99歳まで執筆し続けた女流作家の生涯を知る

明治18年(1885)、臼杵市の酒造(現・小手川酒造)2代目の長女として生まれた野上弥生子は、14歳で上京し明治女学院に入学。卒業後は同郷の野上豊一郎と結婚し、夫の文学的環境の中で自身も文学に目覚め、21歳で『明暗』を執筆。夫の師であった夏目漱石の人生観や文学観のもと、99歳まで現役作家として活躍した女流作家だ。その後も『海神丸』や『真知子』、『迷路』、『秀吉と利休』などの多くの作品を残しており、数々の文学賞を受賞。80歳では文化功労者に選ばれ、86歳で文化勲章を受章、87歳で臼杵市名誉市民となっている。
99歳まで執筆し続けた野上弥生子の偉業をたたえ、生家である小手川酒造の一部を改修して開設されたのが、ここ「野上弥生子文学記念館」だ。幼少のころから99歳で亡くなるまでの弥生子の生涯を深く知ることができるほか、少女時代の勉強部屋や、逝去の直前まで執筆に使用されていた愛用品、夏目漱石から弥生子に宛てた手紙、直筆原稿などの遺品約200点が展示されている。