1. 日本一早咲きの梅の名所「熱海梅園」

達人指南

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日本一早咲きの梅の名所「熱海梅園」

  温暖な気候に恵まれた熱海市にある熱海梅園では、全国に先駆けていち早く梅が咲く。春だけでなく新緑や初夏のホタル、秋の紅葉など、一年を通じて日本らしい四季を感じながら散策できるスポットだ。

梅まつり期間中は多くの人でにぎわう

  上品な香りと凛とした美しさが魅力の早春の花・梅を、日本一早く鑑賞できるのが東京駅から新幹線で約50分の熱海市にある熱海梅園だ。例年11月下旬~12月上旬には第1号の梅が開花し、日本一の早咲きの梅の名所として知られている。本数は58種473本。紅白の梅や黄色の蝋梅(ろうばい)、しだれ梅など種類は豊富だ。毎年1月中旬~3月中旬に熱海梅園梅まつりも開催される。熱海梅園はもともと、温泉療養のための自然散策地として生まれた場所。梅の季節以外にも散策が楽しめるようになっている。園内にはモミジなど紅葉する樹木も植えられ、ホタルが生息する清らかな小川も流れている。紅葉やホタルのシーズンもおすすめだ。

約120年前、温泉療養のために生まれた園内は変化に富む景観

熱海梅園

  熱海梅園は、市街地西側のなだらか山の斜面に約4.5㌶にわたって広がる。誕生したのはおよそ120年前。熱海に宮内庁の温泉療養施設が設置された際、熱海に赴任した内務省初代衛生局長・長与専斎(ながよせんさい)が、温泉療養のかたわら自然に親しみながら運動することが大事だと提唱した。それに応じて明治19年(1886)、横浜の豪商らが山を造成して、梅や松、桜など3000本を植樹して整備したのが熱海梅園の始まりだ。
 起伏のある園内は、景観の変化に富んでいる。園内を流れる初川にかかる5つの橋は趣が異なり、橋の上からの眺めがいい。小高い場所には「梅見の滝」という人工滝が設けられている。滝の裏側も通行できるので、流れ落ちる滝の内側から梅を鑑賞するのも一興。園内には足湯があり、梅まつりやもみじまつりの期間中オープンする。

梅の時期だけじゃない、熱海梅園の魅力

熱海梅園は「日本一遅い紅葉の名所」ともいわれる

  熱海梅園は梅の名所として有名だが、実は四季折々に訪れる楽しみがある。梅が終わると桜が咲き、5月の新緑も清々しい。6月上旬~中旬は、初川に生息する約5000匹のゲンジボタルが園内を舞い、初夏の夜に幻想的な光景が広がる。
 また、日本一紅葉が遅いといわれる熱海の、紅葉の名所にもなっている。例年11月中旬~12月上旬に熱海梅園もみじまつりが開催され、紅葉のライトアップなどが行われる。
平成21年(2009)、120年ぶりの大規模リニューアルが完成。早咲きの梅の木が増え、園内は整備されて明るく歩きやすい公園になった。梅まつりやもみじまつりの期間以外は比較的空いているので、静寂さが保たれているのもいい。小川のせせらぎに耳を傾け、リラックスした気分でゆっくり散策を楽しもう。

作曲家の邸宅に憩い、熱海ゆかりの彫刻家の作品を鑑賞

『飛天』の下で手をつなごう

  梅園の一角に、日本庭園と調和した古びた木造家屋がある。『雨降りお月』『波浮の港』などを作曲した中山晋平の住宅を移築した中山晋平記念館だ。戦争が激しさを増す昭和19年(1944)、中山晋平は東京から熱海に移り、昭和27年(1952)に亡くなるまで熱海に住み続けた。内部には、愛用のピアノや直筆の譜面などが展示されている。音楽の「節」にちなみ、あえて節のある木材を使うよう指示したという階段や、五線譜を思わせる5本の竹格子でデザインされた欄間など、音楽家の邸宅らしい意匠も興味深い。
熱海梅園に隣接する澤田政廣記念美術館では、熱海出身で文化勲章受章の彫刻家・澤田政廣の作品の数々を間近に鑑賞できる。美しいステンドグラス作品『飛天』は、その下で手をつなぐと幸せになれるといわれ、近年若いカップルに人気がある。

熱海梅園の施設情報・交通アクセス

  住所:静岡県熱海市梅園町8-11
電話番号:0557-85-2222(熱海市観光協会)
開園時間:24時間開園
休園日:無休
料金:無料(梅まつり期間中は300円。澤田政廣記念美術館入館料を含む)

車で

  東京ICから東名高速、西湘バイパス経由98キロ、1時間30分。
駐車場なし(イベント期間中は有料の臨時駐車場を設置)。1駅離れた来宮駅前に市営駐車場あり(1時間100円)。

電車で

  東京駅から東海道新幹線で50分の熱海駅下車、伊豆箱根バス梅園・相の原方面行きバス15分の梅園バス停下車。

施設情報

  ■中山晋平記念館
住所:静岡県熱海市梅園町8-1/電話番号:0557-85-1933/開館時間:10時~15時30分/休館日:木曜日(梅まつり期間中は開館)、年末年始/料金:無料

■澤田政廣記念美術館
住所:静岡県熱海市9-46/電話番号:0557-81-9211/開館時間:9時~16時30分/休館日:月曜日(祝日、梅まつり期間中は開館)/料金:320円

写真提供:熱海市観光協会

バスツアーで熱海梅園へ行こう

  車だと渋滞が気になったり、電車だと座れなかったり…移動時間は意外と苦労する人が多い。
また行楽シーズンによる影響で大変混雑しており、施設に入るまでに時間がかかることもあるようだ。
そこでおすすめなのが “バスツアー”。
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