
福岡県小郡市の「旧松崎旅籠油屋」が、取り壊しの危機を乗り越え、2019年3月に復原完了予定です。江戸時代、参勤交代で使われた薩摩街道の宿場町に建ち、西郷隆盛が泊まったとの言い伝えも残っています。
薩摩街道は鹿児島から熊本を経由して、長崎と小倉を結ぶ長崎街道に合流するルート。その宿場町のひとつ松崎宿は江戸時代、多くの人や物が行き交い、19世紀後半には旅籠(旅館)が26軒ありました。

1862年には、江戸を目指した薩摩藩主の父・島津久光率いる藩士130人らが松崎宿に宿泊。西郷の弟、信吾(従道)や大久保一蔵(利通)の名が当時の記録に残ります。また、史料的裏付けはないものの、西郷隆盛が油屋に泊まったとも伝わり、近くの資料館には西郷が使ったと伝えられている酒杯が展示されています。
油屋は昭和初期まで旅館として営業し、その後は芝居小屋や食堂、電器店などとして使われました。しかし、1991年の台風で屋根が破損し、解体の危機に直面。地元住民らが保存を求め、2001年に市指定有形文化財になっています。
油屋は福岡の観光名所である小京都・秋月や、W美肌の湯として知られる原鶴温泉にもほど近いエリアにあります。福岡観光の際に、ぜひ、訪ねてみてください。