1. 野付半島 道東にある「この世の果て」を満喫する方法

達人指南

現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。

野付半島 道東にある「この世の果て」を満喫する方法

  「北海しまえび」漁が行われる野付湾。豊かな海産物をもたらすこの浅い湾をつくり出しているのが、別海町と標津町にまたがる野付半島です。おすすめのデイツアー、独特な景観のトドワラ・ナラワラの秘密、そしてイチオシグルメまで野付半島の楽しみ方をガイドします。

野付半島 トドワラを歩く人

  野付半島(のつけはんとう)は北海道の東、知床半島と根室半島の中間に位置し、別海町(べつかいちょう)と標津町(しべつちょう)にまたがる砂嘴(さし)。砂嘴とは、岸沿いに流れる海水によって運ばれた土砂が堆積してできる、海上に長く突き出た地形のこと。全長約26キロの野付半島は、日本で最大の砂嘴です。

その自然の豊かさから、北海道遺産やラムサール条約にも登録されている野付半島を紹介! 季節の花、そして、地盤沈下によって生まれた幻想的なスポット「トドワラ」など、野付半島の独特な楽しみ方をネイチャーセンターのスタッフに聞きました。

ライター/宮津有沙 更新/平成30年(2018)1月


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野付半島の達人
(くさなぎ あきこ)
草薙 亜紀子さん

野付半島の達人
  東京出身。20年以上にわたってフリーランスの野生生物調査員として活躍した後、野付半島ネイチャーセンターの専門員として勤務中。幼少の頃から生き物に触れ、野鳥の調査を通じて道南以外の北海道全エリアに足を向けている自然のスペシャリスト。好きな鳥はクマタカとフクロウ類。

花畑と海を一度に堪能! 野付半島は人気の花名所

野付半島 エゾカンゾウ

  野付半島 ハマナス

野付半島の魅力のひとつに、5月~10月にかけて咲き乱れる花々が挙げられます。クロユリ、センダイハギ、エゾカンゾウ、ハマナスなど、時期によって種類を変える天然の花畑が、島の随所で出迎えてくれます。

野付半島 フラワーロード散策

野付半島の付け根から始まるのは、「フラワーロード」と名付けられた一本道。左右には天然の花畑、そしてその両側には海が広がっています。その道幅は、狭いところでなんと50メートル! まるで海の上を走っているかのような感覚です。

野付半島の中でも最も人気の花名所は、「野付半島ネイチャーセンター」から「トドワラ」へと続く遊歩道です。どの季節も魅力的ですが、最も華やかでおすすめの季節は6月~8月中旬。この時期でも、野付半島周辺は霧が多く寒いので、上着や雨具を持っていくのがおすすめ。霧の中に咲くハマナスやエゾカンゾウは、一見の価値ありの美しさです。

野付半島「野付崎灯台」と原生花園

野付半島 タンチョウ

さらに、おすすめの花名所をもうひとつ。野付半島ネイチャーセンターから約3キロの場所に位置する「野付崎灯台」周辺です。花のほかに、灯台近くの池には野鳥観察舎があり、運がよければタンチョウの姿を見られる可能性があるのです。

尾岱沼発の観光船を利用して、野付半島を深く楽しもう

野付半島 トドワラ散策

  野付半島の自然を深く楽しみたい人は、ネイチャーツアーに参加してみましょう。尾岱沼(おだいとう)の乗り場から観光船に乗り、クルージングしながら肌で感じる大自然は格別。海上では野生のアザラシが見られることも!

野付半島「打瀬舟」

野付半島 観光船クルーズ

▲特に、6月中旬の初夏から始まる「北海しまえび漁」の時期は、この観光船を利用するのがおすすめ。野付湾(のつけわん)の北海しまえび漁は、浅瀬に繁茂するアマモを傷つけないよう「打瀬舟」という特別な帆船を使って行われます。

三角の帆を広げ静かに進む野付湾の打瀬舟は、北海道遺産にも認定される野付の風物詩ですが、道路からも野付半島ネイチャーセンターからも、遠い場所で行われていることがほとんど。この船を間近で見て楽しめるのが、観光船クルーズなのです。

野付半島 夏のツアー

野付半島 クロユリ

花の季節を手軽に楽しみたい方には、「トドワラ往復コース」(2名から。大人1名3000円)がおすすめです。これは、荒涼としつつも幻想的な風景をもつ「トドワラ」と、花畑の遊歩道を堪能する約100分のコース。トドワラとネイチャーセンターの間、往復約3キロの道のりをガイドの解説を聞きながら散策し、自然と不思議を満喫できます。

もっと時間をかけて野付半島を楽しみたいには、「野付半島ひとまわりコース」がぴったり(2名から。大人1名7500円)。ネイチャーセンターのガイドさんに案内してもらいながら、約4時間をかけて半島を巡る充実のコースです。

ガイドさんとは、観光船の船着場である「トドワラ」で待ち合わせ。トドワラと遊歩道に加え、灯台周辺やナラワラまで足を延ばすことができます。観光船に乗った場所まで戻るので、マイカーやレンタカーはもちろん、公共交通機関を利用して旅をする人にも安心です。

野付半島が生んだ幻想風景「トドワラ・ナラワラ」の魅力

野付半島 トドワラ

  野付半島は、実は全体が地盤沈下を起こしており、やがてはなくなってしまう土地といわれています。海水に浸食された森が立ち枯れ、トドマツがそのまま残るスポットが「トドワラ」です。

立ち枯れた木々が幻想的と評判になり、有名アーティストのプロモーションビデオやCDジャケットの撮影場所として使用されたことも。現在も浸食が進んでおり、特に近年の爆弾低気圧の影響で枯れ木が流され減少。残った枯れ木も年々土に還っており、いずれはこの景色も見られなくなってしまうかも・・・…。

野付半島 トドワラとアッケシソウ

野付半島 アッケシソウ

▲トドワラには、塩分に強い植物であるアッケシソウ(通称/サンゴ草)やウラギクが繁茂しています。赤や薄紫色のこれらの植物が絨毯のように広がり木々を囲む様子は、よりいっそう幻想的。この景色を楽しみたい人には、晴れの日が多くアッケシソウが色づく9月~10月に訪れるのがおすすめです。

野付半島 ナラワラ

▲トドワラの他に、風化したミズナラが立ち枯れたまま残る「ナラワラ」も有名です。緑の中に、骨のような白い枯れ木が立ち並ぶ光景はなんとも不思議。こちらは立入禁止のため、近くの駐車場からそっと眺めましょう。

野付半島で味わいたい注目グルメ

野付半島 北海シマエビ

  野付半島では、明治時代から伝わる帆舟「打瀬舟」を使った前述の北海しまえび漁が行われます。この漁が行われる季節は、6月下旬~7月下旬、10月中旬~11月中旬の2シーズンです。

野付湾で獲れる新鮮な北海しまえびを味わいたいなら、打瀬舟漁から塩茹で加工までを見学できる「シマエビ体験プログラム」に参加を。こちらは、漁をより間近で見られる小型舟に乗りこみ、じっくりと見学できるツアー。通常は立ち入ることのできない競りの様子や、塩茹で加工の見学、試食までを楽しめます。問い合わせは別海町観光船(0153-86-2533)まで。

野付半島 別海ジャンボホタテバーガー

さらに、野付半島で味わえるグルメのひとつが「別海ジャンボホタテバーガー」。こちらは、野付沖でとれた肉厚な天然ホタテを春巻きにし、道産小麦のバンズではさんだご当地バーガーです。平成23年より開催されている「全国ご当地バーガーグランプリ」で初代グランプリを獲得、また二連覇を達成したことでも有名なバーガーです。

野付半島ネイチャーセンター内のレストラン「野花」(営業/5月~10月)でも提供されています。旅のお供に味わってみてはいかがでしょうか。

夏だけじゃない! 野付半島の冬の魅力

野付半島 冬のトドワラ散策

  夏季の花々が美しい野付半島ですが、その魅力は夏だけではありません。





水深が浅い野付湾は、冬期には一面が氷結。凍った氷の上をスノーシューで歩くことができるネイチャーガイドツアー「トドワラ・氷平線ツアー」(2名から。大人1名3500円。※スノーシューレンタル代含む)が人気を集めています。広々とした氷の上は、まるで南米ボリビアの「ウユニ塩湖」のよう、と大評判。

この「トドワラ・氷平原ツアー」では、ガイドさんが撮影方法をアドバイスするトリック写真を楽しめるほか、半島に訪れるオオワシ・オジロワシなど冬の猛禽類を観察できる貴重なチャンス。開催期間は、野付湾の海面が凍る1月~3月上旬頃です。

野付半島 四角い太陽

また、厳冬期に見られる珍しい光景として有名なのが、「四角い太陽」。空気の温度差によって光が屈折し、太陽が四角く見える現象です。蜃気楼の一種であり、条件が整った日の出のタイミングに見られます。野付半島は「四角い太陽」の人気観察スポットなのです。遭遇を狙って、早朝に訪れてみるのもいいですね。

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野付半島ネイチャーセンターへの交通アクセス

野付半島ネイチャーセンターの施設情報

  【住所】野付郡別海町野付63番地
【開館時間】4月~10月/9時~17時、11月~3月/9時~16時
【休館日】年末年始(12月30日~1月5日)
【問い合わせ】0153-82-1270
【公式サイト】http://notsuke.jp/

車(レンタカー)で

  釧路駅から国道391号線、または国道272号線を経由し、約130キロ、約2時間30分

別海町観光船への交通アクセス

別海町観光船の施設情報

  【住所】野付郡別海町尾岱沼港町232
【料金】
 ・トドワラコース(約80分)大人往復2480円
 ・トドワラコース(ネイチャーガイドセット/約4時間)乗船料+ガイド料7500円
 ※他、さまざまなプランあり。詳細は公式サイトへ
【問い合わせ】0153-86-2533
【公式サイト】http://www.aurens.or.jp/~kankousen/

車(レンタカー)で

  釧路駅から国道272号線を経由し、約110キロ、約2時間

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