大分発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
更新:2019年12月17日
日本1位の湧出量を誇る大分県の別府八湯。そのなかで最も湯けむりが集中しているのが「鉄輪(かんなわ)温泉」です。ノスタルジックな古い町並みを歩き、噴気で蒸した地獄蒸しを満喫。1日では物足りないツウな湯治体験に出かけましょう。
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別府のホテルを目的やテーマ別にピックアップ。実際に見て泊まって選んだおすすめ宿をランキング形式で紹介します。
別府の宿でよく見られている推し宿特集
ローカル案内役 藤田 秀樹(たびらい編集部)
福岡県出身。九州内の食べ歩きスポットを探し続ける編集スタッフ。カメラ片手に友人・知人を巻き込んで観光スポットにも出没。
大分県と言えば、ユニークなCMや温泉を生かしたアトラクションがそろう期間限定の「湯~園地」など、温泉で人気のおんせん県。温泉地が点在する日本において、別府八湯はダントツ1位の湧出量を誇っています。別府、浜脇、観海寺、堀田、亀川、柴石、明礬、そして鉄輪(かんなわ)が八湯に数えられます。 鉄輪温泉は、別府に次ぐ規模の温泉地であり、他のスポットに比べて最も多くの湯けむりが集中しています。高台から町を眺めると、建物の間からたくさんの白い湯けむりが立ち上っている光景を見ることができます。 別府で密かなブームを巻き起こしているジモ泉をご存知ですか。 日本屈指の温泉地として栄え、古くから共同浴場が発達していた別府では、今でも実に100ヶ所近くものジモ泉があります。別府周辺の鉄輪温泉にも、地元の人たちが日常的に使用している共同浴場の“ジモ泉”が多く点在。9カ所ほどがあります。入湯料は基本的に100円のところが多く(一部異なる)、なかには無料の浴場もあって、地元の人はもちろん温泉好きにはたまらない環境です。 ジモ泉の泉質は塩泉であるところが多いですが、それぞれの浴場で成分が異なるので、湯治で利用するなら事前に特徴を調べていくのがおすすめ。例えば、「すじ湯温泉」は、すじ=筋のことを指し、神経痛に良いといわれる共同浴場です。ここには水道がないので、洗髪などはできず、源泉の湯船につかるのみ。それでも、腰痛がある地元のお年寄りなどが、足繁く通ってきます。 昔から湯治場として知られてきた鉄輪温泉では、心身を癒やす健康目的の場のみならず、近隣住民とのコミュニケーションの場としても親しまれており、現代でも毎日温泉に通う地元の方も少なくないとか。温泉のパワーを取り込むには、数日間滞在して、繰り返し温泉に入るのがおすすめ。 温鉄輪温泉内にも、9つの共同浴場があります。美肌効果の高い含ホウ酸食塩泉が湧く地獄原(じごくばる)温泉以外のほとんどの温泉で、保湿効果が高く湯冷めしにくい塩化物泉を味わえます。 1湯めは温泉街から少し奥まった場所にある「谷の湯」で不動明王を眺めながらの湯浴み、2湯めは湯雨竹が設置された「渋の湯」など、同じ塩化物泉でも少しずつ成分やはざだわりは変わりますので、お気に入りの常宿を見つけて、趣の異なるジモ泉巡りを楽しんでみてはいかがでしょうか。 鉄輪温泉の周辺には、人気の旅館も多く、ネットからのホテル予約も可能です。「 入舟荘」にはキッズプラン、「 べっぷ昭和園」には離れでゆったり部屋食プラン、「 forest inn BORN」には【記念日】ケーキとスパークリングワインでおもてなしプラン、「 癒しの宿 鷹勝」には【鷹勝×たびらいレンタカー】たびらいレンタカー利用で1000円引き!などの観光客に人気のプランがありますので、宿泊プラン一覧はサイトから確認してみてください。
湯温が約100度と高温な明礬温泉。温泉街のひょうたん温泉や渋の湯で全国でも珍しい湯雨竹(ゆめたけ)を見かけることがあります。 湯雨竹とは、上部から流した源泉が数秒かけて竹を伝って落ちることによって、約47度にまで冷ますための冷却装置のこと。ひょうたん温泉で2005年に発明されたエコな装置には、効能豊かな温泉を薄めることなく、源泉かけ流しのまま楽しんでもらいたいという熱い思いが詰まっています。 また、昔ながらの和室を備えた旅館が数多く立ち並ぶ温泉に、新たな魅力を持った新名所の宿泊施設「杜の湯リゾート」が誕生。岩風呂の露天風呂や広々とした内湯などがある大浴場の風呂で単純泉に浸かったり、天然温泉がなみなみと注がれた庭園露天「空の湯」に水着を着用してファミリーやカップルで満喫したり、こだわりの調度やシモンズのマットを配すなど居心地の良さを追求した客室で緑豊かな風景を眺めながらくつろいだりと、リゾート感あふれる上質な空間に癒されます。 ネットからの予約が可能な「杜の湯リゾート」は、別府温泉のホテル・旅館の情報を紹介するページにも専用ページを追加済み。通常は大人が1300円、子どもが650円の利用料金がかかる「空の湯」の入浴券が付いたおすすめのプランや、連泊プラン、1泊朝食付きのプランなど、お得に温泉や食事を堪能できる魅力的なプランが用意されていますので、予約の際には宿泊プラン一覧を確認してみてくださいね。
鉄輪温泉のシンボル的ストリートが「いでゆ坂」です。その名のとおり、ゆるやかな坂になっていて、明るい色合いの石畳と周囲の古い建物がノスタルジックな景観をつくり出しています。鉄輪温泉のほぼ中心を通る道のため、湯巡りや食べ歩きの際の目印におすすめです。 いでゆ坂の途中には、鉄輪温泉の始まりに由来する「永福寺」があります。鉄輪温泉は、鎌倉時代に時宗の開祖・一遍(いっぺん)上人によって開かれた湯治場。その頃、人々は地面から吹き出す熱湯や噴気に苦しめられていましたが、一遍上人が鎮め、名湯の数々をつくったのが始まりだといわれています。 永福寺は、一遍上人が開いた寺で、毎年9月には上人に感謝する「 鉄輪湯あみ祭り」が行われています。寺の境内には、大きな阿弥陀如来像や石像があり、本堂には自由に入って参拝可能。1954年に四国の絵師によって描かれた美しい天井絵は必見です。 一遍上人がつくった鉄輪温泉の共同浴場のなかでも、むし湯とともに最も歴史が古いといわれる「熱の湯」もぜひ訪れてみて。体の中の熱を除去する効果があるという言い伝えがあります。浮湯、怒湯(いかりゆ)、金の湯、兎狩(うさぎがり)の湯との呼び名も。 無料で利用することができ、扉を開けるとすぐに脱衣所があり、浴槽へと続きます。タイル張りの懐かしい雰囲気で、いつも地元の人たちで賑わっています。建物の隣には、1975年代初期まで湯元として使われていたレンガ造りの「熱の湯源泉跡」もあります。 熱の湯を堪能した後は、いでゆ坂に戻り、「湯けむり通り」へ入りましょう。道の真ん中から白い噴気が黙々と上がるさまは、温泉地ならではの光景です。通りを歩いていると、緑のツタがはう古めかしい建物を発見。今は使われていない「健康の館かんなわ」は、昔は映画館として活躍。山のような曲線を描くエントランスが特徴的で、古き良き時代の余韻を漂わせています。 アクセスについては、東京の羽田と成田や大阪の伊丹空港、名古屋の中部国際空港からだと大分空港が車で約45分の距離に、東京の羽田空港や名古屋の小牧空港、沖縄の那覇空港からだと東九州自動車道を経由すると車で約95分と、便利な距離にあるため、遠方からの観光客が多いのも納得です。
「鉄輪温泉でおいしいものを食べたい!」という人には、大分名物の「地獄蒸し」がおすすめです。地獄蒸しとは、地獄から湧き出る噴気を利用した“蒸しグルメ”。さまざまな食材を噴気が湧き出る釜の中に入れ、蒸してから食べる料理です。 地獄蒸しはたくさんのところで提供されていますが、自分で地獄蒸しを作って食べる体験ができる「 地獄蒸し工房 鉄輪」は特におすすめ。地獄蒸しで使用する食材は、じゃがいもやさつまいもなどのイモ類、とうもろこしなどの野菜がメインですが、ここでは海鮮や肉類などのセットも販売されています。 豊富なメニューの中から好みの食材セットを選び、15基の釜が並ぶ場所へ移動。スタッフの指導に従って、もくもくと上がる噴気の中へ食材を入れます。あとは食材の種類によって10分から20分待つだけ。蒸し上がった食材を持って、施設内でいただけます。 備え付けの塩やポン酢につけてもいいのですが、まずは味付けなしのままトライを。塩分を含んだ噴気によって、食材の風味が格段に変わり、硬い根菜類や肉も柔かくなっているのには驚きです。 「もっと気軽に地獄蒸しを食べ歩きたい」という人には、町のスーパー「ことぶき屋」で「地獄蒸しセット」を注文してみてください。根菜類やとうもろこしなどの食材を店の裏にある地獄釜で蒸してもらい、ファーストフード感覚で食べられます。ことぶき屋の地獄蒸しセットには、隣にある「鉄輪豚まん本舗」の豚まんが入っているのがポイントです。 ことぶき屋のはす向かいの湯治宿「 湯治 柳屋」の地獄蒸しにも注目。湯治宿の柳屋が手掛けており、店内を利用した人はもちろん、散策を楽しむ人にまで、サリーガーデンのシフォンケーキをさらに地獄蒸しにして無料で提供しています。 看板メニューのシフォンケーキは、安心院(あじむ)の山奥で採れた新鮮な地卵を使っており、ふんわりとした食感と、豊かな風味が人気。定番6種類のシフォンケーキのなかから、本日のおすすめのひと欠片を店先の地獄釜で蒸して手渡してくれます。地獄蒸ししたシフォンケーキは、味わいが凝縮しており、一風変わったスイーツに。ぜひ、こちらも試してみて。
鉄輪温泉【住所】大分県別府市鉄輪 【問い合わせ(TEL)】 ・観光全般については 別府市役所 観光課 0977-21-1128 ・市営温泉については 別府市役所 温泉課 0977-21-1129
電車で
JR博多駅から日豊本線で約1時間55分、JR別府駅西口から亀の井バスで「鉄輪」バス停下車
車で
博多から……大分自動車道利用で約1時間30分 大分市内から……大分自動車道利用で約20分、一般道(国道10号線)で約35分 大分空港から……大分空港道路利用で約40分
高速バスで
「福岡」バス停から約2時間(西日本鉄道・大分交通・亀の井バス)、「鉄輪口」バス停もしくは「別府北浜」バス停下車
鉄輪温泉エリア内の移動手段は?
鉄輪温泉の中心地は、ほぼ徒歩で巡ることができるくらいの広さです。いでゆ坂を中心に目当てのスポットを散策すると分かりやすいですよ。筋湯通りや熱の湯通りなど、名前に「湯」がつく通りが多く、古い町並みと道から湧き上がる湯けむりがノスタルジックな景色をつくり出しています。いでゆ坂をはじめ、ほかの通りも坂道が多いのですが、ゆるやかな傾斜なので体力に自信がない人も楽に町歩きが楽しめます。
鉄輪温泉でおすすめの観光スポットは?
「別府地獄巡り」がおすすめです。地獄組合に加入している7つの有名な地獄のうち、なんと5つの地獄が鉄輪温泉エリアにあります。エネラルドグリーンの色が美しい海地獄や、テーマパークのようににぎやかなかまど地獄をはじめ、山地獄、鬼石坊主地獄、鬼山地獄、白池地獄はコンパクトに巡ることができます。どの地獄も大人400円の入場料ですが、5カ所以上の地獄を巡る場合は、共通観覧券(大人2000円)を購入するとお得です。
鉄輪温泉の通な過ごし方は?
鉄輪温泉内には、地元の人たちが日常的に訪れる共同浴場がたくさんあります。これらの共同浴場は、朝の6時30分から開いているところが多いため、朝風呂から楽しむのがおすすめ。また湯巡りだけでなく、モーニングを提供しているカフェや、朝から参拝できる寺社もあるので、湯巡りと絡めた朝活ができるのも魅力です。
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