
天長2年(825)に空海によって開かれた「金剛乗寺」。かつては西の高野山と称されるほどの規模を持つ真言一派の大寺院でした。いくたびかの盛衰を経て今に至りますが、現在でも山鹿最古の名刹として市民や観光客に親しまれています。
参道には、市の「特別文化財工芸品」に指定されている古い石門があります。これは文化元年(1804)に甚吉という石工の手で作られたもの。めがね橋築造技術を生かした円い形が特徴です。金剛乗寺の住職によると「正面に梵字のア、背面にバンが彫られていて、アは胎蔵界、バンは金剛界の大日如来を指しています。近代になり交通の利便性を考慮して下の部分が埋められましたが、門は本来は真円の形をしています。月輪門あるいはア字観門と言うべき門です。“これより仏の体内に入る”ことを意味しています」とのこと。
また、円形の形が「縁」に通ずるとして、縁結びのパワースポットとしても知られています。