玄海灘の旬の魚を唐津焼「隆太窯」の器で味わえる老舗旅館の会席料理

大河内はるみさんが女将を務める「洋々閣(ようようかく)」は、石炭景気に沸く明治26年(1893)に創業した老舗旅館。虹の松原の西端からほど近い一角にある。板石を敷き詰めた玄関や、松の生い茂る庭が、歴史を感じさせる名宿だ。
この宿の料理を目当てに唐津を訪れる人も多い。宿泊客以外でも食事を味わうことができ、玄界灘の獲れたての地魚を中心に組み立てられたコースでゆっくりと楽しめる。料理は全て、現代の唐津焼を牽引する窯元「隆太窯(りゅうたがま)」の器に盛られる。
洋々閣謹製の酒「十徳」は、新潟の蔵元でつくられた辛口の吟醸酒。命名の由縁となった“十徳”の最後の一つ“徳”が縁を結ぶ酒。この宿を愛したジャック・マイヨールとの縁を結ぶ一献に舌鼓をうつ ―― そんな夕餉(ゆうげ)は至福の時となる。
食事の後は、館内に常設されている「隆太窯ギャラリー」を、ぜひのぞいてほしい。脇玄関に続く落ち着いた空間では、中里隆(なかざとたかし)さんとその息子・太亀(たき)さん、娘の花子さんの3作家の作品が紹介されており、購入もできる。お気に入りの唐津焼を見つけよう。