1. ヤマシメ番屋|ニシン文化伝承施設のカフェで味わい深い「やん衆」グルメを

ヤマシメ番屋|ニシン文化伝承施設のカフェで味わい深い「やん衆」グルメを

【投稿日】2018年07月18日(水)| 北海道発

札幌から約2時間のドライブで楽しめる積丹町・美国(びくに)。

夏場、旬を迎えるウニと青い海を目当てに多くの人が訪れるエリアですが、実は積丹町は、明治から昭和期にかけて北海道有数のニシン場として栄えた町でした。

美国港からほど近い場所に建つ「ヤマシメ番屋」は、当時の歴史を今に伝える「鰊伝習館」。福井重次郎氏が明治末期に建設した邸宅を利用したものです。

ヤマシメ番屋外観

番屋は、ニシン漁の衰退と共に、旅館や下宿と役割を変えながら利用されてきました。昭和40年代後半から利用はなかったものの、ニシン文化の伝承を目的に再利用が始まり、現在はカフェの営業も行っています。

ヤマシメ番屋内観

番屋とは、漁夫が宿泊していた小屋のこと。ヤマシメ福井邸は当主であった福井重次郎とその家族と共に、「やん衆」と呼ばれる雇い漁夫たちが住んでいました。

ヤマシメ番屋内観

館内は入場無料。展示物は、見るだけでなく、触って体験することができます。もちろん座って休憩するだけでも大丈夫。木造の床や畳の上を歩くと、旅の疲れも少し安らぎます。

ヤマシメ番屋がカフェとなったのは2016年。ニシン漁師=やん衆が実際に食べてきたものを、訪れる観光客にも味わってもらおうと考案された「やん衆セット」は、ぜひ食べたいメニュー。

ヤマシメ番屋やん衆セット
ヤマシメ番屋やん衆セットおにぎり

▲「やん衆セット」のサクラマスのおにぎり。当時の味を知るスタッフがキッチンに立ち、おにぎりを握ってくれます。

おにぎりは塩を使わずに、醤油につけた岩のりで包んでいます。塩味が薄いかと思いきや、そんなことはありません。口に入れた瞬間、広がるのは濃厚な磯の香り。おにぎりは二つセットになっており、具材は積丹の特産品であるウニとサクラマスです。やん衆が好んで食べた、たくあんを添えていただいて。

ヤマシメ番屋やん衆セット三平汁

▲「やん衆セット」の三平汁。野菜の具材と共に、ぬか漬けニシンの塩味がじんわり染み出した温かいスープ。ニシンと昆布でダシをとっており、ふわっと海の香りが漂います。

ニシンは3~4月が旬。やん衆セットの三平汁はこの時期にとれたニシンをまるごと1本ぬか漬けにした、「越冬ニシン」を使います。ぬか漬けにすることで生臭さや脂がとれ、すっきりとした味わいになります。野菜は、大根・人参・ねぎといった、家でとれたもの。昔の網元の家でも育てられていました。

「やん衆セット」は、ニシン漁師が食べていた夜ごはんを再現したもの。積丹といえば、夏のウニ丼が有名ですが、ヤマシメ番屋は一風変わった明治・大正のソウルフードを味わえるスポットです。ボリュームたっぷりのメニューセットは、合わせて980円(税込)。

ヤマシメ番屋スタッフ戸来さん

ヤマシメ番屋に昼間在中する、戸来和子(とらいかずこ)さん。積丹の「婦美村(ふみむら)」の網元の祖父をもち、小学校5年生までやん衆と共に暮らした経歴をもちます。ニシンで栄えた積丹の味を後世に残そうと、このセットを発案。

積丹のニシン漁についてお話を聞けるのも、ここの楽しみのひとつですよ。

ヤマシメ番屋武田さん

スタッフの武田友華(たけだゆか)さん。積丹の魅力に惹かれて札幌から移住してきた彼女は、積丹町の地域起こし協力隊を経て、2018年にヤマシメ番屋のスタッフに。

地域の特産物・文化をもとに、この地域を盛り上げたいのだといいます。ちょっぴりディープな積丹の観光情報を教えてくれるので、気軽に声をかけてみて。

ヤマシメ番屋コーヒー休憩

ランチスポットとしてもいいけれど、ちょっとした休憩に使うのもOK。黒松内町(くろまつないちょう)の豆乳と、番屋特製のアイスコーヒーを使った「〆の椀(しめのわん)/500円」、深煎りのハンドドリップコーヒー、水出しコーヒーを400円で味わえるなど、カフェ利用も可能ですよ。

ヤマシメ番屋コーヒー

▲深煎りのハンドドリップコーヒー400円

ヤマシメ番屋は黄金岬ニューしゃこたん号といった美国散策と共に、ぜひ立ち寄ってほしい場所。温かいご飯とコーヒーでひと息つきながら、積丹の歴史に触れることができますよ。

■鰊伝習館 ヤマシメ番屋
【住所】北海道積丹郡積丹町大字美国町字船澗39番
【営業時間】5月~10月 9時~16時
【定休日】火曜日
【交通アクセス】JR:函館本線小樽駅から中央バス約1時間10分で美国下車、徒歩約4分
車:札幌中心部から1 時間 50 分(札樽自動車道 小樽IC経由)
【駐車場】あり
【料金】見学無料

【問い合わせ(TEL)】0135-48-5715/ ヤマシメ番屋
※上記開館時期以外は、0135-44-2610 /積丹やん集小道協議会

【公式サイト】https://www.facebook.com/%E9%B0%8A%E4%BC%9D%E7%BF%92%E9%A4%A8%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%82%B7%E3%83%A1%E7%95%AA%E5%B1%8B-831504253671445/?rf=991206604328544

【投稿日】2018年07月18日(水)【投稿者】たびらい編集部

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