1. 「札幌青少年科学館」で北国の冬と星を学ぶ

達人指南

現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。

「札幌青少年科学館」で北国の冬と星を学ぶ

  札幌市青少年科学館は、約200点の展示物を有する、見て、触れて、学べる博物館。人工降雪装置など、北国ならではの装置も魅力。親子連れに人気のサイエンスショーや道内最大級のプラネタリウムは毎日開催。

外観

  1981年、札幌市によって設置された札幌市青少年科学館は、世界初の人工降雪装置の導入をはじめ、オーロラ発生装置や低温展示室など、積雪寒冷地の科学館としての特徴をうちだしている。科学事象の発見や、理解と想像力を育むための参加体験を重視しており、サイエンスショーなどの参加型イベントを積極的に開催。2008年には入館者1000万人を突破し、年間平均36~37万人の入館者を数えている人気施設だ。
 2013年には山崎直子宇宙飛行士が名誉館長に就任。過去幾度かのリニューアル、また2014年、天文・地球科学コーナーのリニューアル・再開館が行われた。プラネタリウム運営にも力を入れており、昼間に加え夜間も開催される特別投影は、親子はもちろん、カップルにも人気のプログラムとなっている。

取材・文/松下 綾 投稿日/2015年 9月


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百野さん
(びゃくの みちこ)
百野 道子さん

札幌市青少年科学館の達人
  札幌市青少年科学館 学芸課展示係(学芸員補)。主な業務は展示物やイベントの企画、現場の運営など、科学館の裏方的役割。科学館の隅々までを知り尽くした展示物のエキスパートだ。大学では美術を専攻しており、科学や理工学系は未知の分野だったそう。勤続9年目の今も、専門家の意見を取り入れながら、新たな展示やイベントの企画・立案に日々奮闘中。

「大人と子どもが一緒になって楽しめる」ことがコンセプト

2階天文・地球科学コーナー

  さまざまな展示物のある科学館。「限られた時間の中で、大人も子どもも楽しめる展示施設は?」との問いに、一番に達人が案内してくれたのが2014年3月にリニューアルされた2階天文・地球科学コーナーだ。ここは、宇宙・太陽・地球・北海道の4つのコーナーが連続しており、138億年前の宇宙の誕生から現在の北海道の成り立ちまでを紹介、最後には札幌の身近な地学も学ぶことができる。
 「上を見てください、太陽系のそれぞれの惑星の大きさを現した模型になっているんです(写真上部)」と達人。他にもオーロラ発生装置や、地中から宇宙まで一気に移動できる地球エレベーターなど個性的な施設が盛りだくさん。子どもは体験しながら、大人は少年・少女時代に得た知識と感動を改めて学び、子どもに教えながら一緒に楽しめるおすすめのゾーンなのだ。

3階の「動いて、動かして体験できる」施設が子どもに大人気!

3階展示施設

  じっくりと見て、触れて学ぶ2階展示施設に比べ、自らが動いたり働きかけることによって、運動や力の働きを学ぶことができる3階展示施設は、好奇心旺盛な子どもたちに大人気だ。
 中でも、床全体が傾斜し、視覚と平衡感覚のズレを体験することができる「斜めの部屋」や、ニュートンのりんごに見たてたボールを、ハンドルや空気入れを使って上げたり、転がしたりしながら、物体の運動について学ぶことができる「パワーフォレスト(写真)」は特に人気の施設なのだそう。昔遊園地で体験した、あのアトラクションと似てはいないだろうか…?「人間の五感に訴えた能動性に富む展示物の配置で、観覧者の関心を喚起させるような演出を心がけています」という達人。
 子どもは夢中になって取り組み、大人はどこか懐かしさを感じつつ…動いて、動かして、アクティブに体感して学ぶ楽しさは、いくつになっても変わらないようだ。一方、どこまでも元気な子どもたちについていくのは大変なもの。館内には適所にベンチや休憩室が設けられているので、「疲れた」と感じた際はどうか遠慮なく休んでもらいたい。

「北国の冬を疑似体験」できる人工降雪装置・スノーデザインラボ

スノーデザインラボ

  2階の「雪・氷コーナー」は、北国の科学館にふさわしい展示施設としておすすめ。-10℃を体感できる「低温展示室」、人工的に雲を作り出す装置、雪崩の仕組みが分かるシミュレーション装置など、地上の雪がもたらすさまざまな現象に出合うことができる。
 中でも達人のおすすめは世界で初めて同科学館が設置した「人工降雪装置」。自然とほぼ同じメカニズムで人工的に雪を降らせる本格的な降雪装置(1日4回15分間。詳細は同科学館HP)だ。もうひとつの“楽しいアトラクション”がスノーデザインラボ。これはトラックボールマウスを使って気温と水蒸気量を設定することで、自分だけの雪の結晶をデザインするというもの。出来上がった結晶には名前をつけ、人工降雪装置の扉スクリーンに映し出し、降らせることができる。
 真夏でも本物の雪が見られる希少なスポットとして、また“北国の雪を感じられる場”として道外旅行者からの人気も高い。親子連れはもちろん、ロマンチックな雰囲気はデートにもおすすめだ。

札幌市民懐かしの「地下鉄」展示がうれしい

札幌の地下鉄

  3階交通・力学コーナーには、かつて札幌の街中を走っていた東西線の地下鉄の実物が展示されており、実際に運転席に座って運転を疑似体験することができる。車両は旧型で現在は走っておらず、「懐かしいとおっしゃる市民の方も多いですね。札幌の地下鉄は、世界で初めて本格的にゴムタイヤを使用したんですよ」と達人の百野さん。電車のモーターに電圧をかける方法として、断続的に入り切りするチョッパー制御を採用するなど、札幌の地下鉄は全国的にも珍しい構造となっている。旅行者の方にも、ちょっとした札幌スタイルを学ぶ場として一見の価値がありそうだ。


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「本物の星を観察できる」観望会も好評

移動天文台

  札幌市青少年科学館では、プラネタリウムはもちろん、実際の天体観望への取り組みも盛ん。
 月に一度は3~4台の望遠鏡を用いて駐車場で「天体観測」を行ったり、移動天文車(愛称「オリオン2世号」)と共にボランティアの天文指導員を市内各地に派遣し、市民が実施する天体の観望会を支援する「移動天文台」の活動や、屋上天文台にある反射望遠鏡を用いて、その時期に見える昼間の星を観望する「昼間の星を見よう!」など、さまざまな趣向を凝らした観望会を展開している。
 同館を訪れる際には、開催スケジュールも確認して、空の観望を楽しんでみてはいかがだろう。

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“体験”から“宇宙の学び”まで、達人のおすすめポイント

おすすめの展示施設と見どころ

  札幌市青少年科学館の見学をより楽しくする「達人おすすめ展示施設」をピックアップ。

おすすめポイント
  約200点を超すさまざまな展示物を備える札幌市青少年科学館。おすすめの天文・地球科学コーナー、スノーデザインラボ、プラネタリウムは、「どの展示物も、お子さんには体験して理解する楽しさを、大人の方には知識として知っていることを、体験を通してさらに理解を深める楽しさを味わっていただけるような、体感型の展示物となっています。遊び心もプラスした演出も多く、年齢を問わず、楽しみながら学びを得られるのが魅力です」と達人。
 開館当初の80年代に子連れで訪れていた世代が、平成に入り、孫を連れて訪れるなど、時を経て2世代・3世代にわたり親しまれるようになった青少年科学館。今後も時代に合わせ、さらなる進化を遂げて、多くの世代に科学のおもしろさを伝えてくれるだろう。

「札幌市青少年科学館」星への取り組み

  ボランティアの天文指導員が、さまざまな天体観望をバックアップ!

おすすめポイント
  札幌市青少年科学館では、8~9名の天文担当スタッフに加え、星空案内の知識や技術、望遠鏡の操作実習などの研修を受けた約50名の「天文指導員」が、ボランティアとして様々な形で天体観望をサポートしている。
 札幌市青少年科学館駐車場で行われる「科学館天体観望会」はほぼ毎月開催。(http://www.ssc.slp.or.jp/planet/kagakukan-kanbokai
 移動天文車(オリオン2世号)が出向く「移動天文台」は、市内の自治体や地域コミュニティからの依頼も多く、夏期は毎日のようにどこかで行われるそう。
 また、中島公園にある「札幌市天文台」は、太陽を観察対象にした昼間は毎日公開。夜間の公開日程は同館HPで確認してほしい。(http://www.ssc.slp.or.jp/planet/sapporo-obs
 プラネタリウムを鑑賞したら、今度は本物の天体観望にもチャレンジしてみては。

周辺の博物館・リラクゼーションスポット3選

  見学後に、または日を改めてじっくりと。近隣のおすすめ施設をご紹介。

おすすめポイント
  複合商業施設アークシティに直結し、JRと地下鉄駅からすぐの都市型水族館「サンピアザ」は、ショッピングや食事と一緒に水族館見学を楽しめるのが魅力。広域の海水魚から甲殻類、ゴマフアザラシまで展示種も豊富で、一見の価値がある。
 新札幌からはバスが出ており、車で約10分、タクシー利用で1300円ほどの位置にある「北海道開拓の村」も近隣スポットとしては外せない施設。北海道開拓の歴史がわかる野外博物館で、見学だけでなく、体験やグルメなど多彩な楽しみ方ができる人気スポット。北海道を知るにはぜひ訪れたいディープスポットだ。
 新札幌からは車で約5分、徒歩圏内にある「森林公園温泉きよら」は、街中で北海道遺産にも認定される天然モール温泉を満喫できるリラクゼーション施設。旅の疲れをとるのに気軽に足を運んでみて。

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どこまでも広がるラベンダー畑…。

札幌市青少年科学館への交通アクセス

  札幌駅周辺からは、JR、地下鉄ともに充実。車は南郷通り、北8条通り経由のどちらも約30分。

札幌市青少年科学館の施設情報

  北海道札幌市厚別区厚別中央1条5丁目2
電話:011-892-5001
URL : http://www.ssc.slp.or.jp/
営業時間:5月1日~9月30日 /9時~17時
     10月1日~4月30日 /9時30分~16時30分
定休日:月曜・毎月最終火曜・祝日の翌日・年末年始
※入館は閉館の30分前まで

公共交通機関(JR&地下鉄)で

  JR「新札幌」駅もしくは札幌市営地下鉄東西線「新さっぽろ」駅まで。
JRの場合、札幌駅からJR千歳線快速エアーポートに乗車して約8分、大人260円。
地下鉄の場合、大通駅から東西線新さっぽろ行きに乗車して約19分、大人320円。
地下鉄東西線 新さっぽろ駅1番出口正面、JR千歳線 新札幌駅からサンピアザ経由で徒歩5分

車(レンタカー)で

  札幌市中心部より札幌ファクトリーを東方向に超え、北2東10・北1東10の交差点より南郷通に入り、新札幌方面へ直進。約30分で到着する。

青少年科学館のQ&A

Q 駐車場はありますか?
A 札幌市青少年科学館駐車場はバス専用となっており、一般乗用車はアークシティ駐車場(サンピアザ・デュオ・北・東・南の各駐車場※サンピアザが近くて便利)を利用。科学館1階の券売・案内で駐車券に捺印してもらうと最初の2時間まで無料となる。駐車場詳細はhttp://www.arc-city.com/sc.htmlで確認を。
Q 見学料はかかりますか?
A 展示室、プラネタリウムともに入館料が必要。
展示室/700円 プラネタリウム/500円 セット/1000円 
※中学生以下無料だが、観覧券売り場で整理券を受け取ってから入場
※この他、隣接するサンピアザ水族館との共通割引券(展示室・プラネタリウム・サンピアザ水族館セット/1750円)も
Q 小さな子どもや引率の大人が休む休憩所はありますか?
A 1階には工作室横に休憩コーナーと授乳室があり、さらに広々としたサイエンスホールも催事が無ければ昼食をとるなど自由に使うことができる。また3階にはマットを敷いた幼児向けの休憩コーナーが設けられており、積み木などの遊具も充実。乳幼児連れも安心して利用できる施設となっている。
Q 入館・退館は自由にできますか?
A 入場券の半券を見せれば、自由に出入りが可能。隣接するアークシティでランチを楽しんだり、木漏れ日の下でお弁当を広げたり、小休憩を挟みながら、じっくりと広い館内を見学してほしい。
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