門司港レトロの楽しみ方を
徹底ガイド！

1889年に開港し、明治から大正にかけて横浜や神戸と並び、国際貿易港として栄えた港町「門司港」。今も残る洋風でレトロな建物群とその内観は、国指定の文化財や産業遺産として保存、修復され、国際文化が交錯した場所として賑わった当時の情景を今もそのまま映し出しています。

1995年に観光地「門司港レトロ」としてオープンしてから現在まで、国内外から多くの観光客が訪れています。歴史的建造物の魅力もさることながら、門司港駅のリニューアルを始め、周辺には新しいカフェやカルチャースポット、ゲストハウスまで続々と新しいスポットも増加。生まれ変わって行く姿から目が離せない場所でもあります。歴史とロマンの中に新しいエネルギーと魅力を放っている、北九州でも指折りの観光地、門司港。心地よい海風を肌で感じながら、景観や場所の魅了だけでなく、絶品の名物も味わいつつ、異国情緒あふれる街並みをぜひ散策してみてください。

JR門司港駅
【住所】福岡県北九州市門司区西海岸1-5-31
【問い合わせ（TEL)】093-321-8843

旧門司三井倶楽部
【住所】福岡県北九州市門司区港町7-1
【営業時間】9時～17時
【料金】2階のみ有料（大人100円、小中学生50円）
※30人以上の場合は20％引
【定休日】年中無休
【問い合わせ（TEL)】093-321-4151（レストラン093-332-1000）

旧大阪商船
【住所】福岡県北九州市門司区港町7-18
【営業時間】9時～17時
【料金】無料
（わたせせいぞうギャラリーのみ有料 大人100円、小・中学生50円
※30人以上の場合は20％引）
【定休日】年中無休（わたせせいぞうギャラリーは年2日休み）
【問い合わせ（TEL)】093-321-4151

ブルーウィングもじ
【住所】福岡県北九州市門司区港町4-1

旧門司税関
【住所】福岡県北九州市門司区東港町1-24
【営業時間】9時～17時
【料金】無料
【定休日】年中無休
【問い合わせ（TEL)】093-321-4151

門司港レトロ展望室
【住所】福岡県北九州市門司区東港町1-32
【営業時間】10時～22時
（最終入館21時30分、カフェは20時30分 O.S.）
【料金】大人：300円、小中学生：150円※30人以上の場合は20％引
【定休日】年4日不定休
【問い合わせ（TEL)】093-321-4151

大連友好記念館
【住所】福岡県北九州市門司区東港町1-12
【問い合わせ（TEL)】093-321‐4151

人気の名所がコンパクトに集まった門司港では、数時間でも1泊でも、好みの散策プランに合わせて楽しむことができます。 拠点としておすすめなのは、JR門司港駅。北九州の中心駅、小倉駅からは電車で約15分。地元の路線バス「西鉄バス」でも門司港駅行きの便が出ています。駅近くには駐車場もあるので、車でのアクセスも可能。主な観光エリアは歩いて散策ができます。お好きな手段でいざ門司港へ。

門司港駅から徒歩約2分、三角屋根に濃いグレーの壁が存在感を放っているのは「旧門司三井倶楽部」。元々は、1921年に建てられた三井物産の接客・宿泊施設。ドイツの物理学者、アインシュタインが夫人と宿泊したことで有名で、現在でも夫妻が宿泊した当時の部屋の様子が再現されています。現在は1階がレストランやイベントホール、2階がアインシュタイン夫妻のメモリアルルームと、これまで幾度も舞台化もされてきた「方丈記」の現代語訳でも知られている、門司出身の林芙美子（はやしふみこ）氏の記念展示エリアがあります。そのロイヤリティあふれる空間をぜひ体感してみてください。

すぐ近くには、八角形の塔屋が印象的な「旧大阪商船」も。1917年に建てられた大阪商船を修復したもので、タイルのオレンジ色と石の帯の白色が組み合わさったデザインが印象的です。当時、1カ月で台湾、中国、インド、欧州へ60隻もの客船が出航しており、大阪商船ビルはその拠点のひとつとして機能していました。

1階が待合室、2階はオフィスとして使われており、外国へ胸躍らせて旅立つ人々で賑わっていたといいます。現在は、1階がイラストレーターのわたせせいぞう氏のギャラリーと門司港を中心とした地域作家の作品ブランド商品を販売している「門司港デザインハウス」、2階は貸ホールになっています。

観光地の中でも、その大きさと特徴的なデザインが目を引く、門司港のランドマーク「門司港ホテル」を過ぎ、奥へと進むと、見えてくるのは海、本州と九州を結ぶ関門海峡、そして趣あるレトロな建物群。

日本最大級の歩行者専用跳ね橋「ブルーウィングもじ」が観光エリアまで繋がっています。1日6回、左右に跳ね上がって開閉するその様子はなかなか見ることのできない景色なので注目です。

橋を渡りきると遠くに見えていた趣ある景色が目の前に。お土産店や露店、飲食店が軒を連ねる中、レトロな外観が存在感を放っているのは「旧門司税関」。外観・内観共に赤いレンガ造りがおしゃれで、階段を上って行くと「展望室」があり、ここからは海と隣の下関の景色も眺めることができます。館内では、税関に関連する資料など常設の展示コーナーに加え、アート作品の展示など時期によってさまざまなイベントが催されています。ぜひ訪れた際には中にも足を踏み入れてみてください。

旧門司税関の向かいには、三角屋根の立派な洋館「大連友好記念館」（旧国際友好記念図書館）が。門司港と国際航路で結ばれていた、中国の大連市が結んだ「友好都市締結」の15周年を記念として建築されたもので、その異国に迷い込んだような佇まいに、ついその姿を写真に納めたくなります。

レトロな街並みを一通り散策したら、観光地一体の景色を眺めることができる「門司港レトロ展望室」へ。観光地の中でも一際目立つ現代的なマンション「レトロハイマート」は日本の著名な建築家、黒川紀章氏によるもの。展望室はその31階にあります。料金は大人300円、小中生150円。

エレベーターで上まであがり、到着するとすぐ目に入ってくるのは、開放感あるガラス張りの空間。高さ103メートルの展望室から見える門司港の景色と関門海峡、下関の街並みはまさに絶景。夜になるとその雰囲気は一変、夜景がロマンチックに映えます。大切な人とぜいたくな時間を、門司港レトロ展望室で過ごしてみては？

門司港駅から徒歩約5分、主な観光エリアから少し離れたところにある「九州鉄道記念館」も人気観光スポットのひとつ。1891年に旧・九州鉄道会社の本社して建てられたという歴史ある建物です。鉄道の歴史を楽しく学ぶことのできる記念館で、屋外の展示場にある歴代の名車両には実際に乗ってみることもできます。館内には、九州の鉄道をミニチュア化した「九州鉄道大パノラマ」や、電車の運転を疑似体験できるシミュレーターも。

常設展示コーナーでは当時使われていた駅員の制服や、名列車のレトロな「ヘッドマーク」。隣にある「ミニ鉄道公園」では特急かもめなどを模した「ミニ鉄道」に乗ることができ、大人から子供まで楽しめるスポットです。鉄道好きでなくても楽しめること間違いなし。

門司港に来たらぜひ一度乗って欲しいのは「北九州銀行レトロライン 門司港レトロ観光列車 潮風号」。鉄道記念館の最寄りにある「九州鉄道記念館駅」から「関門海峡めかり駅」までを約2.1キロ走ります。片道約10分でゆっくりと進むので、のんびりと関門海峡の景色を楽しむことができます。小型のディーゼル機関車が客車のトロッコを挟んだおしゃれなデザインと、レトロをイメージした深い青色が旅の雰囲気をより盛り上げてくれます。

少し足を伸ばして訪れてほしいのは「三宜楼（さんきろう）」。1931年に建てられた「料亭 三宜楼」が長い閉店の時期を経て、2014年にリニューアルされた由緒あるスポットです。木造3階建てのこの建物は、現存する九州最大級の建屋だそう。現在は1階がお食事処「三宜楼茶寮」と、三宜楼の歴史や興味深い資料が集まった「展示室」、2階が格天井と見事なシャンデリアが再現された百畳間の「大広間」、3階はガイドさんがいる場合だけ見学可能な「俳句の間」となっています。

門司港レトロ近辺では定期的に、さまざまなイベントも開催されています。骨董品、またハンドメイド作品やこだわりの店が期間限定で集まる「蚤の市」やジャズの生演奏など、魅了的なイベントばかり。門司港の魅力や情報発信する「門司港レトロインフォメーション（http://www.mojiko.info）」のサイトでは直近の情報を確認できるので、訪れる前にぜひチェックを！

門司港名物と言えば焼きカレー。門司港駅周辺にはおいしい焼きカレーを味わえる店がいくつもあります。「プリンセスピピ」や「陽のあたる場所」など、焼きカレーが人気の店が軒を連ねています。駅から徒歩約1分の場所にある「門司港センタービル」の1階にも行列のできる焼きカレーのお店が。

「BEAR FRUITS（ベアフルーツ）」は有名人も数多く訪れている人気店。スーパー焼きカレーと称されるその味は絶品。店前にはすぐに行列ができますが、一口食べればそれも納得。焼きカレーに加えて、シーフードカレーからパスタまでメニューも豊富にあります。人気のオリジナルスパイスも用意されているので、好みの量でプラスして食べるのも◎。スパイスを気に入ったら販売もされています。ぜひ自宅でさまざま料理に一味加えてみてください。開放的な大きな窓からは程よい光が差し込んで海の近くにある心地よさも感じられます。

お腹が満たされたら、散策がてらデザートが食べられる店にも。「フルーツファクトリーモーンデレトロ」では、色とりどりのフルーツを使ったパフェが食べられます。季節によってフルーツが変わるミックスパルフェを始め、門司港らしいバナナチョコパルフェなどの定番メニューも。ひとつに絞るのがもったいないほど、魅力的なメニューがたくさん。

店は旧門司税関の1階にあり、窓際の席やテラス席からは、門司港レトロの景色と海が見え、ロケーションも抜群。世界中のフルーツを使って作られるというここでしか味わえないパルフェを景色も合わせて味わってみてください。ジャム、ドライフルーツなど持ち帰りができる商品もあるので、お土産にもおすすめです。

その他、門司港駅周辺には、散策ついでに立ち寄ることのできるカフェも点在しています。事前に調べて訪れるのもいいですが、偶然見つけたお店で一息休憩、というのも素敵ですよね。気になったらぜひ立ち寄って、レトロな街でゆっくり流れる時間に身を任せてみてください。

街並みやおいしい名物、デザートに満足したら、旅の思い出を持ち帰るため、土産物屋にも。「門司港レトロ海峡プラザ」には門司港でしか手に入らない限定のお菓子やお土産がたくさん。「バナナの叩き売り」の発祥地としても有名な門司港。建物2階の「門司港レトロ菓子館」では、しっとり焼かれたバナナケーキにまろやかな甘さのバナナあんが入った、「門司港レトロ 包み焼きバナナケーキ」を始め、門司港レトロのクッキーやおせんべいなど、約60種類のお菓子が種類豊富にそろっています。お土産店の他、海外との交流が深い港町ということもあってか、連なるお店の中には異国情緒あふれるアンティーク雑貨店も。好みのお店を見つけて、買い物も楽しんで。

長い年月を重ねてきた歴史ある建物や愛されてきた名店に加えて、さらに盛り上げるべく誕生したスポットも。歴史と新しい文化が交差しながら、より魅力的な場所に進化を続けている門司港。ぜひ足を運んでみてください。