1. 城下町・日出を 現地編集部が徹底ガイド

達人指南

現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。

城下町・日出を 現地編集部が徹底ガイド

  大分県中部に位置し、日出ると書いて「日出(ひじ)」と呼ぶ日出町は、別府湾の海景と城下町の文化が調和した素敵な町です。日出城跡を中心としたエリアを着物で散策したり、アート巡りや自然の中を散策したり、いろんな楽しみ方があります。また、土地の恵みを活かした名物グルメも外せません! 癒し旅に出かけましょう。

日出城址から望む別府湾

  大分県中部に位置する速見郡「日出町(ひじまち)」は、豊後国3万石の城下町として栄えた地。日出城址などの旧跡が各所に点在する“歴史の街”だ。また、春には別府湾を望む城址公園が、多くの花見客でにぎわう桜の名所となる。

さらに日出町は、下海岸で獲れる高級特産ブランド魚「城下カレイ」の産地でもある。おすすめの立ち寄りスポットから地元のグルメまで、日出町観光の魅力を達人に聞く。

取材/おおいたインフォメーションハウス、平成29年(2017)1月

[たびらいセレクション]

早水浩二さん
(はやみず こうじ)
早水 浩二さん

日出町観光の達人
  情報誌の出版のほか、イベントやWEB展開、大分の情報を発信する会社の経営などを通じて、大分の活性化に尽力。退職後は日出町にある「砂浜食堂」のオーナーとして、町の活性化に取り組んでいる。

日出町に着いたら、まずは「二の丸館」へ

「二の丸館」の外観

  JR睗谷駅(ようこくえき)から歩いて5分ほどのところにある「二の丸館」は、日出の城下町散策の拠点となる観光交流施設。日出町へ観光に訪れたら、まずはここを目指してほしい。

二の丸館の施設内には、日出町の特産品や土産物、工芸品、書籍などを販売する地域特産品コーナーのほか、軽食喫茶店や展示スペースなどがそろっている。また、敷地内には日出城に築かれた裏門櫓が復元されており、かつての城の姿をうかがうことができる。

「観光案内所には日出町観光協会の職員が常駐しているため、まずは日出町でおすすめの観光スポットや食事処などを尋ねてみるといいですよ」と達人・早水さんは言う。

さらにここでは、レンタサイクルの貸し出しも行っており、城下町の周辺をサイクリングすることができる。もしレンタサイクルを借りたら、ぜひ海沿いの道を走る爽快感を味わってほしい。

日出城址の周辺散策へ

「日出城址」の石垣に咲く桜

  穏やかな別府湾を望む一角に築かれた日出城(ひじじょう)は、関ヶ原の戦いのすぐ後の時期に造られたという。現在は天守閣や城壁、堀などが残っているが、城内には小学校が建設されている。小学校の正面玄関に着くと、そこが城の大手門跡になっている。

「登校してくる生徒たちは、登城するような気分が味わえるのでは?」と早水さんは笑う。「今残っているのは石垣と堀ですが、とても立派なもの。江戸時代の姿を見てみたかったですね」

日出城址の一部は、別府湾が一望できる小さな公園になっている。この公園は遊歩道とつながっており、堀に沿って日出の城下町を歩く1時間30分ほどのウォーキングコースがある。別府湾沿いに、城下町から海岸へと巡ることができる。

人間魚雷「回天」の訓練基地跡で、平和について考える

「回天実物大模型」

  太平洋戦争末期、太平洋戦争末期、日本の敗戦が目前の中、海軍によって考え出された人間魚雷「回天」。日出町は、その訓練基地があった場所でもある。回天は人間が操縦する魚雷で、そのまま敵艦に体当たり攻撃をする特攻兵器だった。

出撃すれば生きて帰れないこの作戦では、多くの若者が命を落とした。現在の基地跡には回天の実物大模型が設置されているほか、当時の遺構や関係者を祭った回天神社がある。また、周辺は「回天大神訓練基地記念公園」として、散策する人のために駐車場やトイレなどが整備されている。

観光に訪れた人たちは、のんびりとした雰囲気の日出町に、このような戦争に関係する施設があることに驚くかもしれない。しかし、各所に残る遺構は、紛れもない戦争の悲惨さを物語っている。「ぜひここに足を運んで、実物大の回天を見てほしいですね」と早水さんは言う。

広大なハーブ農園「おおがファーム」でスローな休日

「おおがファーム」のヒマワリ

  スローな休日を過ごしたい人におすすめなのが、ここ「おおがファーム」。森に囲まれた約2万坪の広大なハーブ農園で、150種類以上のハーブと約600種のバラが植えられている。

「これだけ広いと、本当に爽快。園内をゆっくり回ると、気持ちも落ち着く場所」と達人・早水さん。自然素材を使用して建てられた建物と植物とが調和した空間で、のんびりと羽を伸ばすことができるスポットだ。

リースづくりやエッセンシャルオイル入りのゼリーキャンドルづくりなど、体験メニューが豊富。さらにはドッグランも併設しており、犬の体の大きさ別にスペースが分けられている。犬にも愛犬家にもやさしい配慮がうかがえる。

南欧をイメージして造られたというゲストハウス内には、レストラン&カフェがあり、ハーブをふんだんに使ったパンやスイーツ、パスタなどが味わえる。また、キッチン道具やオリジナルのブレンドハーブティー、アロマテラピーグッズなどが並ぶショップもあり、土産物探しにもおすすめだ。

城下カレイに舌鼓を

城下カレイの刺身

  全国的にも名を知られる高級魚、「城下(しろした)カレイ」。日出城址の下に、別府湾内の海底から淡水が湧き出ている海域があり、そこで育つマコガレイのことをこう呼ぶ。

城下カレイは普通のカレイと異なり、くせがなく香りが豊かで、そのおいしさから江戸の将軍にも献上されていたという食材。日出町内には城下カレイを提供する料理店が軒を連ねており、旬を迎える春には特に多くの食事客でにぎわう。

中でも早水さんがおすすめする店「的山荘(てきざんそう)」では、城下カレイをふんだんに使った夜の会席料理(1万800円)のほか、昼の会席(3240円)などを味わうことができる。

的山荘の建物は、もともとは国の重要文化財に指定されている歴史ある別荘。城下カレイを使った料理だけでなく、近代和風建築の日本家屋や、別府湾や高崎山を借景とした庭園も見どころだ。当日は満席のことが多いため、来店時には事前に予約を入れて訪れよう。

[たびらいセレクション]

日出町のおすすめ観光情報

海岸線沿いエリアのおすすめランチ

  日出町の新鮮な地元食材を楽しめる海岸線沿いのランチスポットを紹介。

  • 「Beach Cafe 砂浜食堂」
  • 「炭仙人」の炭火焼き
  • 「魚商 福住屋」のエソのフライ
おすすめポイント
  海岸線沿いのドライブで立ち寄れるランチスポットを紹介。しっかり食べられるのものから、テイクアウト可能なものまで、達人のお墨付きをピックアップ。

こだわりの“ものづくり”スポット

  実はアートやものづくりの工房も点在する日出町の周辺エリア。ドライブがてら立ち寄ってみてほしいスポットを紹介。

  • 「石ころたちの動物園」で展示される作品
  • 「花の木美術館」の館内
  • 「開工房」に並ぶ木彫作品
おすすめポイント
  日出町に点在するアートスポットでは、鑑賞するだけでなく、タイミングを合わせればワークショップなどに訪れることもできる。

日出町の周辺はレジャーも充実!

  通年楽しめるものから、季節限定のものまで。自然の中で羽を伸ばそう。

  • 「サンリオキャラクターパーク ハーモニーランド」
  • 「糸ヶ浜海浜公園」
  • 「Splash Pool Gao」のウォータースライダー
おすすめポイント
  サンリオのキャラクターに会えるテーマパークや、海の近さを生かしたレジャーなどを紹介。「家族とでも、友達とでも、楽しめる場所がたくさんありますよ」と早水さん。

日出町への交通アクセス

飛行機で

  伊丹・中部から約1時間、羽田から約1時間30分、成田から約2時間で大分空港へ。大分空港から車で約30分

フェリーで

  ・大阪から約11時間50分で別府、さらに車で約20分
・神戸から約11時間20分で西大分、さらに車で約40分

車(レンタカー)で

  ・鳥栖ジャンクションから日出インターチェンジまで約1時間20分、さらに約5分
・小倉から日出インターチェンジまで約1時間30分、さらに約5分

電車(JR)で

  ・大分駅から別府駅まで約15分、さらに日出駅まで約15分
・小倉駅から杵築駅まで約15分、さらに日出駅まで約15分

日出町観光のQ&A

Q 乗船して別府湾を巡るツアーがあるって本当?
A 海から眺める別府湾の絶景を堪能するには、漁船に乗船しての「海上遊覧ツアー」や「海上タクシー」がおすすめ。地元漁師が操る漁船に揺られながら、海からの景色を楽しむことができる。
※予約制(利用日の3日前までに申し込みが必要)
Q 宿泊施設のおすすめはある?
A おすすめの宿泊施設は、露天風呂に漬かりながら別府湾を眺められる「スパ&リゾート ホテルソラージュ大分・日出」。別府湾が一望できる露天風呂では、10月下旬から3月上旬には海から上がる日の出を眺めることができる。美しい眺めに魅了されたリピーターも多いという。客室は全63室あり、リゾート気分を味わえる。

いざないの一枚

×