鹿児島発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
更新:2019年12月24日
奄美の魅力をより体感するなら、世界遺産クラスの大自然の中で、体験ツアーに参加するのが一番です。山、海や川、そして昼間だけではなく、夜も自然を満喫できておすすめです。
[たびらいセレクション]
記事・写真/桑村ヒロシ
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奄美のホテルでよく見られている推し宿特集
鹿児島から南へ380キロ、薩南諸島の南部にある奄美大島(あまみおおしま)は、透明度の高いエメラルドグリーンの海や白い砂浜、青い空やマングローブなどが南国ムードをかきたて、日本であって日本でないようなリゾート感漂う観光地。 関西空港や成田空港からは格安航空会社(LCC)が飛ぶようになり、より身近になりました。特に2018年は大河ドラマ「西郷どん」のロケ地としても注目されているほか、世界自然遺産の候補地エリアとなっており、今、大きな注目を集めています。 現在、日本の世界自然遺産は、屋久島、白神山地、知床、小笠原諸島の4カ所。それらに次いで「奄美・沖縄」がユネスコ世界自然遺産の登録を目指しています。 世界自然遺産候補地の「奄美・沖縄」とは具体的に、鹿児島県の奄美大島と奄美群島の徳之島(とくのしま)、沖縄県の沖縄本島北部(国頭村・大宜味村・東村)と八重山諸島の西表島(いりおもてじま)の4エリアのこと。あわせて約3万8000ヘクタールが対象。国内最大の亜熱帯照葉樹林が豊かな自然を育み、多様な固有種や絶滅危惧種が生息しています。奄美大島は、「東洋のガラパゴス」とも称されるほどの手つかずの自然や奄美大島ならではの貴重な動植物と触れ合うことができる観光客の満足度の高い島なのです。 奄美群島は、奄美大島、加計呂麻島(かけろまじま)、請島(うけじま)、与路島(よろじま)、喜界島(きかいじま)、徳之島、沖永良部島(おきのえらぶじま)、与論島(よろんじま)の8つの有人島と、その周辺の無人島で構成。鹿児島県に属していますが、かつては琉球王国に統治されていました。風習などに琉球文化の影響がみられるほか、自然環境も奄美と沖縄本島北部や西表島には亜熱帯照葉樹林やマングローブ林など、共通する部分が多々あります。 共通の部分もあれば、それぞれに固有のものもあります。例えば、それぞれの島には固有種が生息。沖縄本島北部にはヤンバルクイナ、西表島にはイリオモテヤマネコ、そして奄美群島の固有種や絶滅危惧種にはアマミノクロウサギが代表されるほか、アマミトゲネズミ、アマミイシカワガエル、ルリカケス、アカゲラ、アマミミヤマクワガタ、イボヤモリなど5716種の多種多様な生き物が、奄美群島の奄美大島や徳之島で確認されています。いずれも、太古に祖先を持つ希少な生物たちです。 古くは1000万年前まで遡ります。かつてユーラシア大陸とつながっていた陸地が、長い年月の中で地殻変動が起こり、浮き沈みを繰り返してきました。そのようにして島々が形成されていき、切り離されて島になって取り残こされたからこそ、それぞれの島の環境に合わせて独自に進化しながら生き残ってきたとも言えます。 生き物たちを観察したり、実際に亜熱帯照葉樹林の森を散策したりできる絶好の場所が、金作原(きんさくばる)。金作原とは具体的な地名ではなく、奄美市名瀬地区の山岳部にある原生林を示す方言で、そのエリアの総称として親しまれています。 世界自然遺産登録を前に、2017年3月7日には「奄美群島国立公園」に指定。国内で34カ所目の国立公園となり、金作原もその中に入っています。 金作原原生林ではカヌーの体験ができるのも魅力。カヌーに乗って、照葉樹とシダ植物などが群生するマングローブの森や希少価値の高いマングローブに生息する生き物を間近で見るなど、日本でも南国だけの特別な自然体験を楽しんでみてはいかがですか。 独自の自然や動植物を受け継ぐ奄美大島では、ほぐした鶏肉や椎茸、錦糸卵、薬味などを乗せたご飯に丸鶏の旨みが溶け出したスープをかけていただく鶏飯(けいはん)、すっきりとした後味が特徴の黒糖を原料とした黒糖焼酎、ゆでたそうめんに油をいれたタレをからめて作る油そうめんなど、島独自の食文化も息づいています。島内では、島唄と郷土料理を堪能できる店舗も少なくありません。夜には、島唄を聞きながら、美味しい郷土料理と奄美群島だけで生産される名物の黒糖焼酎に酔いしれるのも奄美大島だからこその至福の時間です。 豊かな自然に囲まれた島内では、ブルーエンジェルとも称されるエメラルドグリーンの海をたたえた土盛海岸、東シナ海に沈む夕日で有名な大浜海浜公園、シュノーケリングやダイビングポイントとしても人気の倉崎海岸、奄美十景のひとつにも選ばれている大島海峡の美景が一望できる瀬戸内町の油井岳展望台など、自然と触れ合える観光スポットが多いのが特徴です。龍郷町の東海岸にある「ハートロック」もそんなスポットのひとつ。「ハートロック」とは、ハート型の潮溜まりのことでで、干潮時のみ目にすることができる貴重なもの。女子旅でおすすめの縁結びのパワースポットとして密かに人気を集めています。 美しい海岸景観を至るところから目にする島内の中でも、奄美十景のひとつである景勝地「あやまる岬」からの眺めは格別。きれいなさんご礁の海や日の出を目当てに多くの人が訪れます。 白い砂や雄大な海、青い空などが、非日常感を素敵に演出してくれる海岸線のドライブコースで海の絶景を愛でながら、島内の観光スポットを巡れるのも奄美大島ならではの楽しみ。 島内でレンタカーを借りるなら、名瀬新港近くの名瀬入船町に名瀬店、奄美空港近くに空港前店と、島内に2店舗を持つ「奄美レンタカー」がおすすめです。名瀬店で借りた後、空港前店での乗り捨ても可能行きは風景を楽しみながらのゆったりとした船旅を、帰りは利便性を重視した空旅を、満喫する際にも便利ですよ。 旅行に行く際には、観光施設や料理店の定休日や駐車場などの詳細情報や観光情報を前もって確認しておくようにしましょう。
一般的な亜熱帯地域は乾燥地帯が多いのですが、奄美大島は、手つかずの深い森に亜熱帯雨林が発達。亜熱帯であるのに乾燥地ではない理由は、黒潮の影響があります。年間を通じて温暖で多湿であることにより、降水量がとても多いのです。年間降水量は3000ミリ。例えば全国平均の年間降水量は1700ミリほどのため、その倍に近い数値。国内でも有数の多雨地帯となっています。 山林に降り注いだたくさんの雨水が山の地形をつくり、川となって河口へと下り、海に向かって流れます。奄美群島国立公園に指定されている住用川(すみようがわ)河口部には、亜熱帯性広葉樹の生い茂る神屋原生林の山岳から流れてくる雨水が、山の養分を運びながら豊かな干潟を育み、マングローブ林が広がっています。 マングローブとは、亜熱帯特有の河口付近の海水と淡水が混じりあう領域の植物群生のこと。住用川河口のマングローブ原生林には、主にオヒルギやメヒルギなどが生い茂っています。 また住用川河口および干潟にはたくさんの生き物たちがいます。魚類では、リュウキュウアユ、ナンヨウボウズハゼ、オオウナギ、ユゴイなど。甲殻類では、ミナミコメツキガニ、オキナワハクセンシオマネキ、オキナワアナジャコ。貝類では、リュウキュウサクラガイ、イトカケヘナタリガイ、アマミカワニナなどです。 鳥類では、ルリカケス、オートンオオアカゲラ、アマミヤマシギ、リュウキュウコノハズクなどで、アカボシゴマダラ、タテハモドキ、イシガケチョウ、カラスアゲハなどの昆虫も。 ほ乳類は、ケナガネズミ、アマミノトゲネズミなどがおり、爬虫類には、キノボリトカゲ、アカマタ、両生類ではイボイモリ、オットンガエル、イシカワガエルなどが生息しています。 河川の代表的な生き物のひとつがリュウキュウアユ。祖先は1000万年前まで遡り、100万年前から独自に進化してきたと言われています。沖縄では1970年代に天然のリュウキュウアユは絶滅してしまいましたが、奄美では住用川を中心に天然のアユが生育。住用川河口に隣接する「黒潮の森マングローブパーク」では、施設内で人工ふ化させたリュウキュウアユを飼育しており、観察することができます。 同施設内の「川のトンネル」と呼ばれるスポットでは元気に泳いでいる姿を見られるほか、同施設入り口の「マングローブ館」に展示されているジオラマ水槽でも観察可能。 マングローブパークの展望台からは、住用川河口のマングローブ原生林全体を一望。奄美のマングローブは、国内では西表島に次いで2番目の大きさを誇り、眺めはとても壮観です。
世界自然遺産候補地の「奄美・沖縄」は、3000万年前に地殻変動によって海底が隆起したのが起源で、約1000万年前まではユーラシア大陸と接続。奄美群島の固有生物の先祖たちもこの頃に大陸から渡ってきたと言われています。 大陸がつながっていたとしたら、日本の本州のほうにも同じような生き物が数多くいてもおかしくなさそうですが、実際はどうなのでしょうか。世界の生物相は大きく分けて6つ。「旧北区」「東洋区」「新北区」「新熱帯区」「エチオピア区」「オーストラリア区」です。日本の本州がユーラシア大陸の「旧北区」であることに対して、奄美・琉球は「旧北区」と「東洋区」の境界線上にあります。まったく同じではありませんが、両方から混ざり合うこともあり、豊かな生物相を育みました。 その後、500万年~150万年前に地殻変動でユーラシア大陸から切り離され、生き物たちはそれぞれの島で進化。奄美を象徴する希少生物のアマミノクロウサギも原始の姿を保ちながら生き残ってきました。生きた化石ともいえ、その名のごとく全身が黒っぽく、体長は40~50センチほどで体重は1300~2700グラム。後ろ足は短く、耳が小さいのが特徴です。 アマミノクロウサギは、1921年に国の天然記念物に指定。1963年には特別天然記念物に。環境省レッドリストの絶滅危惧種でもあります。奄美大島に生息するアマミノクロウサギは2000頭~4800頭ほどで、徳之島には約200頭と推定(2003年時点)。 減少原因は、かつて人間がハブ対策で持ち込んだマングースが、ハブではなくアマミノクロウサギを食べるようになったり、野放しになっている野良猫の捕食だったりすることがそのひとつといわれています。また、車にひかれるケースも多発しており、絶滅が心配されています。 希少生物のアマミノクロウサギは夜行性。夜間は毒性のあるハブなどの野生生物も活発になるため、単独で探すのは危険です。ナイトツアーに参加してプロのガイドと一緒に観察するのがおすすめ。 奄美大島で早くからネイチャーツアーを実施してきたパイオニアの「観光ネットワーク奄美」。代表でベテランガイドの西條さんは「アマミノクロウサギに限らず、個性的な野生生物は夜行性が多いです。たとえば、イシカワガエルも繁殖期の夜に山へ行くと、『ヒューヒューヒューヒュー』と鳥のような美声で鳴いていたりします。また、昼間は鳴いている野鳥の姿を見ることは難しいのですが、夜は木の枝で眠っていたりするので、観察するなら夜が一番良いですよ」。 ただし、カエルがいるところにはハブもいるため、夜間は注意が必要です。
奄美大島 【住所】鹿児島県奄美大島 【問い合わせ(TEL)】0977-57-6233(奄美大島観光案内所)
飛行機で
・福岡空港から約1時間20分・鹿児島空港から約1時間10分・那覇空港から約1時間・伊丹空港から約1時間30分・羽田空港・成田空港から約2時間25分
フェリーで
・鹿児島新港から約11時間・鹿児島新港から喜界島経由で14時間
金作原ツアーに参加するのにベストな時期はありますか?
そのシーズンにしか見られない花や植物や動物がいます。たとえば、植物のルリミノキは冬場で1月末までが見ごろ。野鳥のルリカケスは繁殖期が3月頃で、美しい鳴き声を響かせます。ベストシーズンは、冬場よりは3~6月頃。野鳥は、午後よりは午前のほうが活発です。
カヤックを体験するなら、干潮時と満潮時ではどちらがおすすめですか?
干潮時には、干潟のさまざまな生き物、たとえばシオマネキのような小さなカニなどを観察できます。また、満潮時は、マングローブ原生林の奥のほうまでカヤックが進め、オヒルギやメヒルギなどのマングローブならではの植物が見れます。干満の時間帯は日によって違うので、事前に調べたり、予約時に確認してください。
ナイトツアーは、いつ頃がベストなシーズンですか?
動物たちは夏場に活発になります。ツアーに参加するなら5月から10月くらいまでがベスト。野生動物は満月のころを警戒するので、新月あたりの暗いほうが観察の条件が良くなります。
服装などの注意点はありますか?
ジャングルなど自然の中を散策するツアーは、夏場でも長袖や長ズボンがおすすめ。足元はサンダルではなくスニーカーや運動靴にしましょう。マングローブカヤックツアーは、水しぶきがかかる場合もあるので、ぬれてもよい服装とタオルや着替えは必須。カヤックのライフベストやレインコート、サンダルは無料貸し出しがあります。
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