平尾台の鍾乳洞とカルスト台地を
現地編集部が徹底ガイド

平尾台に来たらぜひ訪れて欲しいスポットが、平尾台自然観察センターです。ここは平尾台の観光案内所のような役割を担い、その日ごとの周辺の天候だけでなく、平尾台にある3つの鍾乳洞の営業状況などを確認できます。いわば平尾台の玄関口として欠かせない場所です。

観光施設の側面のほか、地域ボランティアの人も集う公民館のような施設です。1階の展示室には、周辺のカルスト地形の展示や、周辺の珍しい植物や野鳥などの写真も見ることができます。晴れている日にはぜひ3階の展望デッキからの景色も楽しんで。平尾台に関する書籍も多数揃っていますので、まずはここで平尾台についてしっかりと知ってから観光に出向くのもおすすめです。

茶ヶ床園地（ちゃがとこえんち）は、小高い丘に面していてピクニックや軽いハイキングに最適なコースとして多くの人に親しまれています。ここからカルスト台地への散策路も伸びています。

このエリアならではの野鳥や植物を求めて、日本野鳥の会の活動も行われているのだとか。平尾台自然観察センターで事前に周辺の珍しい植物をチェックしておくのもいいですね。野鳥や植物を見かけた際は、珍種かもしれません。周辺の景色ともに、植物や野鳥にも注目して楽しみましょう。

続いて紹介するのは、茶ヶ床園地（ちゃがとこえんち）と千仏鍾乳洞（せんぶつしょうにゅうどう）の途中に位置する見晴台。ここからは、晴れた日にカルスト大地を360度見渡せます。白色の羊群原も太陽の光に反射して、きらきらと輝やいて見えます。遠くには平尾台で最も標高の高い貫山を確認できますよ。

千貫岩休憩所から、5分ほどの険しい坂道を登った先にあるのが三笠台。登る際には背の高さ以上の草木をかき分けるような道もあり、アドベンチャー感も。頂上にたどり着く頃には、山々の重なりが成す絶景と見通しの良い日には周防灘（すおうなだ）が確認できます。

三笠台という名の由来は、昭和22年（1947）に三笠殿下が立ち寄ったことからなのだそう。千貫岩休憩所すぐそばにあるさ3.7キロの円頂ピナクル「千貫岩（せんがんいわ）」も欠かさずにチェックしてくださいね。

■茶ヶ床園地
【住所】福岡県北九州市小倉南区平尾台
【駐車場】あり（20台）

■見晴台
【住所】福岡県北九州市小倉南区平尾台
【駐車場】あり

■三笠台
【住所】福岡県北九州市小倉南区平尾台
【駐車場】あり（75台）
【TEL（問い合わせ）】
093-453-3737（平尾台自然観察センター）
093-452-2715（平尾台自然の郷）

平尾台のカルスト台地には、観光地化されている鍾乳洞が3つあります。千仏鍾乳洞、目白鍾乳洞、牡鹿鍾乳洞です。中でも、国の天然記念物に指定されている千仏鍾乳洞は夏時期には多くの観光客が訪れます。

入洞前には、足元はひざ下まできちんと捲り上げ、サンダルなどに履き替えましょう。入口すぐそばのせんぶつ茶屋横の売店で、無料貸し出しも行なっております。中は人がすれ違うのもやっとなスペースもありますので、身軽な格好でおすすめ。施設すぐそばには、貴重品用のコインロッカーも。

鍾乳洞入口は、大小30個の鍾乳洞真夏をくぐるように進むところから。薄暗くなったあたりから16度前後とひんやりするのを早速、体感できます。目玉ともなるのが、おおよそ500メートル進んだあたりの小川が流れる「奥の細道」からのコース。小川の中に入らないと前に進めないので、じゃぶじゃぶと進んで行くアドベンチャー感を存分に味わえます。

小川の水は14度。「我慢すれば5分で慣れる」と言われていますが、この5分は長くも感じますが辛抱するのも旅の醍醐味。水温は一年中変わらないのに、真冬はこの地下水が暖かく感じるのだというから不思議ですね。深いところでは、女性のひざ下まで地下水が流れている地点もあります。往復で40分程度ですが、緩やかな道が続くので、大人から子ども、高齢者でも気軽に楽しめますよ。多くの鍾乳洞を目の前に、自然の壮大さを存分に体感しましょう。

目白鍾乳洞は、全長2キロ以上の長い距離を、ヘルメットとヘッドライトをつけてケイビングという洞窟体験が楽しめるスポットです。気軽な観光気分で楽しめる千仏鍾乳洞に対して、こちらは上級者向け。世界でも珍しい水平天井が必見スポットとなります。これを見るためのコースは、ガイド付きツアーで、要事前予約です。またケイビングの際には、必ず登山同様に届出をしましょう。コースごとに必ずガイドの案内が必要となりますのでその点も注意してください。

恐竜の巨大な落とし穴とも言われる、縦穴型の牡鹿鍾乳洞。縦穴型の鍾乳洞は全国的にも希少。階段で潜っていく深さは、おおよそ30メートル。洞底にたどり着いた際には、ぜひ地上の入口を見上げて深さを体感しましょう。ナウマンゾウなどの多くの化石なども発見されているのがここです。

そのほかには、観光鍾乳洞ではない、「不動洞」や「清龍窟」があります。まさに水にどっぷりと浸かって洞奥へと進んで行くこともあるケイビングが目玉。より上級なコースを味わいたい人はこれらの鍾乳洞もおすすめです。

■千仏鍾乳洞
【住所】北九州市小倉南区平尾台3丁目2番1号
【電話番号（問い合わせ）】093-451-0368
【営業時間】
平日……9時～17時
土・日曜、祝日……9時～18時
※ただし秋季・冬季は日没まで
【公式ページ】http://www.senbutsu-cave.com/index.html

■目白洞
【住所】福岡県北九州市小倉南区平尾台3丁目1-1
【電話番号（問い合わせ）】093-451-6315（目白洞）
【営業時間】10時～17時
【公式ページ】http://mejiro-cave.com

千仏鍾乳洞周辺のグルメスポットが、せんぶつ茶屋。ここで食べるうどんは、鍾乳洞探索後にぜひ味わうべき一杯です。千仏鍾乳洞の地下水を浴びながらじゃぶじゃぶと歩く時間は案外長いのもの。往復で15分以上は冷水に足をつけているような状態です。千仏鍾乳洞の駐車場までは、のんびり登って15分弱の急な上り階段が続きます。冷え切った体を休める場としてぜひ、利用してみてください。あたたかいうどんやそばのつゆは、夏でもおいしくいただけますよ。

山菜うどん（そば）は平尾台周辺の山菜が楽しめるという特典付き。うどんやそばと一緒にたけのこ、しいたけ、ぜんまいなどが楽しめます。寒さが厳しい平尾台ですが、1年中、山菜を味わえるよう女将さん特製の保存方法で管理しているそう。うどんと一緒のベースのつゆで作られる親子丼もおすすめです。とろっとろの卵と、ご飯にしっかり染み込みこむようにかかるつゆは絶品。

食後は、千仏鍾乳洞名物のカルストまんじゅうはいかが。カルスト？まさか岩？と思う方もいるかもしれませんが、中身は芋。名前の由来を女将さんに尋ねたところ、カルスト地形の独特な丸みを帯びた岩にちなんだものなのだそう。岩などは一切入っていないのでご心配なく。このまんじゅう、一つひとつ女将さんの手で作られています。中の餡まで全て手作りなのです。値段も1個100円と手頃なため、時間がない人でも、ほっくほくのカルストまんじゅうを手にしみてください。

千仏鍾乳洞では、想像以上に体力を消耗します。体が自然とクエン酸を欲することから、酸っぱくてさっぱりしたものを欲するため、せんぶつ茶屋では梅ジュースを提供しています。梅ジュースのレシピは、女将さん自らが考案したもの。さっぱりとした味わいは、探検後の疲れた体に染み込むようなおいしさです。ソーダ入りの梅ソーダジュースもありますよ。

平尾台周辺では地鶏の養殖にも携わった主人が営む、地鶏のさと「ひらお」があります。地鶏を中心としたジンギスカン風の地鶏鍋、ひらおコースが人気です。テイクアウトもできるこだわりの唐揚げもおすすめ。

平尾台だけでなく、北九州観光の際に、もう少しだけ足を伸ばしてほしい観光スポットもまだまだあります。日没後でも楽しめる観光スポットとしては新日本三大夜景として知られる、皿倉山。山頂までのケーブルカーが運営されているので安心です。

時間に余裕がある人は帰り道に門司港レトロへ立ち寄ってみて。大正ロマンとレトロな街並みを楽しむことができます。ご当地名物の焼きカレーも欠かせませんよ。