能古島の産土神。秋の行事“おくんち”は、福岡市の無形民俗文化財

能古島字東に位置する「白髭神社(しらひげじんじゃ)」は、奈良時代の創建とされる島の“産土神(うぶすながみ)”で、神功皇后(じんぐうこうごう)や猿田彦命(さるたひこのみこと)、三筒男命(みつつおのみこと)などを祭神としている。“神功皇后が住吉の神霊を残した島”なので“残島(のこのしま)”となり、現在の地名となったといういわれがあり、この神霊を留めたのがこの白髭神社だという。
本殿には見事な飛天の彫刻があるほか、境内にある二つの丸い石は「力石(ちからいし)」と呼ばれ、かつては若者の力試しに利用されていた。また、鳥居は江戸時代に廻船業者から寄進されたものだという。
島内に五つある集落のうちの四つが祭祀に携わり、10月9日と11月28日に行われる例祭は、前者が“おくんち”、後者は“おまつり”と呼ばれる。特におくんちは福岡市の無形民俗文化財に指定されており、近代以前の古式をとどめた祭りとして興味深い。