熊本県は長崎県に近く、江戸時代初期には特に天草で、キリスト教が広く浸透した。聖職者の育成を目的とする学問所「コレジオ」が建てられ、ラテン語や天文学などのキリシタン文化が栄えた。明治維新まで、肥後54万石を治めた細川氏は、茶道の肥後古流、能の喜多流と金春流、肥後象嵌(ぞうがん)などの文化育成に力を注ぎ、芸能や工芸の発展に寄与した。また熊本県の食文化としては、古くから馬肉を生で食べる習慣があり、屠畜(とちく)後の馬肉生産は全国の40%を占める日本一。加藤清正の時代から続く「からしれんこん」は、今も郷土料理として受け継がれている。熊本県は全国有数の農業県で、畳表の材料となるイグサ(藺草)は県南西部・八代地方の特産。イグサをはじめ、トマトとスイカの生産量も全国1位を誇る。有明海や天草沿岸ではクルマエビやノリ、真珠などの養殖が行われている。