佐賀発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
更新:2024年8月8日
御船山楽園というと、御船山を借景とした紅葉や桜の日中のイメージですが、実は夜景もおすすめのスポット。15万坪の広大な敷地を照らすライトアップは西日本最大級。春と秋に一般公開される萩野尾茶屋で、桜と紅葉を眺めながらいただく喫茶は、至福のひととき。幽玄の世界を堪能しましょう。
[たびらいセレクション]
御船山楽園は周遊可能な池泉回遊式庭園。そのルートを紹介します。
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ローカル案内役 藤田 秀樹(たびらい編集部)
福岡県出身。九州内の食べ歩きスポットを探し続ける編集スタッフ。カメラ片手に友人・知人を巻き込んで観光スポットにも出没。
JR武雄温泉駅から車で5分ほどと利便性の高い御船山楽園は、御船山の断崖絶壁の南西麓において、1845年に第28代佐賀藩武雄領主、鍋島茂義が造った「萩の尾園」という別邸の池泉庭園が基礎。明治に入り、桜や大量のつつじが植えられたことで遊覧の名所として発展。現在、御船山楽園は、国の登録記念物に登録されており、佐賀で人気の観光スポットです。 鍋島氏以前の武雄は、12世紀頃に関東から移り住んだ後藤氏が治めていました。江戸時代初期になると、肥前国(現在の佐賀地方)の実権は、龍造寺氏から鍋島氏に。後藤氏は家臣となり鍋島に改姓。「親類同格」の重臣として鍋島本家に仕える一方、佐賀藩武雄領の自治を行いました。 武雄鍋島家で最も知られるのが、第28代領主の鍋島茂義(1800年~1862年)です。武雄領主にまで上り詰めた鍋島茂義の前半生は佐賀藩の請役(藩務を総理する執政職)として藩の財政改革を担当するも、1832年、財政的余裕がないとして佐賀藩主・鍋島斉直(なりなお)の江戸出府を厳しく戒めたため請役を罷免。 後半生は武雄領に戻り、1834年、日本の封建領主ではじめて砲術家・高島秋帆(しゅうはん)に弟子入りして西洋式砲術や科学技術に着目。鎖国時代にあって鍋島茂義は積極的に蘭学を導入しました。その後、西洋式大砲や蒸気船の製造に成功。のちに「佐賀の七賢人」と称される第10代佐賀藩主・鍋島直正に大きな影響を与え、幕末期の佐賀藩の高度な軍事力・技術力開発のさきがけとなりました。 1839年、茂義は7歳の嫡子・鍋島茂昌に地位を譲り隠居しています。 武雄領主は、現在の武雄高校の場所にあった塚崎城(武雄城)を居城としました。背後には、神功(じんぐう)皇后が新羅(しらぎ)からの帰りに御船をつないだことに由来する武雄のシンボル、御船山(標高210メートル)。御船山の断崖を借景に、茂義が約3年の歳月をかけて、1845年に完成させたのが御船山楽園(旧萩の尾園)です。15万坪を誇る壮大な池泉回遊式庭園として今に残ります。 造園にあたり茂義は、室町時代から江戸時代まで幕府の御用絵師を務めた狩野派の絵師を京都から招き、今でいう完成予想図を描かせています。自ら狩野派に学び、「皆春斎」の雅号で多くの作品を残している茂義は、思い描いていた庭園のイメージを細かく伝えたようです。 御船山楽園は、桜やツツジ、紅葉スポットとしても有名で、春は2000本の桜と5万本のつつじが、中国の山水画を彷彿とさせる御船山の断崖を背景に見事な景観を作ります。茶会や撮影会のほか、多彩な催しも企画。御船山の東麓の御船ケ丘梅林には、2月中旬〜3月上旬にかけて一目1万本もの梅が咲き誇り、観梅まつりでにぎわいます。 桜は、春に近づくにつれソメイヨシノ、オオシマザクラ、ヤエザクラなどが次々と開花。池の周辺に群生する桜が、水面を彩る水灯篭とともに描き出す荘厳な合わせ鏡の夜景や、つつじ谷の左側に広がる桜並木と、御船山の雄々しい岩肌とのコントラストが見どころ。霞のような遠景、目の前に舞い降りる花吹雪もおすすめです。 造園時に建てられた「萩野尾(はぎのお)御茶屋」は、茂義が創設した『鍋島男爵家別邸』で、園内の池のほとりにゆったりとたたずんでいます。春と秋に一般公開され、「お団子と粉茶セット」「ぜんざいと粉茶セット」(いずれも500円)が振る舞われます。 萩野尾御茶屋は、移築された趣ある茅葺屋根の茶室で、ひょうたん池と四季折々の豊かな表情を見せる園内を見渡せば、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのようです。
御船山は、その姿が唐船(とうせん)に似ていることから唐船山とも呼ばれています。 自然の森と庭園の境界が分からないほど、一体となった園内の散策路を歩み始めて10分ほど進むと、大きなひょうたん池を囲んで最もモミジが密集している振り向き坂があります。このエリアでは約500本の深赤色に染まった紅葉が見どころ。例年11月上旬から12月上旬まで、夜間の紅葉ライトアップ(たまゆらの夕べ)を開催。庭園各所を周回できるように散策路を照らすことで、池泉回遊式庭園ならではの紅葉狩りができます。 ライトアップは近年、樹齢170年の大モミジまで拡大され、2015年は約13万2000平方メートルとなり、日本最大級の庭園ライトアップに。イロハカエデやヤマモミジ、オオモミジ、イタヤカエデなどを照らし、同園の年間来場者数約14万人のうち、8万人以上が訪れる人気行事です。 チームラボ株式会社による世界的に有名なデジタルアートを生み出すアーティスト集団「チームラボ」とのコラボも実現。毎年夏から秋にかけては、国登録記念物の御船山楽園を舞台に、主催者チームラボの「連続する生命の形」をコンセプトとした「earth music&ecology チームラボ かみさまがすまう森」が開催されています。2017年度のアート展は、世界最大のデジタルメディアであるdesignboom主催の2017年アートインスタレーションの世界1位に選ばれるなど、世界的にも高い評価を得ています。紅葉まつりと連動して「森の中の、呼応するランプの森とスパイラル - ワンストローク、山の紅葉」などの作品が展示された2018年度のアート展でも、自然の国登録記念物の森やツツジ谷、もみじの木々、岩などを生かしたデジタルアート空間へと一変させ、幻想的な光に包まれた美しい光景が多くの人を魅了しました。 敷地内には、無料の駐車場もありますが、イベント期間中は混雑することも多く、たけお競輪駐車場から第一入門口までの間を15分おきに無料のシャトルバスも運行していますので、こちらも利用できます。紅葉ライトアップ情報やイベント情報、駐車場情報については、公式サイトを参考にしてください。 起伏のある地形の園内だからこその楽しみが、振り向き坂からの景色。池のほとりの小径を進み、空を覆うほどに赤く色づく木々を見上げながら坂を上ったところで振り返ると、目の前に鮮やかな木々の姿が。 樹齢170年の大モミジは、ツツジ谷を奥に進むと、目の前に現れます。樹齢170年の大モミジは、園内の少し奥まった高台にたたずんでいます。 今から約1300年前に名僧行基が御船山に入山。釈尊像三体をはじめ、羅漢像五百体を彫り洞窟(どうくつ)に安置したと伝わります。五百体の仏像を刻む際、病におかされた行基は平癒の祈願をかけて彫ったと伝えられる三つの仏体があります。その姿は見る者に行基の気迫や信念が伝わってくるかのように雄々しく、1300年経った今も御船山を優しく見守っています。 園内にある施設「レストラン歳時記」は、庭園を眺めながら喫茶可能な人気スポット。紅葉狩りの合間に一息入れるなら、ぜひ立ち寄ってみてください。
武雄神社の創建は、735年。初代神主、伴行頼に神託があり、大宰府を通じ朝廷に奏上し、武内宿禰(たけのうちのすくね)を主神に4神を合祀しました。現在の佐賀県立武雄青陵中学校・武雄高等学校の場所に遷座。 その後、1180年から1120年(元永年間)に武雄2代領主、後藤資茂が、塚崎城を築城するために、朝廷に奏上して現在地に社殿を遷座しました。 1185年の壇の浦の戦いでは、平氏追討祈願を実施。平家を滅ぼした源頼朝は後鳥羽上皇の勅使と名代の御家人を赴かせ、御教書を送り、深く感謝したとされます。 武雄神社の背後には、御船山の神奈備(かんなび、神が隠れ住まう山)があります。本殿裏の竹林を抜けると眼前が開け、そこには3000年の悠久の時を経て今もなお生きる大楠。荘重で威厳に満ちた力強さを感じる大樹です。 推定樹齢は3000年。高さ27メートル、根回り26メートルで、 根元の空洞の広さは約20平方メートル。奈良時代には名僧行基が訪れ、大楠の一部に観音立像を刻み、頭部には六臂(ろっぴ)観音をはめ込んだという伝説も。現在は幹からはがれていた観音像が堂宇に祀(まつ)られています。木の中央が地表近くで口を開け、天神様(菅原道真公)も合祀。 武雄神社の入口には夫婦檜(縁結びの御神木)。神社の御祭神の仲哀(ちゅうあい)天皇・神功皇后の御神威によって、2本の檜が根元で結ばれ、樹の中ほどで再び枝が合着したといわれています。仲睦まじく立っている姿から、根元は夫婦和合を、つながった枝はさまざまな縁をつなぐ縁結びの象徴として信仰。男女の縁に限らず、人との縁、仕事との縁、お金との縁などを求めて、多くの参拝者が訪れています。 また、雌木の中ほどに見られる宿木は、応神天皇を懐胎しながらも、三韓征伐で勇ましく戦った神功皇后の、安産、子授けの御神徳の現れとか。造園の職人さんの遊び心で、天然のハート型の石が夫婦檜周辺に埋め込まれています。 パワースポット「武雄神社」は武内宿禰(すくね)を主祭神として、五祭神を祀っています。武内宿禰は長寿の神様であり、武運長久や開運、厄除けにもご利益があるという神様。 神社では、佐賀県最古(951年)の文書など、国の重要文化財に指定されている古文書を218通も所有。源頼朝や伏見天皇からの書状など貴重な史料が数多くあり、その由緒正しさと社格の高さを裏付けています。 武雄市立図書館では、従来の図書無料貸し出しはもちろんのこと、蔦屋書店の併設により、本の購入が可能。また、館内にはスターバックスコーヒーもあり、コーヒーを飲みながら読書が楽しめます。日本全国、誰でも書籍の借り出しが可能。(返却は500円でコンビニ返却が可能な「返却袋」を用意)。Tカード(TSUTAYAカード)があれば、登録不要で本の貸し出しを受けられます。 武雄市立図書館に隣接する、こども図書館は、2階建の吹き抜け。テラス席も芝生もあり、気持ちのいい空間が広がります。1番目を引くのは、アートウォールで、高さ約6メートル。巨大壁画は、武雄市の大楠がモチーフで、原画製作はtupera tupera、壁画製作は富岡誠氏が行っています。自然と地域に育まれ、子どもたちが健やかに成長して欲しいという願いを込めた作品です。 ■武雄神社 【住所】佐賀県武雄市武雄町大字武雄5335 【問い合わせ(TEL)】0954-22-2976
御船山楽園 【住所】佐賀県武雄市武雄町武雄4100 【問い合わせ(TEL)】0954-23-3131 【入園料】大人(中学生以上)500円、小学生200円、未就学児は無料※時期により変動 【開園時間】8時〜17時 【休園日】なし 【駐車場】無料(大型バス15台/乗用車150台)
車で
・博多駅からは高速道路を使って車で約1時間15分。都市高速、九州自動車道、長崎自動車道の武雄北方インターチェンジで降りて、国道34号へ。 ・佐賀市内からは高速道路を使って車で約45分。長崎自動車道の武雄北方インターチェンジで降りて、国道34号へ。 ・長崎市内からは高速道路を使って車で約1時間。長崎自動車道、嬉野インターチェンジを降りて県道45号へ。
電車で
・博多駅から特急で武雄温泉駅まで1時間10分。武雄温泉駅からタクシーで約5分。
車いすでも見学できますか?
園内には、急勾配の坂が2カ所あります。また、雨などで足場が悪くなっている場合がありますので、注意してください。「萩野尾御茶屋」に行く場合は、案内板の「お帰り道」へは進まず(階段のため)、一度来た道を入園口まで戻り、茶屋方面の道へすすんでください。御船山楽園では、車イスの貸し出し(5台)も行っています。
園内で食事はできますか?
春と秋に期間限定のレストラン「歳時記」がオープンします。佐賀黒毛和牛100%のハンバーグセットや佐賀黒毛和牛厚切りセットがあります。ランチタイムは11時30分~15時30分(ラストオーダー14時30分)。ライトアップ期間中(11月1日~11月30日)の金・土・日曜、祝日のみはデイナータイム17時~21時30分(ラストオーダー20時30分)も営業しています。(電話0954-23-3131)※予約受け付けは不可
園内に展望所はありますか?
花見台が御船山の左側、木々に囲まれた散策路の奥に設けてあります。地上約30メートルの高さの花見台から眺める景色は壮観です。
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