北海道のオホーツク海沿岸は日本で唯一、流氷を観測することができるエリア。北半球全体では「流氷の南限」です。オホーツク沿岸を埋めつくす流氷は、条件が揃えば数十キロもの氷の塊となり、それらが割れ、そしてくっつきを繰り返しながら、冬の海を“氷の大地”へと変貌させます。流氷はサハリン北東部の海からの流氷と、この地で生まれた流氷が混じり合い、オホーツク海の「流氷」になっていることが現在の定説。つまり、舶来の氷と国産の氷のハイブリッドです。
現在では、紋別の貴重な観光資源である“冬の使者”流氷も、かつては厄介者とされていた時期が。特に漁業者にとっては漁ができない、浜が荒れてしまうといった理由がありましたが、やがて流氷の恩恵も明らかになってきています。コンブの着床がよくなる、また、流氷と共にプランクトンが流れてきて魚の餌になっていることなどが分かり、恵みの海に不可欠な存在として考えられるようになってきています。
この流氷を、より身近に見ることができるのが世界初の流氷砕氷船「ガリンコ号Ⅱ」。特別な観光船に乗り約1時間のトリップに出ることで、氷海を思う存分に楽しむことができるのです。
ガリンコ号Ⅱに乗って海に出ると、時には、流氷と一緒に冬のオホーツク海にやってくる野生動物に遭遇することも。運がよければ、オジロワシやオオワシといった大型猛禽類やワモンアザラシやゴマフアザラシを、船上から観察できる可能性もあります。もし、野生動物に出合った時には、船長が「今、右手前方でアザラシが昼寝をしています」といったサービスアナウンスをしてくれることもあるそう。