映画『図書館戦争』のロケ地、あの “関東図書基地” へ、いざ潜入!

映画『図書館戦争』の舞台となった北九州市立中央図書館。堅牢な佇まいを感じさせる建物は、ポストモダンを牽引した建築家・磯崎新の設計によるものです。2本のかまぼこ状の屋根がJやUの形に屈曲しながら連結するユニークな構造になっています。
エントランスから天井を見上げると、幾重にも架けられた巨大なコンクリート製の梁。ドーム屋根を支える湾曲した梁が整然と並んでいます。現場でコンクリートを型枠に流し込んで造るのではなく、事前に成形した部材パーツ(梁)を持ち込んで組み立てる「プレキャスト」工法を採っています。

「ロケ地に決まった当初は、年配の利用者の中にはタイトルの“戦争”という言葉にいいイメージを持たない人もいるだろうと戸惑いもありました」。当館司書の轟良子さんは、いいます。しかし、ロケをきっかけに作品の世界に引き込まれ、「すべての本を大切に守り、次の世代に引き継いでいく」という同作品のテーマが、図書館司書としてのこれまでの仕事と重なって思え、エールを贈られた気持ちになったといいます。

「ちょうどこの階段から、岡田さんがダーっと駆け下りてきたんで、何が起こったんだろうって見ていたんです。後から映画を観たら岡田さんが図書隊手帳を“作戦室”の会議机に叩きつけて、単身で図書隊司令(石坂浩二)と隊員(榮倉奈々子)の救出に向かおうとするシーンだったんです」(轟さん)。
その“作戦室”の中にも案内してもらいました。普段は職員の会議室として利用されているが、事前に見学の申し込みがあった場合は、スケジュールさえ合えば一般の方も案内してくれます。映画の中で登場した館内の書架を見下ろす構図で記念写真を収める来館者も多いといいます。
映画『図書館戦争』のロケ以来、多くの人が“聖地巡礼”に訪れる。轟さんはこれまでにも何度となく、撮影当時の舞台裏話を織り交ぜながら、当館の成り立ちと自らの図書館への思いなどを語ってきた。「普段は図書館に縁のなかった若い人たちが、この映画を入口に図書館を身近に感じてもらって、本に親しんでくれるきっかけになればいいですね」。