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オホーツク海で、氷の妖精「クリオネ」の新種が約100年ぶりに発見!
【投稿日】2016年09月26日(月)| 北海道発

「流氷の天使」や「氷の妖精」と呼ばれるクリオネの新種がオホーツク海で確認された。約100年ぶりの新種の発見を発表したのは、後志管内蘭越町立の貝類博物館「貝の館」の山崎友資学芸員と、北海道立オホーツク流氷科学センターの桑原尚司学芸員だ。
山崎さんらはオホーツク海沿岸で採集したクリオネを1年間飼育して遺伝子解析などを行い、新種であることを突き止めた。貝類の研究雑誌の中で有名な、ロンドン貝類学会の学術誌に研究論文を投稿。今年(2016)8月に論文が受理された。
新種のクリオネは採集場所にちなんで学名「クリオネ オホーテンシス」と名付けられ、和名はダルマのような形態をしていることから「ダルマハダカカメガイ」に決まった。体長約8ミリで、餌から出る水溶性の化学物質に反応して体を伸ばして粘液を出す捕食時の行動が特徴的だ。
また、山崎さんらは今まで同一とみられていた北太平洋と北大西洋のクリオネの遺伝子を比較。別種であることが判明し、北太平洋のクリオネの学名は「クリオネ エレガンティッシーマ」に変更された。
このような大発見をした山崎さんだが、手放しでは喜べないと言う。山崎さんによると「実は、もう少しでクリオネ類が絶滅すると言われています」とのこと。「私たち人間の活動で排出される二酸化炭素が海洋に吸収されることにより、クリオネの唯一の餌であるミジンウキマイマイの貝殻が溶けていることが報告されています。近い将来ミジンウキマイマイは絶滅し、そうなるとクリオネも絶滅します」。
山崎さんは「クリオネと海洋酸性化についての企画展示を道内の数カ所で開催します。その際に、地球の約7割を占める海洋のことや、海洋で一番多い生物である貝類を通じて、地球の未来について、今、私たちができることについて考えてほしいと思っています」と語る。
「クリオネと海洋酸性化」の企画展示は、今年の10月半ばから、蘭越町「貝の館」、紋別市の「北海道立流氷科学センター」、網走市「オホーツク流氷館」で開催される予定。そこで新種のクリオネや従来から知られていたクリオネを見ることができる。