大分発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
更新:2019年12月17日
由布院のシンボルである由布岳。由布岳を望む、ベストスポットを紹介。間近に迫る由布岳か、遠望する由布岳か、おすすめの2カ所を案内します。豊後富士の異名をとる、九州の名山を愛でに湯布院観光へ出かけましょう。
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由布岳を温泉や食事とともに楽しめるスポットを紹介します。
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湯布院の宿でよく見られている推し宿特集
ローカル案内役 藤田 秀樹(たびらい編集部)
福岡県出身。九州内の食べ歩きスポットを探し続ける編集スタッフ。カメラ片手に友人・知人を巻き込んで観光スポットにも出没。
大分県にある由布岳は、全国的にも有名な温泉街の由布院を象徴する山。日本を象徴する富士山に似ていることから豊後富士と呼ばれる由布岳は、九州登山ランキングの中でも、トップ10に入るほど初心者から上級者まで、登山客に人気の山でもあります。山体が阿蘇くじゅう国立公園に指定されています。 由布岳の標高は1584メートルで、東に接する鶴見岳は1374メートルです。由布・鶴見火山群の主峰で、山陰火山系に属しています。火山活動はいまから7万年前に噴火した火山活動であったと推測。眺める方向によっては、円錐形に見えたり、山頂部が大きく二つに裂けて突き立つ雄姿をみせたりと、さまざまな山容をほこります。 由布岳が文献に最初に登場するのは、奈良時代初期に編纂された「豊後国風土記」。由布院盆地は、かつて別府市域と同じく速見郡に属しており、風土記でも速見郡の項に柚富郷(ゆふのさと)と柚富峰(ゆふのみね)が記載されています。 記述は短く、郷については「この郷のなかに𣑥(たく)の樹さわに生いたり。常に𣑥の皮を取りて木綿(ゆふ)を造る。因りて柚富郷という」とあり、峯には「柚富の郷はこの峯に近し。因りて峯の名と為せり」と説明しています。𣑥の樹とは、コウソのことで、たくさん生えていて繊維で木綿を作ったことが郷の名前の由来で、山の名前にもなったとされます。 万葉集にも、木綿(ゆふ)山が登場。木綿山の二首のほか、木綿間(ゆふま)山、遊布麻山とする歌も、由布岳のこととされています。由布の表記となったのは、平安時代の中期の和妙抄に由布郷、延喜式に由布駅との記載があるため、遅くともその時代までには、由布との表記になったようです。 由布岳には正面があると言った人物がいます。日田市の生まれで、江戸時代の儒学者、広瀬淡窓(たんそう)です。淡窓は、私塾の咸宜(かんぎ)園が有名。淡窓は、由布岳の形容が名峰富士山に似ているため、豊後富士と呼びました。盆地から眺めると、由布岳は二峰に分かれており、すそ野もぶかっこう。山腹には飯盛山が突き出て、こぶとなっています。淡窓は、並柳から歩いて2里(約8キロ)の平原(猪の瀬戸と推測されています)方面から見る由布岳が正面としています。 一方で、金鱗湖(きんりんこ)と命名したことで知られる、儒学者の毛利空桑(くうそう)は、由布市挾間方面から見た景色が、由布岳の正面とも。鶴見岳、高崎山と並ぶ三山が夕焼けに浮かぶシルエットは印象的です。 由布岳を遠望するなら、蛇越(じゃこし)展望台がおすすめ。由布岳と由布院盆地を一望できる絶景スポットです。大蛇伝説から蛇越峠と名付けられた峠にある展望台で、県道11号(やまなみハイウェイ)をJR由布院駅から阿蘇方面に15分ほど走ると到着します。秋から冬にかけては朝霧に沈む由布院盆地が望めます。狭霧台と並ぶ朝霧のベストスポットで、多くの人が写真撮影に訪れています。 蛇越の名前は、大蛇伝説に由来しています。峠付近には、山下の池、小田の池、立石の池があり、立石の池のそばに、立石坊という若い僧侶が、庵を建てて修行をしていました。この庵に美しい娘が来て、立石坊と夫婦に。ある日、娘は大蛇の化身であることが分かり、一陣の風を呼び、草を巻きたてて、もともと住んでいた山下の池へとはって戻りました。これを見た立石坊は、体が硬直し、そのまま石に。今もその地に立石岩があります。大蛇が越えたのが、蛇越峠と言われており、山下の池には、大蛇を祀(まつ)ってある竜神様(雨ごいの神)が鎮座しています。 由布院の繁華街から最も近く、ポピュラーな場所が狭霧台(さぎりだい)です。由布市から別府市へ向かう県道11号は、雄大な山々を縫うように走っています。その途中に位置するのが狭霧台。標高約680メートルから、由布院の町並みが一望できる展望スポットです。 展望台を囲む由布岳の四季折々の山景色は一見の価値あり。春から夏にかけては、山と空のコントラスト、秋はゆれる黄金のススキ、冬は雪景色と楽しませてくれます。特に、冬の早朝には「狭霧」という名のとおり、幻想的な朝霧が見られることも。 展望台には、売店やトイレもあるため、ドライブ途中の休憩スポットとしても利用可能。周辺はカーブが続く山道なので、安全運転で絶景のドライブコースを楽しんでくださいね。 南由布駅あたりから眺めると、中央に由布岳、手前に飯盛(いいもり)ケ城、左右に福万(ふくま)山と倉木山を据えた全貌をとらえることができます。塚原高原から見る、裏由布は、山頂の火口跡が大きな枯沢となり、山肌が崩壊。裾野に広がる巨石と溶岩ドームに古代の噴火の歴史が刻まれています。
由布岳と由布院盆地を一望する丘の上にあるのが、ピッツェリア檪の丘(くぬぎのおか)です。由布院を吹き抜ける風を感じながら、四季折々の風景と料理が楽しめます。いつ訪れても人の活気があふれています。地元の人に聞くと必ずといっていいほどすすめられる名店。 その理由は、由布岳と由布院盆地を一望できる抜群のロケーション。それを背景に、石窯で焼かれた熱々のピッツァが楽しめます。サイドメニューも充実。ピッツァと同様に「スペアリブの石窯焼き」や、パスタなども人気です。 温泉につかりながら、由布岳を望むなら、由布岳温泉がおすすめ。JR由布院駅から約1.5キロの場所。周囲は田畑に囲まれており、喧騒から離れて自然と温泉を満喫できる穴場スポット。 男女別の内湯と露天風呂、全12室の家族湯があります。全ての温泉から、雄大な由布岳の姿を見ることができると評判。「由布岳の湯」とも言うべき温泉です。47.7度の単純温泉で源泉掛け流し。熱すぎず、ぬるすぎない湯にゆっくりとつかれます。 男女別の内湯の壁には、由布岳の大きな写真を展示。雨の日でもその姿を楽しめるように工夫されています。施設内には、由布岳から湧き出る水も無料でくむことができ、それを目当てに来る人も多いとか。風呂上りに飲むにはぴったりです。
4月下旬から6月上・中旬にかけて九州の火山山頂部は、ミヤマキリシマのピンクの色の花が咲き、にぎやかになります。標高1200メートルから1400メートルの山腹上部や山頂付近には、ツクシヤブウツギをはじめヒロハヤマヨモギ、ヤマカモジグサ、ナガバシュロソウなどをともなうツクシヤブウツギ群落が発達しています。 例年5月上旬には、由布岳正面登山道入口では「由布岳山開き祭」が開催。イベントでは、由布岳の5合目(合野越)で登山者の安全を祈願。参加者には、記念品のプレゼントや無料の豚汁が振る舞われます。 町から眺める由布岳は、春に桜のピンクと菜の花の黄色の美しいコントラストが彩ります。夏は、緑濃く染まる由布岳が青空に映え、秋が深まるとともに山肌を赤く染めます。ヤマザクラ、ヤマモミジ、ハゼ、ミズキ、マユミが色づく秋の紅葉シーズンは、ふもとから山肌全体が赤と黄色で鮮やかに彩られます。粉雪が街に舞う冬には、豊後富士の名の通り、山頂は真っ白な冬化粧をまといます。 由布岳は2時間程度で登れる山とあって、登山客に人気です。由布登山口から山頂までは視界が開けた登山コースで、2時間程度で登ることができます。東峰、西峰の山頂からは、360度の大展望ができます。 由布岳には3つの登山コースがあります。中央登山口コース、東登山口コース、西登山口コースの3つです。初心者におすすめなのは、中央登山口コース。往復計3時間50分程のコースです。由布登山口バス停、駐車場、トイレ、休憩所などがある標高780メートルの由布登山口からスタート。このコースはよく整備されていて、随所に案内板があり、道に迷うことは少ないようです。 由布院盆地を一望できる正面登山口は、別府から車で約30分走ったやまなみハイウェイの入り口近くにあります。登山届を出すためのポストがありますので、登山の際には忘れずに登山届を出しておきましょう。正面に由布岳を見ながら樹林帯を進んでいると、由布登山口を出発してから約50分で標高1020メートルくらいの合野越にたどり着きます。 合野越は、西登山口コースとの合流地点であり、そこから更に約1時間進んだマタエが東峰ルートと西峰ルートとの分岐点となります。マタエから東峰と西峰へはともに20分ほどですが、西峰ルートには障子戸と呼ばれる絶壁が待ち受けており、鎖を使って上る必要がありますので、初心者の方は比較的歩きやすい道が続く東峰ルートを進んだ方が安心です。 正面登山口から車で10分ほどの場所に位置する西登山口は、人気の観光スポットである金鱗湖に近くにある登山口。西登山道は、下山時の風景が美しいのが特徴ですので、正面登山口から登って西登山口へと降りてくるのも良いかもしれません。西登山口には、駐車場がありませんので、車の場合は金鱗湖周辺に停めるのがおすすめです。 正面登山口から東に進んだ場所にある東登山口からの登山の流れとしては、約40分の日向越分岐点を目指します。そこから約1時間の場所にあるマタエに行き、西峰ルートか東峰ルートを選ぶ形になります。東登山ルートは、途中に鎖場やロープを使って上らないといけない難易度が高いコースとなっています。 また、マタエから西峰と東峰を通って火口の周りを一周する「お鉢巡り」も難易度は少し高いですが、登山愛好家に人気の登山コース。山頂近くには、ゴツゴツとした岩が転がっており、活火山である由布岳らしさを感じます。 別府湾やくじゅう連山、鶴見岳などの大パノラマが広がる山頂は、大分県内屈指の眺望スポット。運が良ければ、四国が見えることもあるそうです。言葉を失うほどの絶景を写真におさめたいですね。四季それぞれの美しさがありますが、やはり紅葉の時期がベストシーズンです。 登山初心者の方の中には、登山の服装や事前に準備しておく物について迷う方も多いと思います。登山の際には、トレッキングシューズ又は歩きやすいスポーツシューズ、伸縮性のあるジャージや化繊の服がおすすめです。ジーンズなどの綿製品は、汗や雨などで濡れると乾きにくく、まとわりつく可能性もあるため、避けたほうがよいでしょう。 準備が必要なものは、地図と水。登山道に水はありませんし、ケガをした際には洗浄することもできるため、水は1.5~2リットルぐらいのものが良いとされています。日焼け止めをしっかりと塗るなど、日焼け対策もしておく必要があります。また、山頂付近は岩がゴロゴロしているなど、足場が悪いので登山用の靴は必須です。 2016年の地震以降、一時登山禁止となっていた由布岳。8月に登山規制は解除されていますが、注意が必要なルートもありますので、登山コースの情報収集も必要。登山コースや登山タイムを記録してくれる便利なアプリもありますので、要チェックです。 登山口へは、バスまたは車で行くことができます。バスを利用する場合、JR久大本線由布院駅から亀の井バスで由布登山口へ15分程度。車を利用する場合、大分自動車道由布院ICから県道11号(やまなみハイウェイ)を通り、15分程(7キロ)で登山口に到着します。30台の無料駐車場と50台の有料駐車場があります。休日や、花が見頃をむかえる時期は、無料駐車場はすぐ埋まってしまうので注意しましょう。 登山口周辺に湯布院温泉がありますので、登山後にはバスや車で温泉街に立ち寄り、体を癒すのも楽しみのひとつです。
由布岳 【住所】大分県由布市湯布院町川上 【問い合わせ(TEL)】0977-84-3111(湯布院振興局地域振興課地域振興係)
車で(レンタカーで)
・博多駅から高速道路を利用して約2時間。福岡都市高速、九州自動車道、大分自動車道の由布院インターチェンジで降りて県道216号線へ。 ・大分駅から高速道路を利用して約40分。大分自動車道由布岳スマートインターチェンジで降りて県道616号へ。
電車で
・JR博多駅から特急で約1時間15分。湯布院駅から狭霧台へはタクシーで約10分。 ・JR大分駅から久大本線を利用して約1時間。由布院駅から、狭霧台へはタクシーで約10分。
狭霧台と蛇越峠はどちらがおすすめですか?
町の中心部から近いのは、狭霧台。由布岳を間近に見られるため、迫力は満点です。また、売店や駐車場も整備されているため、ドライブスポットとしても人気があります。
冬場は雪が降りますか?
山頂が冠雪する時期は、由布院へとつながる道路は山中を通るため、凍結することがあります。また、雪も積もることがあるため、自家用車やレンタカーの場合は、スタッドレスの準備も忘れずにしましょう。特に、、蛇越峠は、雪の影響で通行できない場合もあります。事前に天気をチェックしてでかけてください。
由布岳は子どもでも登れますか?
靴などの装備をしていれば可能です。東峰が一般的なコースとなっており、西峰は鎖場があるなど、急峻な山となっています。子ども連れや初心者には、東峰を目指しましょう。
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