1. 風情あふれる伊豆の湯の街・修善寺温泉

達人指南

現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。

風情あふれる伊豆の湯の街・修善寺温泉

  開湯から1200年以上と伝わる古湯。桂川沿いに続く温泉街は朱色の橋や竹林などしっとりとした風情をたたえ、「伊豆の小京都」と称されています。文人墨客の訪れも多く、ゆかりの地をめぐる文学散歩も楽しむことができますよ。

風情ある温泉街を浴衣姿でめぐろう

  伊豆半島の西側の付け根近くにある修善寺温泉は、伊豆最古の温泉といわれています。もともとは大同2年(807)年に、弘法大師が桂川を独鈷杵(とっこしょ)という杖で一突きしたら湯が吹き出したというのが始まり。今もその「独鈷の湯(とっこのゆ)」は健在で、修善寺温泉のシンボルとなっています。近くには、同じく弘法大使が開き、地名の由来となった修禅寺も。温泉街を流れる桂川には5つの橋が架かり、その一つの桂橋を渡れば竹で囲まれた約400メートルの遊歩道「竹林の小径」が続きます。自然と歴史が息づき、洗練された印象を与える温泉街は修善寺ならではの風情。夏の「ほたるの夕べ」や秋の菊花祭りなど四季のイベントも楽しんで。

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“温泉”と“恋”をテーマに温泉街をめぐる

桂川の河原にある源泉地の「独鈷の湯」

  修善寺温泉は、数寄屋造りの老舗旅館など趣のある宿が並び、射的やスマートボールなどの昔ながらの遊技場もあります。温泉街の雰囲気を味わいながら、いろいろなテーマで歩いてみてください。まずは“温泉”。修善寺温泉の泉質はアルカリ性単純泉で、ph8.6とアルカリ度が高く、特に美肌効果が見込めます。温泉街には、古くから薬効豊な霊泉として信仰を集める3つの古い源泉があります。1つは修禅寺境内にあるお水屋。温泉で手を温めてお参りするのが修禅寺の習わし。近くの河原には2つめの「独鈷の湯」も。近くにある河原湯で足湯の利用も可能ですよ。独鈷の湯公園にある3つめ「お湯かけ稚児大師」は、自分の治したい体の部分にお湯を掛けると治ると伝えられています。
 次は“恋”。修善寺は、鎌倉幕府を開いた源氏ゆかりの地で、岡本綺堂は戯曲『修善寺物語』のなかで2代将軍の源頼家と地元の娘・かつらとの愛を描いたもの。温泉街には縁結びの橋の言い伝えもあり、願いをかけながら5つのはしをめぐると恋が成就するともいわれるので、試してみては?

源氏一族の悲劇が伝わる“修禅寺”

激動の歴史を重ね、静かにたたずむ修禅寺

  修善寺温泉は、鎌倉時代に、源氏一族が相続問題などの激しい攻防を演じてきた舞台であり、源氏ゆかりの史跡も多く点在します。修禅寺には、源頼朝に謀反の疑いをかけられた異母弟・範頼や、頼朝の長男で鎌倉幕府第2代将軍だった頼家が幽閉され、頼家は23歳の若さで暗殺されました。
 温泉街には頼家も入浴したという「筥湯(はこゆ)」を再現したヒノキ造りの共同浴場も。併設する高さ12メートルの仰空楼(ぎょうくうろう)からは温泉街が一望できて、湯上りの休憩にはぴったり。温泉街から10分ほど歩くと、暗殺された源頼家の墓や、頼家の冥福を願って北条政子が建立した指月殿もあるので、ぜひ訪れてみてください。

伊豆の小京都で楽しむ“文学散歩”

修善寺虹の郷に残る漱石が滞在した客室「漱石庵」

  文学をテーマに散策するのもおすすめ。明治や大正時代には、多くの文人が療養や保養で訪れ、詩歌や小説、随筆紀行などに修善寺の記述を残していまう。
 温泉街から延びる“花と文学の散歩道”と、その先の修善寺梅林内には、俳人でもあった『金色夜叉』で有名な尾崎紅葉をはじめ、高浜虚子などの句碑が立っています。温泉街西奥の赤蛙公園は、昭和19年(1944)に療養のため滞在した島木健作の傑作短編『赤蛙』にちなんで名づけられたのだそう。ここで取材して書いた遺稿といわれ、死期の近かった著書が蛙の生を力強く描写する感慨深い作品です。
 川端康成の代表的な作品『伊豆の踊り子』で青年が踊り子と始めて出会う湯川橋は、修善寺駅から徒歩10分ほどのところ。さらに、温泉街から車で5分の修善寺虹の郷には、明治43年(1910)に夏目漱石が療養のため滞在した菊屋旅館の客室が、「漱石庵」(旧菊屋旅館別館)として移築されています。この時の病は漱石ののちの作品に大きな影響を与えたといわれていますよ。

幻想的な竹林のライトアップや「ほたるの夕べ」

ライトアップされた竹林を歩いてみたい

  修善寺温泉では、豊かな自然を生かした四季のイベントや行事も開催されます。通年イベントとして、日没から23時頃にかけて温泉街がライトアップ。竹林の小径、独鈷の湯、河原湯など年々ライトアップのエリアも拡大し、湯上りのそぞろ歩きをロマンチックに演出してくれます。毎年5月下旬から6月上旬にかけては、初夏の風物詩「ほたるの夕べ」を赤蛙公園で開催。修善寺の静かな夜に舞う蛍の姿は幻想的で、夏の訪れを感じさせてくれます(雨天の場合は中止)。8月には夏の風物詩でもある盆踊りが開催され、10月〜11月には温泉街の各所に菊の花鉢が飾られる「修善寺・菊花まつり」が行われます。11月なると、伊豆随一のもみじ群生地である修善寺のもみじ林が色づきはじめ、12月にかけて温泉街でも紅葉を楽しむこともできますよ。
 周辺の見どころも自然豊か。温泉街の北に広がる修善寺梅林には約20種1000本の紅白梅が植えられ、見ごろとなる2月~3月上旬には梅まつりを開催。温泉街から車で5分の修善寺虹の郷でも四季を通じてさまざま花が園内を彩ります。古き良き時代の田舎町をモデルにしたイギリス村や日本庭園などがあり、花の中をのんびりとSL列車が走っています。

修善寺温泉の施設情報・交通アクセス

車で

  大橋JCTから首都高速3号渋谷線、東名高速、伊豆縦貫道、伊豆中央道(有料)、修善寺道路(有料)経由140キロメートル、2時間15分。
温泉街入り口に御幸橋駐車場あり。

電車で

  東京駅から「特急踊り子」で修善寺駅まで2時間6分。
修善寺駅から「修善寺温泉行き」のバスで約10分、終点修善寺温泉駅下車。タクシーで約10分。

高速バスで

  新宿駅から約2時間40分で修善寺温泉。

施設情報

  ■修禅寺
住所:静岡県伊豆市修善寺964
電話番号:0558-72-2501(伊豆市観光協会修善寺支部)
開館時間:境内自由
休館日:宝物殿無休
料金:宝物殿300円(8時30分~16時30分、10月~3月は~16時)
http://shuzenji-temple.com/index.html

■筥湯(はこゆ)
住所:静岡県伊豆市修善寺924-1
電話番号:0558-72-5282(伊豆市観光協会修善寺支部)
開館時間:12時~21時(最終受付20時30分)
休館日:無休
料金:350円(小学生未満無料)


■修善寺虹の郷
住所:静岡県伊豆市修善寺4279-3
電話番号:0558-72-7111
開館時間:9時~17時(10月~3月は~16時)
休館日:火曜(祝日の場合は開園、季節に変動あり)
入園料:大人(中学生以上)1220円、小人(4歳~小学生)610円
http://www.nijinosato.com/

写真提供:修善寺旅館協同組合、修善寺虹の郷

バスツアーで伊豆へ行こう

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運転する必要がないので、友達や家族との会話も楽めるし、昼寝も自由。
温泉でリラックスした後に、車内でゆっくりお酒を嗜むのもありだろう。

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