北海道発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
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達人指南
現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。
馬産地のお膝元・日高町にある門別競馬場。地方競馬ならではのナイトレースで盛り上がり、名物グルメに舌鼓。競馬ファンはもちろんビギナーや女性、ファミリーまで大いに楽しめる門別競馬場の魅力を紹介する。
平地では道内唯一の地方競馬場である門別競馬場は、国内屈指の馬産地である日高町にある。全日程でナイトレース「グランシャリオナイター」が組まれており、ライトアップされた馬場で繰り広げられるレースは見どころのひとつ。美しい馬体を間近で見られるパドック、生産者の思いが伝わる馬産地ならではの雰囲気、レジャー感覚で競馬を観戦できる施設や名物グルメもあり、競馬ファンはもとよりビギナーやファミリーもホッカイドウ競馬の魅力をたっぷりと体感できる。競馬のあとはアクティビティや温泉で日高の大自然を満喫するのもおすすめだ。ライター/佐々木美和 投稿/2015年 7月北海道ローカル案内役が厳選おすすめホテル特集
[たびらいセレクション]
(はまちか ひでし) 浜近 英史さん
北海道の競馬は横浜に次いで日本で2番目に古い歴史を持っています。明治時代に来道した外国人によって近代競馬の礎が築かれたのち、札幌と函館の競馬倶楽部が公認競馬として日本競馬会(現在の日本中央競馬会=JRA)に統合されていきました。一方、道内各地で行われていた祭典競馬や草競馬は地方競馬に再編され、「ばんえい競馬」と「道営競馬(現在のホッカイドウ競馬)」として開催されていましたが、現在ばんえい競馬は帯広のみ、ホッカイドウ競馬は門別のみで開催されています。 門別競馬場は1997年に誕生した、現存する地方競馬場としては全国で最も新しい競馬場。2009年には観戦スタンド「ポラリス☆ドーム」が新設され、ぐっとモダンで明るい印象になりました。門別競馬場では全日程でナイター競馬「グランシャリオナイター」が組まれており、14時半~15時頃からレースが始まり、全12レースが終了するのは21時近く。日が暮れるとシェル型の白いスタンドがライトアップされてオレンジ色に輝き、ナイトレースに華を添えてくれます。ホール内には大型ビジョンが設置され、門別競馬場はもちろん他都市の地方競馬のレース中継も観ることができます。馬場側は全面ガラス張りなので、雨天や寒い日の観戦も快適です。
門別競馬場のパドックは他の競馬場と比べて馬との距離が断然近く、馬の息遣いまで間近で感じられるのが魅力です。牧柵のような囲いも馬産地らしい雰囲気を味わわせてくれる粋な演出だと思います。パドック前に設けられた「ポラリス☆デッキ」ではゆっくり座って馬を見たり、食事を楽しみながらくつろぐこともできますよ。馬はとてもデリケートな動物なので、大声を出したりフラッシュ撮影などはしないようにしてくださいね。 競馬ファンにとってパドックはレース直前の馬の状態を自分の目でチェックできる重要な場所。毛ヅヤや発汗状態、馬体のバランス、歩き方はリズム良く落ち着いているか、首を大きく振ったり後ろ足を蹴り上げるなど興奮し過ぎていないか……などがおもなチェックポイントですが、その見極めはベテランでもなかなか難しいもの。直感でいいなと感じた馬に賭けるというのもひとつの方法です。
パドックをチェックしたらいよいよ馬券を買ってみましょう。馬券の種類はいろいろありますが、ビギナーの方には1着の馬を当てる「単勝式」がおすすめ。マークカードに購入する馬券の式別・レース番号・気に入った馬の番号(馬番)・購入金額を記入し、お金を入れたあとに自動発券機に入れるだけで馬券を購入できます。レース観戦の際には購入した馬の馬番と騎手の帽子の色を覚えておきましょう。1頭を追いかけて応援すると愛着が湧き、興奮度もさらに高まりますよ。 門別競馬場のコースは1周1600メートル、ゴール前の直線コース330メートル。地方競馬では屈指のスケールを誇ります。この直線コース、人間の足で3~4分かかる距離ですが、馬はわずか10数秒で駆け抜けます。時間があればぜひコースに沿って直線を歩いてみてください。。門別競馬場のスケール感とレースのスピード感を体感してもらえると思います。お目当てのレースが始まったらスタンドに座って見守るもよし、コース脇で走りの臨場感を全身で味わうもよし。カップルや友人同士、ファミリーには直線コースを見下ろす場所に立つ貸切個室コテージ「プチハウス」(定員10名・利用料3000円)もおすすめ。みんなで食事しながらワイワイ盛り上がれます。
「競馬場はおじさんが行くところ」と思っている人もいるかもしれませんが、門別競馬場に来るとそんなイメージはいっぺんに吹き飛ぶことでしょう。駐車場からポラリス☆ドームに向かう途中にある「とねっこ広場」は緑の芝が広がり、牧場を思わせるのどかな雰囲気。カラフルな花で広場を彩る木製プランターがとねっこ(北海道の方言で生まれたばかりの仔馬のこと)の形をしているのも馬産地らしい演出です。広場には子ども向けの遊具もあるほか、門別競馬場名物「とねっこジンギスカン」が楽しめるグリルハウスや雑貨ショップが立ち並び、カップルや女性同士、ファミリーで賑わっています。 馬産地・日高町の人々にとって競馬は日常の一部。夕方を過ぎると仕事帰りのお父さんと家族が待ち合わせてやってきたり、女性グループがスイーツを食べながらおしゃべりしたり、のんびりと楽しんでいる空気感は、中央競馬にはない面白さかもしれません。競馬ファンはもちろんビギナーにもぜひ足を運んでほしいと思います。観光を楽しむならホテル選びも重要!ホテル・宿を見つけて、旅行に行こう!
門別競馬場にはチェーン店は入っていない。ここでしか食べられない地元グルメや名物ジンギスカンなど、個性あふれるメニューがずらり。
門別競馬場は“馬産地にある競馬場”という特性ゆえに、中央競馬とも他都市の地方競馬とも違う面白さがある。日高の大自然の中で疾駆する馬たちの闘い、それを支える人々のドラマは、競馬ファンならずとも胸が熱くなるはず。
日高山脈の懐に抱かれる門別競馬場は、少し足を延ばせば日高の大自然とふれあえるスポットがいっぱいだ。アクティビティで汗を流したり、温泉でのんびり癒やされたり、アフターレースの楽しみの多彩さも魅力である。
門別競馬場は1000台分の駐車場を完備。道央道を使って鵡川ICまたは日高富川ICを出ると、国道235号線沿いに競馬場の入口が見えてくる。旅程が決まっているなら、札幌駅発着の予約制無料送迎バスを利用するのもおすすめ。運転しなくていいからビール片手にレース観戦もできるのだ。
北海道沙流郡飯高町富川駒丘76-1TEL.01456-2-4110
新千歳空港から新千歳空港⇒門別競馬場(約50分/約48キロ)札幌から札幌⇒門別競馬場(約1時間20分/約90キロ)いずれも道央自動車道~日高自動車道(無料区間)経由、鵡川ICまたは日高富川IC下車。
札幌~苫小牧で乗り換え~富川(約2時間40分)富川駅からタクシーで約10分
高速バス:札幌駅前ターミナル~門別競馬場前(約1時間30分)無料送迎バス(予約制):往路 JR札幌駅北口(12時30分出発)~門別競馬場(14時頃到着予定) 復路 門別競馬場(最終レース終了後30分後に出発予定)〜JR札幌駅北口(22時30分到着予定)問い合わせ JR苫小牧旅行センター TEL.0144-34-8140 (平日10時~18時 土曜10時~17時 日曜・祝日は休み)
別れは競走馬の宿命。だからこそ母子の時間が愛おしい
日高エリアの競走馬生産牧場では1月から6月にかけてが出産シーズン。門別競馬場周辺でも生まれたばかりの仔馬「とねっこ」をあちこちで見ることができます。緑の中を元気に駆け回り、母馬のそばを片時も離れず何でも真似するあどけない姿はなんとも可愛らしい限り。しかし母馬に思いきり甘えることができるのは、春から夏にかけての短い間のみ。秋になればとねっこは母馬と別れ、競走馬への道を歩み始めます。牧歌的な風景の中にも、母子の情愛と競走馬の宿命を秘めたドラマが息づいているのです。
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