スーパー歌舞伎を知るなら、この演目から

昭和61年(1986)に三代目市川猿之助(現猿翁)がはじめたスーパー歌舞伎は、従来の古典歌舞伎とは異なり、現代的な演出を随所に盛り込んだもので、その第一弾として上演されたのが梅原猛作の「ヤマトタケル」です。謀反をたくらむ双子の兄大碓命(おおうすのみこと)を、口論のすえ誤って殺害した小碓命(おうすのみこと)が、帝である父の怒りをかい、熊襲征伐を命じられます。踊り子に変装した小碓命は熊襲タケル兄弟を征伐しました。小碓命は熊襲タケルからその勇気を称えられ、「ヤマトタケル」の名を授かります。しかし、熊襲を征伐したにもかかわらず、父の怒りは解けません。さらに、蝦夷征伐、伊吹山の山神の退治を命じられ…。大掛かりで斬新な演出が盛り込まれていて、テンポよいストーリー展開は、歌舞伎初心者でも入りやすいです。数億円といわれる豪華な衣装も見どころです。