾヤマザクラから派生した品種で、その名の通り道東の釧路地方で発見され、試行錯誤の末に繁殖に成功したという品種である。花の色は深紅色、華やかな八重咲きが美しい桜だ。エゾヤマザクラ、チシマザクラに比べると、釧路八重の名は北海道内でもまだあまり知られていない。釧路地方を中心に見られるが、写真の浦河町など北海道内の他地域でも鑑賞することができる。花見の際には、釧路八重がないか探してみてほしい。野生種ゆえの個体差が魅力のエゾヤマザクラ。時には釧路八重のように、際立った個性のある個体が発見され、新しい品種が生まれることもある。「北海道のエゾヤマザクラを遠目から見ると、桜の色がグラデーションしている様子がわかります。それこそが咲く時期や花の色味に個体差がある、野生種ならではの魅力です。一斉に咲くソメイヨシノとはまた違う、北海道の桜ならではの美しさを楽しんでほしいですね」観光を楽しむならホテル選びも重要!ホテル・宿を見つけて、旅行に行こう!
函館・道南の花見の名所といえばここ、人気の桜スポットを紹介!
日高路、道東の地元で人気がある桜スポットを紹介
札幌で人気の花見スポットを紹介
北海道には桜の名所が各地にある。中でも今回記事内で紹介した浦河町へのアクセスは車(レンタカー)かJRの利用がおすすめだ。新千歳空港からは車で、日高自動車道の無料区間を利用して約2時間。日高山脈と太平洋の雄大な景色を楽しみながら、のんびりと日高路のドライブを楽しもう。また札幌市からは、車で約2時間30分。JR利用なら約3時間55分(苫小牧市で乗り換え)。こちらも車窓の景色を楽しんでいこう。
北海道浦河郡浦河町
新千歳空港からは、約2時間。日高自動車道(無料区間)と浦河国道・国道235号線を経由して、約129キロの距離だ。札幌市からは、約2時間30分。道央自動車道(有料区間)、苫東道路、日高自動車道(無料区間)、浦河国道・国道235号線を経由して、約174キロの距離だ。
新千歳空港からは、直行のリムジンバスの利用がおすすめ。所要時間は約3時間43分。乗り換えなしで浦河町に直行できる。JRを利用する場合は、苫小牧市で乗り換えが必要。札幌市からはJR利用で、約3時間55分。苫小牧市で乗り換えになるが、JRの接続によっては、苫小牧市から浦河行きのリムジンバスに乗ろう。移動時間がかかるので、余裕をもってスケジュールを立てよう。駅弁などを購入し、のんびり車窓を眺めながら列車旅を楽しもう。
エゾヤマザクラは個性の違いを楽しもう
写真は室蘭市幌萌にある、胆振日高管内最大のエゾヤマザクラ。推定樹齢は180年。古くから室蘭市民に親しまれる名桜で、開花の時期には多くの人が訪れる。道内の一本桜の中でも特に人気のあるエゾヤマザクラである。 この古木の桜も、樹木医の金田さんが樹勢回復治療を施した木のひとつ。太枝の落下倒壊があったにもかかわらず、濃いピンク色の花を咲かせた姿は感慨深かったという。桜の樹木医が一番忙しい季節は、桜が散ってから夏の盛りのお盆前まで。花が散った後には、すぐに翌年の開花に向け、全道各地を飛び回り桜の手当てを始めるという。私たちが毎年美しい桜を楽しめるのは、金田さんら桜守のおかげでもあるのだ。
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