大分県北東部、国東半島の南に位置する杵築市は、江戸時代には3万2000石の城下町として栄えた、豊後の小京都です。そのシンボルともいえる「杵築城」は、1394年の築城以来、600年もの間この町を見守ってきました。
現在の模擬天守は後世になって建てられたものですが、青空に映える三層の天守閣は、当時の姿を偲ばせます。「日本一小さい城」ともいわれる杵築城。そのかれんな姿は町の至るところから眺めることができ、人々の心を和ませています。天守閣内は鎧兜や刀など、杵築藩に伝わる史料が展示されているのも魅力です。レプリカではなく、戦国時代に実際に使われていた甲冑を身に着けて記念撮影できるのも驚き。天守閣の最上階からは、市街地はもちろん、守江湾や八坂川の絶景を眺められます。
そんな杵築城をもっとディープに楽しむなら、お祭りやイベントの時期に訪れるのもおすすめ。毎年ゴールデンウィークに行われる「きつきお城祭り」は、江戸時代の衣装を身にまとった人々が江戸行列を再現して町を練り歩いたり、大衆演劇などが開催されるなど、杵築の町がお江戸一色に染まります。さらに7月には、300年もの歴史がある「杵築天神祭り」も。天満社で神事が行われた後で、飾り山などの山車が町を練り歩き、祭りのクライマックスでは山車同士がぶつかり合う迫力満点の「御上り」という見せ場もあります。
茶の湯文化が根付く杵築では、茶会のおもてなしから端を発したイベントである「観月祭」(10月)や、城下町にちなんで古式ゆかしい「ひいな」の名で呼ばれるお雛様が飾られる「城下町杵築散策とひいなめぐり」(2月~3月)が企画されています。
杵築城の周辺にも立ち寄りたい観光スポットが点在。杵築城周辺の公園に面した場所にある、古い米蔵を利用した「杵築レトロ館」もそのうちのひとつ。オーナーの有田さんが30年前から収集してきた、おもちゃやレコード、人形、文具用品、看板など、昭和の生活雑貨が2000点以上も展示されている観光スポットです。入館者には珈琲など飲み物のもてなしもあり、有田さんや地元の方と昔懐かしい話に花が咲くことも。当時の人々の暮らしが鮮やかに蘇ります。
JR杵築駅から杵築城まではバスが出ており、人気の武家屋敷エリアも徒歩圏内。四季折々の楽しみ方で杵築城エリアを満喫しましょう。
■杵築レトロ館
【住所】大分県杵築市大字杵築字多門6-2
【営業時間】10時~17時
【入場料】大人500円、3歳~中学生300円、3歳未満無料※ドリンク付き
【定休日】火曜
【駐車場】あり
【問い合わせ(TEL)】0978-63-5228