古い建物好きなら必見!札幌市の指定有形文化財「清華亭」の見どころ
札幌市|【更新日】2024年12月6日

「時計台」や「赤れんが庁舎」、「豊平館」…。歴史的な古い建築物が好きな人は、これらの建物は札幌観光で当然チェックしていると思います。
実はそのほかにもとても貴重な、でも不思議とあまり知られていない建築物があるんです。上記の重要文化財と合わせてぜひ訪れてほしい、「清華亭」の魅力をお伝えします。
目次
見なきゃ損!札幌の歴史に残る貴重な有形文化財
札幌駅から徒歩10分、広大な庭園の一部が残る場所
木々に囲まれて立つ「清華亭」、門から自由に中へ
札幌の中心街から少し離れているものの、JR札幌駅から歩いて10分程度の場所に「清華亭」はあります。
駅に近いけど通りがかるような場所ではない、名前は聞いたことがあるけどよく知らない、近場にあっていつでも行けるからわざわざ行ってみようと思わない……。
きっとどこの町にでもあるだろうそんなスポットで、札幌市民でも訪れたことがない人もいるかもしれません。
当時の「偕楽園」一帯を再現したジオラマ
1871年(明治4年)、現在「清華亭」のある一帯は、湧き水を源流とした川が流れる自然豊かな地域でした。
この場所に作られたのが、札幌における公園第1号であり、産業試験場と公園の性格を併せもつ「偕楽園」です。
開拓使顧問のルイス・ベーマーによって和洋折衷の庭園として設計・整備され、産業振興のために製物場や育種場、鮭卵孵化場、博物場などが作られました。
当時8万坪の広さがあった「偕楽園」は、札幌の発展に伴い縮小し、現在では「偕楽園緑地」としてその一部が残されています。
明治初期の洋風建築物、他の建物と比較するのも楽しい
部屋の構造が和と洋に分かれているのが見てとれます
「偕楽園」に「清華亭」が作られたのは、1880年(明治13年)のこと。
開拓使の貴賓接待所として建築され、明治初期における和洋両様式を巧みに取り入れた、日本では数少ない開拓使建築の貴重な遺構として、札幌市指定有形文化財となっています。
1881年(明治14年)の明治天皇行幸の際にはご休憩に使われた由緒ある建物です。
ちなみに、このときに明治天皇がお泊りになったのが、当時は街の中心部に建っていた「豊平館」。
1958年(昭和33年)に中島公園に移築されましたが、現存する木造ホテルとしては日本最古、国の重要文化財に指定されているので、ぜひ合わせて観に行ってくださいね。
入口の上には開拓使の星マーク!外観を堪能したら中へ
赤い星であることが多いけど、ここでは切り抜きの星
開拓使によって作られた建造物の多くには、北極星を示す星のマークが付いています。
「清華亭」の星マークは玄関入り口など、3カ所にありました!
ドアノブまでがレトロ、ちなみにドアは内開きです
外観を眺めたら中へどうぞ。
扉が閉めきられているためか、遠慮して帰ってしまう人が多いのですが、内部も自由に観覧可能です!
広々とした玄関、靴は脱いであがってください
玄関のたたきや土台の石には、札幌市南区の石山から採掘された札幌軟石が使われています。
そのほかの建築材料も道産木材が多く使われているようで、長年建物を維持できてきたのは良質な道産材トドマツが使われ、造りも丁寧であったことが大きいと考えられています。
また、閑静な公園の中にあるため、火事の被害を受けなかったことも幸運でした!
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和洋を組み合わせた珍しいつくり
重厚な扉を挟んで和と洋が同居、写真は自由に撮影OK
玄関から短い廊下を進むと、和室と洋室があります
建物内は重厚な扉を挟んで和室と洋室がくっきり分かれています。
某ひみつ道具の「どこでもドア」を開けたような不思議な光景です。写真撮影はOKなので、自由に撮ってください。
※撮影物の商業利用や、結婚式の前撮りなど一定時間占有する撮影の場合は許可が必要です。
出窓やシャンデリア、天井飾りが目を引く洋室
明治モダンな雰囲気が素敵です
手前にある洋室は16畳間。ベイ・ウィンドウという張り出し窓がおしゃれで、時計台や豊平館にもない特徴です。
天井がとても高く、中央にはエレガントなデザインのシャンデリアがついています。
当時は電気が通っていないので、ライトカバーの中にはろうそくが立てられていたそうですよ。
開拓使の貴賓接待所として、この部屋なら欧米外国人の賓客も充分におもてなしできそうですね。
目を凝らすと桔梗の模様が見てとれます
シャンデリアの吊り元にはメダリオンという円形の飾りが付いていて、桔梗の模様が彫り込まれています。
このメダリオンは中島公園に残る「豊平館」でもたくさん見られます。
短時間で固まってしまう漆喰を直接盛り付けていく、高度な技術を要する作業なので、もしかしたら同一もしくは同グループの職人が手掛けたのかもしれません。
洋室の壁に架けられた扁額に「清華亭」の文字
この建物に“清華亭”の名を与えたのは、明治天皇の札幌行幸の際に接待役を務めた開拓長官・黒田清隆です。
清流と花木あふれる地から「水木清華亭」と命名し、扁額に揮毫したそう。でも残念ながら写真の扁額は、黒田清隆の手によるものではありません。
揮毫の数年後、好事家に奪い取られたため、1897年に明治期の官僚・書家の金井之恭が書いたものといわれています。
奪われた扁額の行方が気になりますね。
明治天皇が窓から庭の景色を楽しまれた和室
この部屋だけ純和風、壁は京壁ともいわれる砂壁です
奥にある和室は15畳の広さで、日本の伝統的な書院風造りとなっています。当時は、くの字の縁側から広い庭園が見渡せました。
洋風の芝生と日本古来の築山がある和洋折衷の庭の景観は、明治天皇も大変お気に召されたそうですよ。
この地の主であるハルニレの木に風格を感じる
和室の東側の窓からは、創建当時から建物を見守ってきたハルニレの木が見えます。
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「偕楽園」の一部は緑地に、当時の面影を探してみて
札幌駅近くというのが嘘のように静かな都会のオアシス
「清華亭」の門から通りを挟んで反対側には、「偕楽園」の一部が緑地となって残っています。
川や池などはもうありませんが、当時の面影が残ってないか探してみてください。
灯台もと暗し、札幌駅近くの隠れた観光スポット
札幌の隠れた名所の一つ「清華亭」をご紹介しました。
駅から近く、そう広くはない施設なので観覧にそれほど時間はかかりません。
ぜひ気軽に訪れてください。
「清華亭」へのアクセス
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【住所】北海道札幌市北区北7条西7丁目
【アクセス】JR札幌駅北口地下歩道8番出口より徒歩約9分
【問い合わせ(電話番号)】011-746-1088(警備員詰所)
【営業時間】9:00〜17:00
【定休日】年末年始
【料金】観覧無料
【駐車場】なし
※掲載時の情報です。