毎年8月15日に行われる「精霊流し」は、盆前に死去した人の遺族が霊を弔うために手づくりの船を造り、船を曳きながら街中を練り歩いて極楽浄土へ送り出すという長崎の伝統行事。各家で造られる船は大小さまざま。材料は主に竹、板、ワラを使い、長く突き出した船首(みよし)には家紋や家名、町名が大きく記される。8月に入ると、船の飾り付けには故人の趣味を反映させたり、町内合同で「もやい船」を出したり、細部の飾り付けにまでこだわったりと多彩な造りかけの船が路上に多く見られるようになる。当日の夕暮れ時には、町のあちらこちらから「チャンコンチャンコン」という鐘の音と、「ドーイドーイ」の掛け声が聞こえる。耳をつんざくほどの爆竹の音が鳴り響き、行列は夜遅くまで続く。