札幌駅からほど近い、北3条の突き当たりに位置する「北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)」は、明治21年(1888)から約80年間にわたって北海道政を担った場所。すぐ裏手に新庁舎ができた昭和43年(1968)、北海道100年を記念して創建時の姿に復元され、その翌年には国の重要文化財の指定を受けました。
現在も一部は道庁の会議などに使われていますが、年末年始を除く毎日午前8時45分から午後6時まで開館し、見学は無料。れんがを生かした美しい外壁をはじめ、道産材が活用された内観や機能美を自由に鑑賞でき、北海道の歴史をたどるコーナーもあります。絵画作品や売店など楽しみ所はいろいろ。余裕があれば、自然豊かな庭園をのんびり散策するのもおすすめ。2階の観光情報コーナーでは10時~17時までガイドが無料で説明をしてくれるので、札幌観光の拠点としても活用可能です。
「赤れんが庁舎」を訪れるなら、建設時の時代背景を知っておくと、その魅力がよく分かります。明治15年(1882)、北海道開拓使が廃止され、三県一局時代を経て、明治19年(1886)に北海道庁が設置されました。明治21年(1888)に完成した「赤れんが庁舎」は、その新しい北海道の中枢となった場所です。
建物の間口は約61メートル、奥行36メートル、塔頂部までの高さは33メートルで、現在の10階建てのビルに相当します。周囲にビルなどない時代、国内有数の大建築物でした。広大な土地にこんなに大きな建物が誕生した当時を思えば、人々の驚きと興奮が想像できます。
大きさだけでなく、マンサード屋根やベイ・ウインドウなど、アメリカ風ネオ・バロック様式の建築デザインにも時代の意気込みが感じられます。中でも注目はやはり「れんが」。装飾をよく見ると、積み方にも工夫があるのが分かります。四季の自然に映えるれんがの素朴な色合いと、洗練された造りを堪能してください。