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【前編】職人技の集大成!本間寄木美術館で「箱根寄木細工」に触れよう

箱根町|【更新日】2023年6月16日

【前編】職人技の集大成!本間寄木美術館で「箱根寄木細工」に触れよう

これまでに一度は幾何学模様が印象的な「寄木細工」を目にしたことがあるのではないでしょうか?

箱根湯本の「本間寄木細工美術館」は、江戸時代から昭和初期にかけて製作された約200点もの寄木作品が見学できる貴重な美術館です。

前編では、寄木細工美術館と寄木細工ショップの魅力についてご紹介します。

目次

箱根の自然を背景に発展した伝統工芸品「箱根寄木細工」

箱根の自然に支えられた寄木細工

本間寄木

寄木細工とは、色や形の違う木材を寄せ合わせて模様を作り出す木工技術です。

箱根寄木細工の始まりは江戸時代と言われています。箱根山系は日本屈指の樹種が豊富な地域で、さまざまな彩りの木材に恵まれ寄木細工が発展しました。

近代になると東海道の土産物として作られることが多かったようです。1984年に国から伝統的工芸品に指定されてからは、土産物に留まらず、人々を魅了する美術品としても広く認知されるようになりました。

寄木細工の美しさを見て欲しいとの想いから美術館を設立

本間寄木美術館 (8)

寄木細工作品は、お盆やコースターなどさまざまです。中でも、開ける際にからくりが仕掛けてある「秘密箱」が有名ですね。

本間寄木細工美術館は、館長(伝統工芸士)の本間昇さんが「歴史ある寄木細工の匠の技術の素晴らしさや、美しさをみなさんに見ていただきたい」という思いで、1994年に設立されました。

ここでは、お馴染みの寄木細工作品から一般的にはなかなか見られない寄木で作られた家具まで、見ることができますよ。

ショップには小物から芸術品までずらり

カラフルでお洒落な「ぐいのみ」はお土産におすすめ

本間寄木美術館 (4)

1階にある寄木ショップでは、本間木工所の工房で作られた寄木細工作品を多数販売しています。日用品として使える雑貨など数々の作品がずらりと並んでいます。

お土産で特におすすめなのは、カラフルな色合いと柔らかな曲線美が印象的なぐいのみです。細かい部材を寄せてかたまりを作り、それをぐいのみの形にくり抜いて作るそうです。

この素敵なぐいのみで飲むお酒はいっそう美味しく感じられそうですね。

沢山のからくりが仕掛けられた秘密箱

寄木美術館1

寄木細工といえば、秘密箱を思い浮かべる方も多いと思います。仕掛けの回数は、少ないものだと7回から、なんと59回のものまであります!

引き出しを開けるとチリリンと音の出る仕掛けが施されている秘密箱もありますよ。

寄木を組むだけでも緻密な作業ですが、寸分の狂いもなく、指定された回数で箱が開く秘密箱には、見事な匠の技が詰まっています。

展示室には約200点もの珍しい作品

平面の作品だけではない。寄木細工で作られた人形たち

本間寄木美術館 (1)

施設の2階が全て展示室になっています。階段を上がり、まず目を引いたのはこちらの無垢寄木で作られた「五月武者人形」。

寄木細工といえば、平面の作品が多い印象がありますが、このような立体的な作品も作ることができるのです。作り方としては、まず寄木で長方形の立体を作り、それを緻密に彫刻で人形に形づくります。

寄木造りの人形は、季節ごとに入れ替えられます。3月は雛人形、秋は箱根大名行列の人形が展示されるようです。

「ろくろ挽き」で作られた丸さが特徴の人形作品

本間寄木美術館 (7)

館長の本間昇さんが作った寄木を江戸独楽(えどごま)師の小宮耕生さんが人形の形に整えた作品です。

江戸独楽は、ろくろに取り付けられて回転する木材に、カンナなどの道具で刃先を当てながら少しずつ削って作られます。

この技術を応用して作られた人形たち。丸みを帯びていて可愛らしいですね。

寄木細工作品は乾燥に弱いので、展示品と共に湿度計を置いて湿度管理も行っていますよ。

ヨーロッパから日本へ戻ってきた寄木細工の飾り棚

本間寄木美術館 (6)

明治時代に英国の駐日大使が離任する際に、日本政府が贈ったものだとされている非常に貴重な飾り棚も展示されています。

デザインに少し西洋風なあしらいを感じますが、日本らしいつくりになっています。

一つ一つの小さな木材を組み合わせて、ここまで大きな家具を作ることができるなんて、高度な職人さんの技術には感銘を受けました。

上を見上げると…寄木細工が敷き詰められた迫力ある天井

展示品ではないものの、特筆すべきは寄木文様の天井です。
本間寄木美術館 (5)

通常の寄木細工作品は、緻密で小さな木材を寄せ集めて作られたイメージが強いと思いますが、こちらは一つ一つのパーツが大きく迫力満点で見応えがあります。

是非、この素敵な天井も見上げてみてくださいね。

箱根寄木細工で日本の伝統工芸に想いを馳せる

箱根のお土産屋さんにも、寄木細工で作られた商品が並んでいますが、コースターなどの小物が多い印象です。

本間寄木美術館のショップでは、小物だけでなく、ティッシュケースなどの実用性の高い作品まで購入できるのでおすすめです。

美術館では、江戸時代から昭和初期にかけての珍しい寄木作品が多数展示されており、見ごたえがありますよ。箱根湯本に訪れた際は、是非立ち寄ってみてくださいね。

▼後編はこちら
【後編】職人技の集大成!本間寄木美術館で「箱根寄木細工」に触れよう

本間寄木美術館へのアクセス

  • 【住所】

    神奈川県足柄下郡箱根町湯本84

    【料金】入館料 大人(中学生以上)500円/人、小人(小学生)300円/人

    【開館時間】午前10時00分~午後16時00分

    【駐車場】なし

    【公式サイト】https://www.yoseki-museum.com/

    ※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください

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ライタープロフィール

横上菜月

横上菜月

横浜市出身。会社員をしながら、旅と取材をライフワークとして活動中の理系出身ライター。出張で日本各地を飛び回っている。ローカルスポットならではの風情を感じる旅が好み。取材を通して出会った人々の想いを引き出し形にすることを大切にしている。