皿倉山を昼から満喫
ケーブルカーで夜景スポットへ

皿倉（さらくら）山の山頂からは、100万都市である北九州市内の街並みや、若松と戸畑を繋ぐ若戸大橋などが遠くまで見渡せます。特に夜景の美しさで知られ、八幡製鉄所をはじめとする工業地帯が幻想的に輝く景観です。また、ケーブルカー・スロープカーで山頂まで登ると、展望台はもちろん、絶景を眺めながら食事ができるカフェなどが出迎えてくれます。展望台やカフェのほかにも、眺めのいい登山コースが整備されているため、気軽に登山やハイキングが楽しめるのも魅力のひとつです。

皿倉山の山頂までは、ケーブルカーとスロープカーを乗り継いで約10分。山の麓にある皿倉山ケーブルカー山麓駅から山上駅までは、目安距離1100メートル、標高差440メートル。この距離を約6分間で結ぶケーブルカーは、西日本では最長級。どちらの車窓も全面ガラス張りになっていて360度のパノラマビューを楽しめます。 特に桜や紅葉の時期になると、全面ガラス張りの車窓に広がる一枚の絵画のような絶景に感動する方も少なくありません。山上駅には「皿倉山ケーブルカー神社」もありますので、併せて参拝しておきたいですね。

山上駅から皿倉山の山頂にある展望台駅までは、スロープカー利用で約3分。駅近くの駐車場に車を駐めてから山頂にある展望台駅まで行くのに、スムーズに乗り継げば15分もかからないので、体力に自信のない方や、気軽に夜景を楽しみたい方にもおすすめの観光スポットです。

料金は、ケーブルカー・スロープカー往復通し券を利用すると、大人1,200円、小人600円。時刻表も事前に確認しておくと安心です。

皿倉山ケーブルカーの山麓駅に並ぶ皿倉山ケーブルカーパズルや皿倉山ケーブルカーせんべいといったお土産に人気のオリジナルグッズを見るのもお忘れなく。

登山目的に訪れる方も多い皿倉山では、8つの登山ルートが用意されていて、豊かな自然を五感で楽しむことができます。登山コースは、初心者向きなのは、「皿倉表登山道コース」。中級者向きなのは、「花尾・帆柱コース」、「河内登山コース」、「強雨集自然歩道コース」、「大蔵登山道コース」。上級者でも満足できる「煌彩の森コース」、「国見岩コース」、「鷹見神社奥宮参拝コース」と、さまざまなコースが設けられています。

「皿倉表登山道コース」 皿倉山ケーブルカー山麓駅前から山頂に向かう舗装道路と併用する表登山道は、8コースの中で最も利用者が多いコース。1937年に登山道沿いの景観に優れた15カ所を「帆柱15景」に選定。 上りながらもよし、下りは下りの景色があってすばらしいコースです。道路沿線の植生を観察しながら歩くのにも手頃で、四季折々の景色が楽しめます。

「大蔵登山道コース」 各登山口の中でも最も周辺開発が進んだ地域。昔の面影は薄くなり、登山口は住宅表示の末広町12番が目印です。八幡製鉄所の送水路を過ぎてから山道もやや急坂になりますが、それを過ぎれば残りの坂は比較的緩やか。茶臼山城跡の史跡の端を登りながら、市内の眺望や花木類を楽しむことができます。最後は国見岩コースと合流します。さわやかな大気と眺望に心身ともにリフレッシュできるコースです。

「東河内登山コース」 南側からの皿倉山登頂をめざすコースです。河内貯水池のそばに駐車できて便利です。駐在所横の北河内川にそって上流へ進むと、30分ほどで林道と出合います（一の出合）。そのまま谷川沿いに20分ほどすすむとまた林道に出合います（二の出合）。さらに登ると森林植物園に到着。そのまま皿倉平へ進めば、皿倉山頂まであと一息です。

「花尾・帆柱コース」 このコースは花尾山・帆柱山の城跡を訪ねながら登る歴史の旅コース。帆柱山へいたる道は百年の森と称される老齢古木の間を歩きます。2時間ほどで手軽に往復出来る花尾山には健康登山を目指す愛好者も多いです。

「九州自然歩道コース」 九州自然歩道の出発原点は皿倉山頂の石碑で、意外と知られていない地点です。市瀬峠は福知山・尺岳方面からの中継地点で、皿倉山を目指す上では最後の難所となる登りになります。木製の階段を上り、権現山周回コースに到着すれば、あとは皿倉平まで平坦コースになります。

「煌彩の森コース」 皿倉山ケーブルカー山麓駅前から皿倉山頂をめざして一気に登る最短で急坂コース。出発地点からすぐ上り坂になるので、元気で健脚の方向きのコース。それでも人気は高く、老若男女の挑戦者や昔からの根強いファンが多いです。途中の眺望は、大半が林内のためあまり視界はよくないですが、大木の森を身近に観察でき、針葉樹林から落葉樹林に変遷していく様を楽しめます。

「国見岩コース」 皿倉山ケーブル山麓駅の左横の住宅地を通り、帆柱稲荷神社の方向に進むと、やがて国見岩コース急坂地点に到着。市有の環境保全林の歩道を登るにしたがって、シーズンにはサザンカ・アセビ・コブシなどの花木を楽しむことができます。市内を眼下にしながら気分も爽快、眺望ではトップのコース。国見岩まで到着すれば、あと一息で皿倉山頂です。汗を流した分だけ報われるコースです。

「鷹見神社奥宮参拝コース」 鷹見神社から上宮を経由し、奥宮までの約2.5キロメートルの間に11の宮跡があります。昔から信者が参拝のために往来していたコースで、参拝道として有名です。権現山周回コースを横切り山頂に向かって50メートル程登ったところが上宮、さらに権現山頂に向かって登ると奥宮が鎮座しています。戦前は権現山頂の中程にあったそうですが、山頂を削り取ったときに今の場所に移動したと言われています。

各コースにはそれぞれ名所があり、「皿倉表登山道コース」の6合目あたりには、帆柱15景のひとつで、樹齢を重ねた楓と杉の見事なコントラストが楽しめる「楓杉峡」。「国見岩コース」には、山頂から徒歩5分ほどのところにある北九州市内を眼下に眺められる「国見岩」。岩場の高さは約7メートルあり、現在はロッククライミングの練習場にもなっています。権現山周回路には、樹齢200年生以上の老杉が約80本も林立する「皇后杉の群落」、四季折々の草花などに恵まれた「帆柱森林植物園」など歴史や自然の豊かさを感じられます。

皿倉山といえば、ブリタニカ国際事典日本語で世界のさまざまな単語を分かりやすく説明してくれる小項目事典にも登場する北九州観光で定番夜景スポット。「モノづくりの街」として有名な北九州のきらびやかな工場夜景を見に多くの観光客が訪れます。奈良県の「若草山」や山梨県の「笛吹川フルーツ公園」とともに、「新日本三大夜景」に選ばれ、「100億ドルの夜景」の異名をとるほど、美しいパノラマ夜景が広がっています。北九州市の若戸大橋や八幡製鉄所、下関方面までが一望できます。特に洞海湾（どうかいわん）沿岸の工業地帯らしい地形に沿って、きらきらと輝く街の光がロマンチック。

スロープカーからの夜景が楽しめるのも押さえておきたいポイント。夜間に乗車すると、スロープカーの照明が暗くなり青色のライトで照らされた車内で、市街の景観を眺めながら夜の空中散歩が楽しめます。目の前には、皿倉山を訪れた記念に、写真におさめたいほどの絶景が。頂上の展望台駅には、乗降場に暗闇で光る蓄光石が敷き詰められています。夜空にきらめく星空と、地面に敷き詰められた蓄光石の柔らかな光で幻想的な風景に包まれます。また、展望台駅にはハート型の蓄光石があるのでぜひ探してみてくださいね。

山頂にある3階建ての「皿倉山展望台」には、人気の展望施設である最上階のパノラマ展望台のほかに、一面ガラス張りになっている2階展望台レストランや1階のコミュニティルームがあります。レストランで食事と一緒に、夕暮れの景色を堪能し、日が暮れてから展望台で、大パノラマの夜景を満喫するのも上手な楽しみ方。

展望台駅から歩いて50メートルほどのところにあるのが、「天空ドーム」。中にはハート型のモニュメントが設置されています。御影石でできたこのモニュメントには6つの穴が空いており、カップルが手を差し込み、お互いの手をつないだ状態でハートをのぞくと、“愛（あい）”とかけて沖合の藍島（あいのしま）が見えるような仕掛けとなっています。土・日・祝日は夕方17時から、夜空に浮かび上がるようにライトアップされる北九州市屈指のデートスポットです。山頂は風が強く、街中よりも気温が下がるので、上着を忘れないようにしましょう。

皿倉山散策の途中に訪れたいのは、皿倉山内にある唯一のレストラン、皿倉山展望台2階の「Cafeマウンテン 皿倉山展望台レストラン」。一面ガラス張りの店内からの眺めは抜群。エビドリア、ガレットなどの洋食から、そばやおにぎりなどの和食、そば団子やパンケーキなどのスイーツまで品ぞろえが豊富です。ビール、日本酒などアルコール類もあるので、山頂からの眺めを堪能しながらキンキンに冷えたビールを楽しむこともできますよ。おすすめは、焼きカレー。じゅうじゅうと焼かれた焼きカレーが鉄板ごと出てきます。スプーンですくい上げるとチーズがとろ〜り。チーズとカレーの相性が抜群です。ほかにも、季節のソフトクリームは、ベルギーチョコや、マンゴー、抹茶など、季節によってフレーバーが変わります。登山で火照った後だと、冷たいソフトクリームが一層おいしく感じられますよ。

さまざまな食文化のある北九州。皿倉山周辺にも絶品グルメが勢ぞろい。実は「チャンポン」も有名で、チャンポンと言えば長崎を思い浮かべる人も多いと思いますが、ここ北九八幡でも有名なんです。中でも人気があるのが、JR八幡駅前にある「八幡のチャンポン」。人気番組ケンミンshowでも紹介された地元の人気店です。一番人気メニューである「八幡のチャンポン」はなんとチキンカツがのったチャンポンです。じっくり煮込んだ鶏ガラのスープは優しい味で、子どもも安心して食べられます。また、この店でチャンポンに負けないぐらい人気なのが、焼きそば。チャンポンと同様チキンカツがのったものも注文でき、お店の2大看板になっています。

チャンポンのほかにも、戦前から官営製鐵所で働く肉体労働に人々を陰で支えてきたスタミナ料理「八幡ぎょうざ」も有名。「本店鉄なべ」が発祥と言われていて、普通の餃子に比べてサイズが小さく、柚子胡椒を薬味に使うのが特徴です。八幡ぎょうざには「鉄なべ系餃子」、「中国本土系餃子」、「ラーメン系餃子」、「お母さん系餃子」と4つの系統があり、それぞれ味やスタイルに違いがあり、とてもバラエティー豊かです。

スポット周辺には、西日本屈指の規模を誇る「北九州市立いのちのたび博物館」や唐づくりの天守閣が特徴的な「小倉城」、小倉城から徒歩圏内の江戸時代の大名屋敷を思わせる「北九州市立小倉城庭園」などの観光スポットも。小倉城の5階に設けられた展望ゾーンからの市街地の眺めも格別です。日帰り休憩プランのあるリゾートホテル「Active Resorts福岡八幡」も近くにありますので、食事や温泉を満喫しながら休憩するのもおすすめです。

公共交通機関を利用して皿倉山へ行く場合は、最寄りのJR八幡駅から西鉄バス42番の「八幡製鉄所総合センター」行きへ。土日祝には、JR八幡駅と皿倉山ケーブルカー乗り場の山麓駅との間を無料送迎バスが運行していますので、ぜひ利用してください。