宮崎発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
更新:2019年03月18日
日本神話の中でも有名な一節・天照大神(アマテラスオオミカミ)の岩戸隠れの神話に登場する洞窟「天岩戸(あまのいわと)」。その天岩戸が地上に実在・現存するとして祭られているのが、宮崎県高千穂町にある「天岩戸神社」です。「天岩戸神社」から、はやり同神話の聖地でありパワースポットしても人気の「天安河原」など高千穂周辺には神秘的かつ幻想的な雰囲気の聖地や観光スポットが点在しています。
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ローカル案内役 藤田 秀樹(たびらい編集部)
福岡県出身。九州内の食べ歩きスポットを探し続ける編集スタッフ。カメラ片手に友人・知人を巻き込んで観光スポットにも出没。
「天岩戸(あまのいわと)」とは、日本神話(古事記・日本書紀)の中でも有名な一節・アマテラスオオミカミ(天照大神)の「岩戸隠れ」の神話に登場する洞窟、またはその扉のこと。そして、宮崎県高千穂町にあるこの神社はその神話に基づいて生まれた神社です。創られた時代については詳しくわかっていないものの、その由縁が日本神話に登場していることからも、古代の時代から長い歴史を重ねてきたことはわかります。そして、神話と神社の関係も非常に興味深いもの。ここで天の岩戸が登場するその神話の一説をご紹介します。 太陽の神「アマテラスオオミカミ」が、弟の神「スサノオノミコト」の粗暴な振る舞いを避け、洞窟(天岩戸)の中に隠れこもってしまったために世界が暗闇に。困った八百万(やおよろず)の神々たちは天安河原(あまのやすかわら)に集まって案を練り、そこで出た知恵の神である「オモイカネ」の案に従い、天岩戸の前で芸能の女神「ウズメ」が乱舞。衣をはだけさせて舞うその姿に周りの神々たちが騒ぎ立て、その騒々しさにアマテラスオオミカミが天岩戸から外の様子をうかがいます。その際に剛力の神「タヂカラオノミコト」が重たい岩の戸を取り払い、外に連れ出すことに成功。こうして世界は光を取り戻す。これが日本神話に出てくる天岩戸に関する一節です。 そして、この天岩戸が地上に実在・現存するとして祀られているのがこの「天岩戸神社」です。神話の聖地であり、神社の由緒について神職から直接説いてもらえるとあって、高千穂でもより人気の高い神社となっています。 神社はすぐ横を流れる「岩戸川」を挟み、アマテラスオオミカミを祀っている「東本宮」と天岩戸を御祭神とする「西本宮」からなっており、近くにはパワースポットとしても知られる「天安河原」も。神話にも登場した八百萬の神々が集まって相談をしたとされる場所です。また、少し離れた場所にありますが、独自の信仰を集めている八大龍王水神(はちだいりゅうおうすいじん)も注目のスポット。天野岩戸神社を中心に、高千穂の神社めぐりをするならぜひ訪れておきたいスポットがたくさん。「高千穂峡」だけではないこの地域の魅力をご紹介!
天野岩戸神社があるのは、宮崎県でも人気の景勝地「高千穂峡」近くの岩戸町。アクセスは九州自動車道を通って車か、熊本空港や熊本駅から特急バスと路線バスを乗り継いでのルート、宮崎県の延岡駅からも路線バスを乗り継いて訪れることができます。それぞれのスポットの間は距離がある場合があるので、車での観光がおすすめです。 神社に着いたらまず目に入るのは大きな木の鳥居。奥へと進むと右手には「西本宮」が。御神体である天岩戸を背にした拝殿と、隣には神楽殿があります。西本宮は一般的な神社には必ずある「本殿」がなく、代わりに天岩戸を直接拝むための「天岩戸遥拝所(あまのいわとようはいじょ)」が奥にあります。ここに来れば離れたところから天岩戸を拝むことも可能。近くのお守りなどを売っている社務所でお願いすれば、1人からでも神職がきちんと案内してくれます。また人数が多い場合は9時~12時と13時~17時の間で30分ごと(最後の回のみ16時40分)に案内もしてくれます。時間までに「休憩所」に集合しておとくと案内してくれます。所要時間は約20分。 神社で神職の説明を直々に受けながら参拝できるのは貴重。訪れたらぜひ体験してみて。 また、西本宮に向かう道には、岩戸地域内から表面採取された土器、石器などの寄託品と美術品(陶器類)など約2000点が展示されている「天岩戸徴古館」も。入館料は大人150円・小人50円、開館時間は8時30分~16時30分。また違った高千穂の歴史に気軽に触れられる天岩戸徴古館。気になったらのぞいていってみてください。 西本宮の裏門から出てさらに岩戸川に沿って降りていくと、一角に姿を現すのは神話の中で八百萬の神々が集まって相談し、アマテラスオオミカミへの対応の策を練ったといわれる「天安河原」。その中心にあるのは間口約40メートル、奥行き約30メートルほどの大洞窟「仰慕ケ窟(ぎょうぼがいわや)」。周りに積まれた大小連なる石も合わせて、その景色はスピリチュアルで独特な雰囲気を放っています。一番奥には、八百万の神々を祭る社「天安河原宮」も。ここには天岩戸の洞窟が御神体として祀られています。洞窟の中から近くの河原にかけて積まれた石は、実は参拝者がつくっていったもの。この地はパワースポットとしても有名なので、訪れたら石を積んで願掛けして帰るのも◎。 坂道や階段も含む往復20分~30分の道のりの合間にはぜひ休憩を挟みたいもの。そんな時は道中にある「みやげ品安河原」でソフトクリームを。地元で採れた天然蜂蜜がたっぷりかかったソフトクリームが人気。徒歩での散策で温かくなってきた体に濃厚な甘味と冷たさが沁み渡ります。中にはイスもあるので、座ってゆっくりエネルギーを回復して。 天岩戸神社の「東本宮」は岩戸川の対岸にあります。西本宮正面の駐車場から商店街を抜けて橋を渡って徒歩約5分ほどで着きますが、社殿はここからさらに100段余りの石段を登ったところにあります。途中には、神話の中でアマテラスオオミカミを誘い出すため舞った女神ウズメの像「天鈿女命(アマノウズメ)像」が。音に反応して舞を見せてれます。 頂上に着くと、西本宮に比べて雰囲気は一変。東本宮は、観光客でにぎわう天岩戸神社に比べ、静かで荘厳な雰囲気の漂う社です。先にご紹介した西本宮は、聖地である天岩戸を拝むための社ですが、東本宮は天岩戸から出たアマテラスオオミカミが最初に住んだ地とされており、「天照皇大神(あまてらすすめおおみかみ)」が御神体として祀られています。 東本宮は、別名「天岩戸大神宮」と呼ばれることもあり、西本宮の社務所で授与される神札に「天岩戸神社」ではなく「天岩戸大神宮」とあることからも、格上の扱いをされていることがわかります。アマテラスオオミカミの故郷ともいえる東本宮は、信仰の中心になっているよう。 社殿の裏手の道を奥へと進むと、「七本杉」が。これはその名のとおり、根が七本繋がっている杉の木。崖のギリギリの場所にあり立ち入り禁止となっていましたが、2014年8月に遊歩道が完成。一番奥まで行くと余裕のあるスペースがあるので、根元までは行けないものの、間近でゆっくりとその神秘的な姿を見ることができます。天岩戸神社や西本宮とはそれほど離れていない東本宮ですが、全く空気の異なる荘厳な場所です。 天岩戸神社では、春・夏・秋・冬それぞれ大祓や神楽奉納など大きなお祭りが随時開催されます。特に注目したいのは秋の大祭。その中の御神幸祭では、御神体を移したみこしを中心に東本宮から西本宮へと列をなし、神楽、棒術、鐘太鼓、臼太鼓踊などを奉納。また、この祭の際は神楽殿で天岩戸神楽の奉納もされます。紅葉のシーズンに高千穂を訪れす際は、見応えのある秋の大祭にも注目してみて。 神社めぐりといえば、ブームにもなっている御朱印集め。マイ御朱印帳を持ってコレクションする人も多いですが、ここ天岩戸神社でも社務所でお願いすれば御朱印をもらうことができます。ご朱印帳も購入できるので、高千穂神社を始め、近くの神社を回る際は訪れる際のひとつの楽しみとして集めてみては。 ■八大龍王水神社 【住所】宮崎県西臼杵郡高千穂町岩戸6521 【駐車場】あり(無料) ■常光寺の滝 【住所】宮崎県西臼杵郡高千穂町岩戸 【駐車場】あり(無料) ■岩戸坂弁財天 【住所】高千穂町大字岩戸寺尾野岩戸坂 【駐車場】あり(無料) ■高千穂神社 【住所】宮崎県西臼杵郡高千穂町大字三田井1037 【料金】無料 【駐車場】あり(無料) 【電話番号】0982-72-2413(高千穂神社) 【公式サイト】http://takachiho-kanko.info/event/detail.php?log=1516605220
西本宮からアマテラスオオミカミへの対応の策を練ったといわれる「天安河原」までは徒歩で少し距離があり、坂道や階段も含む往復20分~30分の道のりの合間にはぜひ休憩を挟みたいもの。そんな時は道中にある「みやげ品安河原」で天然はちみつを使った濃厚なソフトクリームを。散策で温かくなってきた体に濃厚な甘味と冷たさが沁み渡ります。中にはイスもあるので、座ってゆっくりエネルギーを回復して。 天岩戸神社周辺には、神社にゆかりのある「アマテラスオオミカミ」をモチーフにしたお店も。 手作りの饅頭やパンが味わえるのは「あまてらす」。地元の人たちも手土産に持っていくという「あまてらす」の焼き印が入った饅頭は、あんから全て手作りされています。店内では饅頭のほか、「夜神楽うどん」や冬限定で「猪汁」や甘酒(冷・温)も。 テラスから絶景が魅力の「あまてらすの隠れcafe」にもぜひ。看板メニューの「高千穂牛ドッグ(630円)」や「高千穂牛そば・めん(各780円)」に加え、約30種のソフトクリームを味わうことができます。食事メニューのほか、店主が手がけた五峰窯の作品が店内たくさん並んでいるので注目。天安河原の願い石をモチーフにしたおみやげ品も人気です。 天岩戸神社の観光エリア内では、東本宮に行く途中にある「神茶家(かみちゃや)」がおすすめ。ぜひ味わってほしいのは、「高千穂牛バーガー(600円)」。内閣総理大臣賞も受賞した日本一の和牛「高千穂牛」と油みそを使った神茶屋オリジナルのメニューです。小腹が空いた方には「高千穂牛おにコロ(1個150円)」も。高千穂牛のうまみがしみこんだもちもちご飯を、おにぎりにして揚げたライスコロッケは絶品です。しっかりと食事したい方には地元の人にも人気だという「野菜たっぷりちゃんぽん(650円)」も用意されており、ちょっとした休憩にも、がっつりご飯にも最適なお店です。 天野岩戸周辺での食事でもうひとつ注目しておきたいのは、地元で採れた食材を使ったお店。天上岩戸神社から車で約15分程の場所にあるのは、「そよ風工房 農家カフェ風の道」。自家または地元農家の農産物でつくる米粉を使った高千穂牛ピザ (小・700円、大・1700円)や、米粉ロールケーキ(300円)が味わえるほか、ピザやパンづくりの体験も行われています。 和食を味わいたいなら、「野菜料理 田の花」へ。日本料理の職人の手による高千穂の四季折々の野菜を使った料理が豊富です。メニューは地元野菜を中心にした「野菜料理ワンプレート(1620円)」や、高千穂牛の鉄板焼きをセットにした「野菜料理コース仕立て( 2700円)」など。春夏秋冬を通して旬の食材を使った料理やデザートが楽しめます。高千穂の景色を一望できる店内で、地元の野菜を使って作られるさまざまな創作料理を堪能してみてください。 ちょっとした休憩は、築100年を超える石蔵を利用した「むすびカフェ 千人の蔵」で。動物性の食材を使わないというタルトや焼き菓子などの手作りデザートと一緒に、コーヒーや紅茶、手作りシロップを使ったドリンクが味わえます。食事がしたくなったら、地元の米や野菜、お茶を使った食事メニューもぜひ。毎月お店で行われるイベントにも注目です。 名物や地元ならではの食材を味わったら、周辺のパワースポットにも。 天岩戸神社から山道をさらに進んでいくとあるのは「常光寺の滝(じょうこうじのたき)」。宮崎県と大分県、熊本県の3県にまたがる標高1757メートルの「祖母山」から湧きでる自然水が37メートルの高さから流れ落ちる荘厳な滝です。あるお寺の住職が、この滝の水を飲んで長生きしたことから「長寿の滝」「白糸の滝」とも呼ばれています。秋の時期には、流れ落ちる水と岩肌の色、美しい紅葉が合わさり、趣ある美しい景色を見せてくれます。 勝負事の神様として話題なのは「八大龍王水神」。天岩戸神社から南東に1.5キロほどの「永の内集落」にある水神様です。駐車場に立つ灯篭には、奉献者の中に著名なスポーツ関係者の名も。規模はそれほど大きくないものの、パワーあふれる聖地としても知られる注目スポットです。 ドライブの途中で立ち寄って欲しいのは、天岩戸神社から下野地区に繋がる岩戸坂トンネルの手前に位置する「岩戸坂弁財天(いわとざかべんざいてん)」。ケヤキやタブなど合計8種類の樹木が絡みあったご神木があり、新しいパワースポットとしても現在注目されています。祭られているのは七福神の一人で、音楽や財福、知恵などの徳があるとされる「弁財天」。周囲は森に囲まれており、自然に包まれた静かな場所。心を落ち着けるスポットなので、ドライブの束の間の休憩にもおすすめです。
天岩戸神社 【住所】宮崎県西臼杵郡高千穂町岩戸1073番地1 【料金】無料 【駐車場】あり(無料) 【電話番号】0982-74-8239 【公式サイト】http://amanoiwato-jinja.jp/
車(レンタカー)で
・九州自動車道の熊本インターチェンジより県道57号、国道325号を経由して約1時間35分 ・熊本空港より車(レンタカー)で県道57号、国道325号を経由して約1時間35分
バスで
熊本交通センターより宮崎交通または九州産交、高千穂行きで約2時間20分
天岩戸神社の神職による案内は有料? また、予約は必要?
案内は無料(“お気持ち”は賽銭箱の中へ)。また、予約の必要はないですが、団体の場合には事前に連絡しておくと、よりスムーズに案内してもらえるようです。
高千穂町の中心部から、公共交通機関で行ける?
高千穂バスセンターなどから、町営ふれあいバスの岩戸線に乗車して「岩戸」バス停で下車すれば、西本宮前にたどり着けます。バスセンターからなら所要時間は約15分。ただし便数が少ないため、時刻表をよく確認しておくのがおすすめです。
御朱印はもらえる?
天岩戸神社では、天岩戸神社の御朱印のほか、天安河原宮と石神神社、二ツ嶽神社、鉾神社、落立神社の御朱印を用意しています(1件300円)。また、オリジナルデザインの御朱印帳もあります。
天安河原まで車で行くことはできる?
天安河原へ降りる遊歩道の入口付近までは車でも行けますが、公共の駐車場はないです。また、入口から天安河原までは車で行くことができません。時間の都合や健康上の理由で天安河原まで行くことが難しい場合は、西本宮境内の天安河原遥拝所(神楽殿)での参拝を。
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