大分発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
更新:2019年12月17日
湯布院の観光スポットとして、最初に名前の挙がる金鱗湖(きんりんこ)。幻想的な景色は、見る人を引き付ける力があります。金鱗湖の朝霧を見るには、早朝からの準備が必要ですが、金鱗湖の魅力はそれだけではありません。周辺散策をしながら金鱗湖を回るのが、ベストな楽しみ方。さあ、金鱗湖散策にでかけましょう。
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湯布院のホテルを目的やテーマ別にピックアップ。実際に見て泊まって選んだおすすめ宿をランキング形式で紹介します。
湯布院の宿でよく見られている推し宿特集
ローカル案内役 藤田 秀樹(たびらい編集部)
福岡県出身。九州内の食べ歩きスポットを探し続ける編集スタッフ。カメラ片手に友人・知人を巻き込んで観光スポットにも出没。
おしゃれな美術館やギャラリー、ショップなどが立ち並ぶ由布院温泉は、アートも楽しめる九州観光で人気の温泉地。由布院温泉を訪れたなら、外せない人気観光スポットが、湯布院のシンボルである金鱗湖です。由布院の自然豊かな場所にある金鱗湖(きんりんこ)は、湖底の一部から温泉と清水が湧き出る不思議な湖です。昔は湖と言わず池と言い、由布岳(1584メートル)の下(もと)にある池という意味から、由布岳の 「由布」 を省略し、更に 「岳(たけ)の下(もと)」 を 「岳(たけ)ん下(した)」 と発音して 「岳ん下ん池」 と称されていました。 1884年に幕末の儒学者の毛利空桑(もうりくうそう)が、病を治すために湯治に訪れていました。池のそばの露天風呂(茅葺き屋根)の岳ん下ん湯、通称 「下(した)ん湯」 から湖面を眺めて、魚の鱗(うろこ)が夕日に輝くのを見て「金鱗湖」と名付けたと伝えられています。 秋から冬の早朝に見られる朝霧はとりわけ美しく、霧の正体は温泉を含んだ湖が蒸気したもの。見ごろは、秋から冬にかけての、早朝6時~8時ごろ。由布院盆地の冬の風物詩として有名で、秋から冬にかけての早朝にのみ出合える幻の光景でもあります。湖の周りには散策路が整備されていますので、散策路を歩きながら、池を泳ぐ魚や水鳥を眺めたり、紅葉風景を愛でたりすることができます。 また、紅葉スポットとしても有名で、大分県内の観光名所の中でも、高い人気を誇る紅葉スポットのひとつです。運が良ければ、朝霧と紅葉の両方を一度に楽しむことができる秋もおすすめのシーズンです。 由布岳に向かって、左側からは「温泉」が、右の神社側からは「清水」が湧出。湖底には、それらの「釜」(地元の人は、それぞれ「湯釜」「清水釜」と呼ぶ)が7つほどあると言われており、湖底で温水と冷水がぶつかり合い、混ざり合っています。 池底から温泉と清水が湧き出ているとともに、5つの河川が流入。その中には約30度の温泉水が流れる河川もあります。温度差のため、秋から冬にかけての早朝には、池面から霧が立ち上る幻想的な光景が見られます。その霧が、由布院盆地名物の朝霧の源であるとも。この景色は、盆に霧が乗っているように見えることから「霧盆」と呼ばれています。 金鱗湖の面積は0.8ヘクタールで、周囲は約400メートル。湖底は緩やかなに深くなっており、最深部は約2メートル。水の流入は下ん湯の横、ハエ川の温水(30度以上)と天祖(てんそ)神社境内の湧水、それに湖底深部にある湧水の供給から成り立っており、1日約2万3300立方メートルが流出して大分川の源流となっています。 生息する魚は、コイ、フナ、ハヤ、うなぎ、ナマズ、テラピア(豊後鯛)、グッピー、すっぽん亀、石亀など。金鱗湖近くの水路は、絶滅危惧I類に指定されているオンセンゴマツボ(淡水貝類)の唯一の生息地となっています。 由布院盆地は、昔は一面が湖で、金鱗湖も当時は広かったのですが、何回かの地震で山崩れが発生。土砂で湖が埋め立てられて、今の金鱗湖だけが残されました。
今でこそ、金鱗湖一帯が観光地として多くの人々が頻繁に行きかうようになりましたが、ひと昔前までは朝夕、村人たちが浄水を組んで背負って帰る姿が、当たり前のように見られていました。地元、温湯地区の子どもたちが昔から集まる天祖神社の両脇には、由布岳から湧き出た水が今もさらさらと流れています。金鱗湖を背にしている天祖神社には中央に天祖人、向かって右に八坂神社、左方に金毘羅神社が祀(まつ)られています。 由布盆地が大きな湖だった頃、湖に棲(す)んでいた龍の在住を許可した天祖神(てんそのかみ)など4柱を祀る神社です。祭神は、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、素盞鳴男命(すさのをのみこと)、軻遇突智命(かぐつちのみこと)、事代主命(ことしろぬしのみこと)です。 湖の中には、天祖神社の鳥居が見えます。この鳥居は昔、神社から約300メートル離れた「佛山(ぶっさん)寺」という寺にあったもので、明治時代の神仏分離令により、現在地に移転されました。 伝説によると、由布岳の女神・宇奈岐日女( うなぐひめ )が蹴裂(けさき)権現に、湯布院盆地を、実り豊かな土地に変えるため干拓を命令。蹴裂権現が、西の湖壁を蹴り裂いた時、湖底に棲んでいた1匹の大きな龍は、急激に湖水が減少したため神通力を失い、身を悶(もだ)えながら小川を上り、辿り着いたのが金鱗湖。 龍は、天祖神に「私は、長い間この湖に住んでいた龍です。湖のすべては望みません。唯、この地に少しばかりの安住の地を与えてください。そうしてくだされば、ここに清水を湧き出させ、永くこの地を護りましょう」と訴えました。 天祖神は、龍の願いを聞き入れ、「岳本(たけもと)の池」が残されました。こうして今も「岳本の池」には清水と温泉が湧き出ています。その後、しばらく「岳本の池」に留まった龍は再び神通力を得、雲を巻いて昇天したと伝えられています。神社の御利益は、健康長寿、病気平癒、リフレッシュとされます。 天祖神社の境内にあるしめ縄が巻かれた、太いりっぱな杉の木は、胴周りが約5メートルもあり、高さは35メートルほど。地区の住民には、御神木として大切に保護され、由布市の文化財にもなっています。 「佛山寺(ぶっさんじ)」は、古くから由布岳の山岳信仰の場として親しまれてきた寺で、地元の人からも大事にされている寺院のひとつ。由布院に現存する、最古の木造建築物とも言われる茅葺(かやぶき)屋根の山門をくぐると、四季折々の自然が楽しめます。春から夏にかけては、山椿(つばき)やシャクナゲ、シバザクラ、サラソウジュなどの花が咲き、秋には美しい紅葉が見られます。 また、樹齢350年の天然記念物のイチョウの落ち葉が、庭を黄色く染めます。寺の空気に触れながら木々や花を眺めるのは、とても心穏やかになれますよ。 寺の御本尊である「由布霊山観世音菩薩」は、天台宗の僧「性空(しょうくう)」が1000年ほど前に彫ったものとして伝わる秘仏。33年に1度、御開帳されます。御本尊が祀られている観音堂では、座禅や写経が執り行われており、予約すればだれでも参加可能です。
天井桟敷は、湯布院御三家のひとつとして知られる、亀の井別荘が運営する茶房&バー。「亀の井別荘」の敷地内にあります。建物は、江戸時代の造り酒屋を移築したもので、2階の天井桟敷のエリアは、杜氏たちの控室の部分。昼間は、コーヒーなどの喫茶を楽しみながら寛げ、夜は「BAR山猫」としてアルコールを提供しています。 昼の喫茶では、由布岳をイメージしたクリームチーズの菓子「モン・ユフ」がおすすめ。早朝に、職人さんたちがひとつひとつ手作りしている、デザート。たっぷりの生クリームに、くちどけのよいクリームチーズとレーズンが、くせになる味です。 また、金鱗湖でランチをするなら十割蕎麦そば泉がおすすめ。特に鴨せいろ(1620円/税込)は、鴨とねぎの相性が抜群。そば粉は、茨城産と熊本産をブレンド。毎日、その日使う分だけ石臼(うす)で挽(ひ)き、水は由布岳の地下水を備長炭で濾過したもの。玄蕎麦(くろそば)と呼ばれる、殻付の蕎麦を毎朝挽き、つなぎも使っていません。 小道を挟んで隣は、美術館「マルク・シャガールゆふいん金鱗湖美術館」。湖のほとりに建つ「マルク・シャガールゆふいん金鱗湖美術館」は、マルク・シャガールのサーカスを題材とした幻想的な絵画を常設展示。1階の「カフェ ラ・リューシュ」では「新しい由布院らしさ」をコンセプトに、メニューはすべて手作りされています。 カフェテラス ラ・リューシュでは、モーニング、ランチ、自家製ケーキ、由布院焙煎コーヒーなどさまざまな楽しみ方ができるカフェテラス。「旅人の癒し場」がコンセプトの空間で、こだわりのランチをいただきながら鏡のごとき湖面が映し出す美景を眺めたりおいしいコーヒーを味わいながら金鱗湖の名付け親である儒学者と同じ夕方の風景を眺めたりと、たおやかな稜線を描く由布岳や緑豊かな木々、金鱗湖が織り成す由布院ならではの光景と料理とを堪能できる休憩スポットです。 金鱗湖周辺には、観光スポットが点在。由布院盆地を作ったとされる神様を祀る「宇奈岐日女神社(うなぎひめじんじゃ)」もそのひとつ。国常立尊をはじめとする、六柱を祭神とすることから別称「六所宮」とも。古くから、地元の人に親しまれてきた神社。約9メートルもの幹周りを誇った御神木は、台風で倒木してしまい根元のみが残ります。周りを囲む樹齢約600年の原生林は、自然のパワーが充満。梅雨の時期には、境内に約500株ある紫陽花も見逃せません。 宇奈岐日女神社の末社のひとつが、大杵社(おおごしゃ)で、境内には、樹齢1000年以上といわれる、湯布院町では数少ない国の天然記念物の大杉も。この木の根元には、畳3畳分の広さの空洞。明治時代にその空洞にゴミ焼きの火が移り、木が燃えてしまったとか。その火と煙が1000年分の害虫駆除をしてくれたのか、今でも元気に育っています。湯布院のパワースポットとして人気です。 俥夫による観光ガイドを聞きながら人力車で巡るも良し、心地よい風を切りながらレンタサイクルで巡るも良し、イギリス製のクラシックな観光乗合バス「スカーボロ」や馬の蹄(ひづめ)の音が響く観光辻馬車で宇奈岐日女神社などのおすすめスポットや田園風景を巡るも良し。スピードや目線が異なる乗り物から自由に選ぶ楽しみもあります。 金鱗湖から徒歩で気軽に行ける場所にある湯の坪街道は、街歩きを楽しむのには最適な場所。テイクアウトの店なども多く、コロッケやばくだん焼きなどの軽食からスイーツに至るまで、食べ歩きを楽しむ訪問者の姿も多く見受けられます。 九州内でもおすすめ観光スポットである湯布院では、オススメのツアーや宿泊プランが豊富で、自分好みの宿泊プランを探しやすいのも魅力です。 金鱗湖からの目安距離1.6キロ、徒歩で20分ほどの場所にはJR由布院駅があり、隣には由布院温泉観光案内所も。温泉地周辺の観光スポットや紅葉情報など周辺スポットの情報提供の場として、由布院温泉の各旅館やホテルから荷物を運んでくれるゆふいんチッキの受付の場として、観光辻馬車やスカーボロ、レンタサイクルなど由布院観光に欠かせない乗り物の起点の場としても宿泊客に親しまれています。 飲食店やお土産店が立ち並ぶ湯の坪街道で人気のかぼす醤油などの旅のお土産を探したり、四季折々の田園風景を楽しんだりしながら、由布院での旅を楽しんでみてはいかがですか。 宇奈岐日女神社 【住所】大分県由布市湯布院町川上2220 【問い合わせ(TEL)】097-582-1304(由布市商工観光課) 大杵社(おおごしゃ) 【住所】大分県由布市湯布院町川南 【問い合わせ(TEL)】097-582-1304(由布市商工観光課) 湯の坪街道 【住所】大分県由布市湯布院町川上湯の坪 【問い合わせ(TEL)】097-582-1304(由布市商工観光課)
金鱗湖【住所】大分県由布市湯布院町川上1561‐1 【問い合わせ(TEL)】0977-84-3111(湯布院振興局地域振興課地域振興係)
車で(レンタカーで)
博多駅からは高速道路を使って約2時間。福岡都市高速、九州自動車道、大分自動車道の由布院インターチェンジで降りて、県道216号へ。 大分駅からは高速道路を使って約1時間。大分自動車道の由布院インターチェンジを降りて、県道616号へ。
電車で
JR大分駅から特急で約50分、JR由布院(最寄駅)からタクシーで約10分。 JR博多駅から特急で約2時間10分、JR由布院(最寄駅)からタクシーで約10分。
朝霧の条件は何ですか?
前日の昼間は晴れて暖かく、夜間に急激に気温が下がり、当日の朝は晴天で無風とされています。
散策するのにおすすめの時間はありますか?
早朝であれば8時前後がおすすめします。冬の早朝には湖面から湯気が立ち上る幻想的な光景を見ることができます。また、夕方近くになると、団体旅行者は減るため、ゆっくりと散策できますよ。
駐車場はありますか?
金鱗湖専用駐車場はありませんが、周辺にはいくつも有料パーキングがあります。駅から散策がてら、歩いてくるのも風情があっておすすめですよ。
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