大分発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
更新:2019年12月17日
国宝や重要文化財などの建造物が数多く、年間で約150万人が訪れる宇佐神宮。境内には、パワースポットが豊富で、女子旅の目的地として人気です。王道の3カ所をめぐりながら、御利益スポットやハート型の装飾も探してみて。
[たびらいセレクション]
境内には定番のパワースポット以外にも、御利益のある場所がたくさん。すべてを参拝してまわるなら1時間が目安です。楽しみながら散策を。
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ローカル案内役 藤田 秀樹(たびらい編集部)
福岡県出身。九州内の食べ歩きスポットを探し続ける編集スタッフ。カメラ片手に友人・知人を巻き込んで観光スポットにも出没。
百科事典で伊勢神宮につぐ第2の宗廟として紹介される宇佐神宮は、皇室から崇敬される全国八幡神社の総本宮であり、現在でも約8万社を束ねる神社本庁の中でわずかに350社ほどの特別な別表神社でもあります。また、日本古来の神と外来の仏教をともに信仰する神仏習合発祥の地と言われます。 全国には約11万の神社がある中で、八幡社は4万社あまり。八幡大神(はちまんおおかみ)は、第15代天皇、応神天皇。大陸文化を取り入れて国を繁栄させた天皇として、571年、宇佐の地で八幡大神として祭られるようになり、725年に宇佐神宮が創建されました。 八幡大神が歴史に登場するのは、720年の隼人(はやと)の乱の鎮圧に神験をあらわしたときのこと。以後、仏教と融合しつつ、神仏習合発祥の宮として、大和朝廷との結びつきが強まりました。国家的事業であった東大寺の大仏造営に協力。仏法や寺院を守護する鎮守神と国家守護神の役割を担いました。 平安時代には、京を鎮護する石清水八幡宮が、鎌倉時代には幕府の鎮守として鶴岡(つるがおか)八幡宮が勧請、創建されています。これらが分社の始まりで、八幡宮は全国へと拡大。また、奈良時代に僧・道鏡が皇位を狙った「道鏡事件」では、勅使の和気清麻呂(わけのきよまろ)が宇佐神宮で神託を受けるなど、歴史を左右する出来事の舞台となっています。 イチイガシの樹木が生い茂る森に囲まれた広大な境内は国指定の史跡。上宮(じょうぐう)の八幡造の本殿3棟は国宝に指定。境内には28の摂社・末社が祀られています。八幡造では、2棟の切妻造平入((きりづまづくりひらいり)の建物が前後に接続。両殿の間に1間の相の間(馬道)がつき、その上の両軒に接する部分に大きな金の雨樋(あまどい)が渡されています。檜皮葺(ひわだぶき)で白壁朱漆塗柱の華麗な建物が並列。八幡造では、神様は昼に前殿、夜に奥殿に移動すると考えられています。 本殿には、一之御殿の八幡大神、二之御殿の比売神、三之御殿の神功皇后と、3柱の祭神を祭る神殿を並べているのが特徴で、それぞれの創建は、一之御殿が725年、二之御殿が733年、三之御殿が823年と伝えられ、鎌倉時代までは33年に1度、建て替えられてきました。 本殿の歴史は古く、平安時代中期に全国の神社一覧についてまとめた「延喜式神名帳」には、「豊前国宇佐郡 八幡大菩薩宇佐宮」、「豊前国宇佐郡 比売神社」、「豊前国宇佐郡 大帯姫廟神社」と記されているそう。 現在の本殿は、江戸末期のもの。檜皮葺(ひわたぶき)のふたつの屋根がつなぎ合わされる部分の黄金の輝きは「宇佐の黄金樋(きんとい)」とよばれる雨樋で、内院と外院を明確に分けています。 勅使門である南中楼門は、他の門を圧倒する門構え。皇族や勅使が参入、参拝する門として、上宮の正面に配置。南中樓門を中心に回廊が巡らされています。参拝は一之御殿から、二之御殿、三之御殿の順番に。古儀の「二拝四拍手一拝」で参りましょう。 境内は上宮、上宮と下宮の間に鎮座する若宮神社、外宮の順で見て回るのが、おすすめの攻略法。 祭りにも長い歴史があり、「宇佐夏越祭り」の呼び名で知られる「御神幸祭(ごしんこうさい)」が「神輿(みこし)」の発祥とされています。三基の神輿(みこし)が本殿から頓宮(とんぐう)まで繰り出すもので、東大寺の大仏参拝のために、八幡神が神輿に乗って宇佐から上京したと伝承。 以後、神の移動手段として全国に広まりました。宇佐神宮所蔵の神輿のひとつに、室町時代の守護・大内氏が寄進したものも。台座・屋根の各面に大内家の家紋の金具が付属しています。 10年に1度斎行される臨時奉幣祭(ほうべいさい)では、前夜にちょうちん行列が繰り出され、神社周辺が厳粛な雰囲気に包まれます。 2002年には、東大寺の転害会(てがいえ)に合わせ、宇佐八幡神の東大寺参拝をしのぶ神輿渡御(とぎょ)が行われました。この年は東大寺大仏開眼供養から1250年記念の年。総勢500人からなる神輿が境内を繰り出し、奈良入り実現。八幡神の奈良入りは、749年以来初めてのことです。
下宮(げぐう)は、弘仁年間(810~824)に嵯峨天皇の勅願によって創建。上宮のご分神を祭ったことがきっかけで、八幡大神、比売大神、神功皇后は上下両宮に鎮座。これが「下宮参らにゃ片参り」といわれる由縁です。 下宮は古くから御炊殿(みけでん)と言われます。神へささげる食事を調理する場所で、農業とは深い関係。 下宮の八幡大神は、農業や一般産業の発展、充実を守るとされます。古くから日常の祭祀には、祈願や報賽(ほうさい)が行われています。 鎌倉幕府を開いた源頼朝は八幡神を守り神にしていました。勝ち運にも御利益があり、勝負の神様として、境内のさまざまなパワースポットが注目されています。 ひょうたんは、古くから災いを払い、あらゆる願いごとをかなえて幸福をもたらすと言われています。願掛けひょうたん絵馬は、大小のひょうたんがあり、大きなものは願いごとを書いた紙を中に入れて絵馬掛けにかけ、小さなひょうたんはお守りとして自宅に持ち帰りましょう。 菱形池のほとりにある三つの霊泉。御霊水(ごれいすい)、または御鍛冶場(おかじば)、下井の霊水とも呼ばれ、八幡大神が現れたところ。八角の影向石(ようごういし)があり大神が神馬に召され、天翔けたと伝えられる馬蹄の跡が残っています。 奈良時代末期には、社僧の神息(しんそく)が御霊水の前に三つの井戸を掘り、水で八幡大神の神威を得て刀を鍛造。社宝の『神息の刀』と伝えられています。現在でも、参拝客が水をくんで帰る姿が見られます。 京都の広沢池、奈良の猿沢池とともに、日本三沢の池に数えられる、宝物館前の「初沢の池」。池に咲く古代蓮は必見で、見ごろは7月から8月。千葉県で2000年前の地層から出土した実から復活させ、1973年に移植。現在では約1万株が花を咲かせています。 呉橋は寄藻(よりも)川に架かる橋。鎌倉時代以前の境内を描いた古絵図には現在地に橋があったことが分かる記載が。昔、呉の国の人が架けたと伝えられることが名前の由来。10年に1度の臨時奉幣祭(勅祭)のときだけ扉が開かれます。撮影は西参道入口の右手がおすすめ。 今では見ることができませんが、1938年まで呉橋を渡った境内側には、豪壮な楼門が建っていました。1615年に細川忠興が豊前国守時代に、息子・忠利に再建させた弥勒寺仁王門がこれにあたります。戦時下の1938年に解体。安置されていた仁王像は宝物館に展示されています。 社殿の屋根の妻飾りである懸魚(けぎょ)や門の金具など、境内のいたる所にあるハート型の装飾。日本の伝統的な文様のひとつで猪目(いのめ)と呼ばれるもの。火事除けの意味で用いられており、イノシシの目の形に似ていることから名前がついています。
2018年の10月から11月にかけて、大分の県内各地で、伝統文化と現代アートとの触れ合いをテーマに「国民文化祭おおいた2018」や「全国障害者芸術・文化祭大分大会」が開かれました。 宇佐神宮でも文化祭の一環である「神と仏の祭典」として、世界的な活躍をみせるチームラボによるデジタルアートの「宇佐神宮 光の祭 Art by teamLab」を開催。期間中は、普段とは異なる幻想的な境内を目的に多くの人が詰め掛けるなど、新聞やメディアの記事にも数多く取り上げられ、大盛況のうちに幕を閉じました。 一部で今後も開催予定のイベントなどもあります。詳しいイベント情報や施設一覧については、公式ホームページでご確認ください。 宮司に次ぐ地位である権宮司に全国でも珍しい女性権宮司が就任したり、境内をデジタルアート空間へと一変させたりと、昔からの重厚な歴史を受け継ぐだけでなく、新たな魅力を増し続ける宇佐神宮から目が離せません。 東京の羽田や成田からの飛行機が到着する大分空港から大分交通株式会社の快速リムジンバスで約1時間、マイカーを乗せることが可能な大阪南港からのフェリーが到着する別府観光港からは車で約35分、神戸六甲港からのフェリーが到着する西大分港から車で約50分、沖縄からの飛行機が発着する北九州空港からも東九州自動車道を経由すると約60分と、各地から宇佐神宮へのアクセスの良さも魅力です。 宇佐神宮から徒歩で約7分の場所には、別府や湯布院、中津など宇佐神宮周辺の観光情報や観光ポイントなどを教えてくれる観光客にとって強い味方となってくれる宇佐市観光協会・観光案内所もありますので安心です。 宇佐神宮周辺の 別府温泉や由布院温泉、 長湯温泉など、宇佐神宮周辺の人気温泉街と組み合わせての温泉旅を満喫する旅行者の姿も多く見かけます。
宇佐神宮の表参道にある仲見世商店街。昭和レトロな雰囲気が漂い、土産店や食事処、茶屋などが軒を連ねます。道沿いにはいすも用意されていて、参拝後の休憩にもぴったり。 名物の宇佐飴(あめ)は、神功皇后が、皇子の応神天皇(八幡大神)を育てる際、母乳の代わりとしたとの由緒が残ります。優しい自然の甘味で、商店街の各商店で購入可能。1941年創業の梅田家の宇佐飴(1袋300円、税込)は、粘り強い食感と素朴な甘さが特徴。無添加のため、子どもでも安心して食べられます。 また、甘さ控えめのこしあんをカステラ生地で巻いた「 虎まき」(1本260円)も名物。1899年創業の「清風堂」が販売しており、ほどよい甘さと食べやすいサイズ。宇佐神宮の呉橋を再現した歴史のある銘菓「くれ橋」は落雁でようかんを包んだもので、土産菓子として人気があります。 商店街では「だんご汁」や「ガン汁」など、大分の郷土料理を堪能することができます。宇佐は、大分のブランド小ねぎ「味一ねぎ」の産地で、ねぎを存分に使った「ねぎ焼き」(500円、税込)を出す「ねぎ屋さんのねぎ焼き」も。味一ねぎは、ミネラル豊富で香り高いブランド小ねぎ。香りや味わいがフレッシュで、ねぎが苦手な人にもおすすめ。店主はねぎの生産者で、自家栽培のねぎがたっぷり入っています。 また、地元グルメとして忘れてはならないのが、「宇佐からあげ」。しょうゆやにんにく、ショウガなどがベースとなったタレに鶏肉を漬け込み、下味を付けて揚げます。鶏肉の消費量が日本一と言われる大分県の中でも、宇佐を中心とした県北はからあげ激戦区。宇佐市はからあげ専門店発祥の地でもあり、宇佐からあげを題材にした映画も制作されています。 宇佐からあげの元祖が、 来々軒。シンプルなにんにくしょうゆ味で、外はカリっと中はジュシーな甘みが特徴。鶏もも肉本来のおいしさと風味が味わえるよう、揚げ油をこまめに取り替えるこだわり。テイクアウト専門店「天下とり」が店舗に併設されています。
【住所】大分県宇佐市南宇佐2859 【問い合わせ(TEL)】0978-37-0001(宇佐神宮) 【本殿参拝時間】5時30分~21時(10月~3月は6時~21時) ※宝物館は9時~16時 【定休日】無休 ※宝物館は火曜休館(祝日の場合は翌日休み) 【料金】境内無料、宝物館 300円 【駐車場】 ・八幡駐車場(有料)大型・中型 各1500円マイクロバス 1000円普通車 400円二輪車 100円 ・呉橋駐車場(有料)マイクロバス 400円普通車 400円二輪車 100円 ・表参道駐車場(有料)普通車 400円
車(レンタカー)で
大分駅から高速道路を使えば約1時間。東九州自動車道の宇佐インターチェンジでおりて国道10号へ。 博多駅から高速道路を使えば約2時間。福岡都市高速、九州自動車道、東九州自動車道の宇佐インターチェンジでおりて、国道10号へ。
電車で
JR大分駅から特急で約40分、JR宇佐駅(最寄駅)からバスかタクシーで約10分。 JR博多駅から特急で約50分、JR宇佐駅(最寄駅)からバスかタクシーで約10分。 ※バス利用の場合は、「四日市方面」のバスに乗車し、「宇佐八幡バス停」下車
Q 御朱印帳はありますか?
A 朱・紺2色の御朱印帳に近年、御神文をイメージした白色が加わり、3種類が授与されています(初穂料1冊1200円)※朱印記帳代として別途300円必要
参拝におすすめのシーズンは?
基本的にはどのシーズンもおすすめ。中でも、寄藻川に菜の花が咲く春の時期は、呉橋と菜の花の見える風景が美しいと評判。また、菱形池や初沢池のハスが見ごろを迎える7月~8月も多くの参拝者でにぎわいます。
宇佐神宮を案内してもらえるガイドはありますか?
宇佐神宮の参道入り口前の「宇佐市観光協会」に申し込むと、宇佐神宮をガイド付きで案内してもらえ、歴史や文化をより深く知ることができまする。ガイド料は1団体1000円(30分~2時間以内、1人から申し込み可能)。 ※宇佐市観光協会問い合わせ(電話0978-37-0202)
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