千歳市苔の洞門|まるで緑の絨毯を敷き詰めたよう!岩壁がコケで覆われた天然の回廊。
登山客に親しまれる神秘の洞門

支笏湖ビジターセンターのある支笏湖温泉街から、車で20分ほど洞爺湖方向に行くと苔の洞門駐車場に着きます。駐車場から苔の洞門の入口まで約750メートルのゆるやかな上り坂を歩くと、苔の洞門入り口の展望台に到着します。
ここは、元文4年(1739)7月に樽前山が噴火した際、流れ出た溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)が長い年月をかけて沢水や土石流で侵食されてできた渓谷。下流の第1洞門と、その上流の第2洞門で構成され、共に両岸の岩壁がコケで覆われた回廊です。大正時代から樽前山への登山路として使われており、昭和初期の登山ガイドブックでは「唐沢(からさわ)」と呼ばれ、登山客に親しまれていました。苔の洞門の名称は、函(はこ)状の涸沢内の岩壁にコケ(蘚苔類)が密生していることから名付けられたといいます。
岩盤に密生したコケは、日射量、気温、湿度の微妙な調和によって出現したもので、緑の絨毯を敷き詰めたような不思議な雰囲気を醸し出しています。コケの本格的な調査は、昭和53年(1978)8月にはじまり、35種の苔が報告されていました。平成23年(2011)には環境省の調査が行われ、さらに詳細な調査が必要なものを含め84種となっています。現在は岩盤崩落の危険があるため回廊を歩くことができなくなっていますが、平成30年(2018年)7月~10月は落石の危険がない範囲限定で洞門内部のガイドツアーを3回開催。学術的にも貴重な場所を見学する機会が設けられます。
【投稿日】2018年05月14日(月)【投稿者】松田 謙介