1. 2016年、北海道観光にはどんな動きがあったの? 今年の出来事と来年予想・たびらいまとめ【後編】

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2016年、北海道観光にはどんな動きがあったの? 今年の出来事と来年予想・たびらいまとめ【後編】

【投稿日】2016年12月29日(木)| 北海道発

平成28年(2016)、北海道は観光面でどのような動きがあったのでしょう。交通、天候、観光施設の展開、そして新たな地域の盛り上がり……1年間の北海道をたびらいの観点から、前編と後編に分けて振り返ります。

【北海道観光ニュース2016・前編】 はこちら


ソフト面から観光を盛り上げよう。十勝の試みに注目!

今年(2016)、台風で甚大な被害を受けた十勝地方。このエリアは、札幌や函館のようには観光スポットが集中しておらず、知床のような圧倒的な自然が備わっているわけではありません。しかし、今、この十勝が面白い。十勝では、大きな資本を必要とするハードに頼らない、農業がつくり出す風景そのもの、またマイナーな自然現象を活かした旅行の楽しみ方が広がり始めています。



▲映画「 My little guidebook-ice-」より。“幻の橋”と呼ばれる糠平湖の「タウシュベツ橋梁」も登場する

10月、十勝のクリエイターたちが製作した無料映画「My little guidebook-ice-」 のYoutube配信が始まりました。北海道で最も標高の高い自然湖・然別湖に冬にのみ現れる氷の村「しかりべつ湖コタン」や「MUSHING WORKS」の犬ぞり、旧士幌線が生み出したアーチ橋梁「タウシュベツ川橋梁」などが作中に登場。日本だけでなく、海外の人々にも高く評価されている映像作品です。

この映画の前編(夏の十勝の魅力を切り取った作品)は、昨年(2015)の札幌国際短編映画祭で「北海道監督賞」を受賞。両編ともに、十勝の今を切り取った画期的で美しい作品。ぜひ、北海道旅行前に見てほしいと思います。


▲帯広川でスタートした「ナイトリバークルージング」


▲豊頃町(とよころちょう)の大津海岸で見られる氷の宝石、「ジュエリーアイス」


▲大樹町(たいきちょう)には期間限定のグランピング施設がオープン!

十勝では、これまでの観光体験とはひと味違う、さまざまな企画がスタート。「帯広川ナイトリバークルーズ」は星を眺めながら夜の川を下るという画期的なアクティビティで、脚光を浴びています。

また、8月~10月の週末、大樹町には「MEMU EARTH HOTEL」 が期間限定オープン! 5万6000坪の牧草地に設定された、このグランピング施設は「地球に泊まり、風土を味わう」がコンセプト。「天井のないホテルプラン」という名の完全なアウトドア宿泊プランもあり、広大な十勝の平野を活かした新しい取り組みとなりました。

来年(2017)2月には、豊頃町(とよころちょう)の浜辺に「ジュエリーアイス 」 が現れるはず。冬の楽しみ方はスキーや流氷、グルメだけではない。十勝は、北海道の新しい可能性を見せてくれています。

“自分で感じる”絶景 、“自分でつくる”旅


▲船でしか行けない小樽市の「塩谷海岸」


▲初夏にはイルカの群れとの遭遇のチャンスも! 知内町の「矢越海岸」

十勝同様の試み・楽しみ方は、道内各地で徐々に広がりを見せています。今年、急激に人気が高まったアクティビティが「青の洞窟」体験。美瑛町の「青い池」 夏の積丹半島(しゃこたんはんとう) など、名所を見て楽しむ観光は今年も人気でしたが、自ら絶景に足を踏み入れて感じるスタイルがこれからの旅の主流になるかもしれません。

「青の洞窟」は海水の浸食によって生まれた洞窟のひとつ。沖縄の恩納村(おんなそん)のもの が有名ですが、小樽~積丹の海岸線、また道南の知内町(しりうちちょう)でも発見され、話題に。クルージング・シーカヤック・シュノーケリングなどが人気を高めています。このふたつのエリアの「青の洞窟」はクルマでは行けず、アクセス手段は船のみ。このレア感、秘境感もブームとなった理由でしょう。



▲斜里町ウトロで来年(2017)から始まる「知床流氷フェス」

来年(2017)1月末、知床の斜里町で「知床流氷フェス」 が初開催されます。これは、今年3月に幕を閉じた「知床ファンタジア」に代わる体験型のイベント。「流氷ウォーク」や厳冬期の「知床五湖エコツアー」などとともに、自然の価値を感じられる舞台になるように。そんな想いとともに企画されました。世界自然遺産10周年から、新たなサイクルに入った知床が目指すのは脱・ハード型。冬の流氷、夏のホエールウォッチングなどアクティビティを中心にした観光スタイルを、より重視していくようです。


“去る列車、残る列車



▲12月、惜しまれながら廃線となったJR留萌本線(留萌~増毛間)と、好評を博した「きっぷのーと」

北海道新幹線の開業に沸いた北海道、その一方で廃線となる路線もありました。12月初旬、JR留萌本線の留萌(るもい)~増毛(ましけ)間が鉄道事業を廃止。終着駅の増毛駅は高倉健さん主演の映画「駅 STATION」の舞台として知られ、映画ファン・鉄道ファンに愛された路線でした。最終運行日の4日にはお別れセレモニーが実施され、多くのファンが押し寄せたのは記憶に新しいニュースです。


▲今年(2016)2月まで運行していた「流氷ノロッコ号」(画像提供:JR北海道)


▲来年(2017)には「流氷物語号」が運行を開始。今後に注目だ(画像提供:JR北海道)

ディーゼル機関車の老朽化によって、今年引退したのが「流氷ノロッコ号」。 木製の長椅子や石炭のダルマストーブを配置したレトロな車内の雰囲気、この石炭ストーブでするめを焼いて食べられるというユニークなサービスも多くの観光客から愛された列車です。

一時、“流氷”を楽しむ観光列車の存続が危ぶまれましたが、JR北海道は来年1月末から後継車となる「流氷物語号」の運行 を決定。その車両の全貌は来年に明らかになりそうです。モータリゼーションによって全域で利用者が減り続けている北海道の鉄道、しかし、鉄路が旅行者に残してくれる深い印象・思い出は格別。SLやトロッコ列車を含め、観光面での運用は継続してほしいものです。

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この他、清里町が加盟した「日本で最も美しい村」連合 「日本新三大夜景」認定1年後の札幌各ホテルの新しい取り組み 、ループ化工事が完了し1年が経過した「札幌市電」 の利用者増など、台風の被害を受けつつも、北海道は明るいニュースも多い一年となりました。

今ある資源や魅力をいかに活かすか、知られざる資源を発掘していくか。そして、旅行者の皆さんにいかに体験してもらえるか。着地型観光のメッカ・北海道が輝くカギはそこにあるはず。たびらい北海道は来年(2017)も、この魅力的な島の動向を追っていきます。どうぞ、お楽しみに!

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