現代北海道

北海道の歴史

昭和20年(1945)8月15日、太平洋戦争の敗戦の結果、樺太(現サハリン)と千島列島の領土を失う。昭和27年(1952)から北海道総合開発計画が開始され、地下資源や工業開発、道路や港の整備が行われ、現在7期目に入っている。高度成長期の昭和30年代には、基幹産業の一つだった炭鉱の閉山が相次ぎ、石炭に支えられてきた町の過疎が進んでいった。観光面では、昭和31年(1956)に国鉄が均一周遊券を発売。北海道は昭和35年(1960)、空前の観光ブームをむかえ、カニ族が登場。大きなリックを背負った後ろ姿がカニに似ていることからそう呼ばれた。また、昭和46年(1971)には加藤登紀子が歌った「知床旅情」の大ヒットで、知床に観光客が殺到した。北海道は今も人気の観光地を維持し、平成25年(2013)の都道府県別魅力ランキングで1位を獲得した。


札幌市営地下鉄開通

観光にも便利な札幌市営地下鉄

昭和47年(1972)に札幌オリンピックの開催が決定した。それに伴い、市街地とオリンピック会場を結ぶため昭和46年(1971)に日本で4番目となる札幌市営地下鉄南北線が開業した。当初は北24条駅から札幌駅、大通り駅、すすきの駅を通って真駒内(まこまない)駅までの14駅だった。乗り心地と騒音を減少するためゴムタイヤを使用し、走行路面中央にある1本のレールを案内軌条として運転。さらに地上部は雪対策のためトンネル状のシェルターの中を走行するのが、札幌の地下鉄の特徴である。昭和53年(1978)には、北24条駅から麻生(あさぶ)駅まで2駅が延長された。現在、地下鉄は東西線と東豊線を含め3路線を運行している。

札幌オリンピック開催

ノーマルヒルジャンプで日本選手が活躍した舞台の宮の森ジャンプ競技場

35の国と地域から1128人の選手と527人の役員が参加して、昭和47年(1972)2月3日から13日までの11日間、第11回オリンピック冬季競技大会が札幌で開催され、6競技35種目が行われた。スキージャンプ70メートル級(現ノーマルヒル)では笠谷幸生が金、金野昭次が銀、青地清二が銅と、冬季オリンピックでは初となる快挙を達成。のちに日の丸飛行隊と呼ばれた。外国人選手では、銀幕の妖精といわれたフィギュアスケートのジャネット・リン(当時18歳。アメリカ)が、決勝で尻もちをつきながらも笑顔で演技を続け、銅メダルを獲得。彼女のスマイルが日本人を魅了し、カルピスのCMに出演した。札幌オリンピックのテーマ曲は、フォークデュオのトワ・エ・モアが歌った「虹と雪のバーラード」。スキージャンプ90メートル級(現ラージヒル)が行われた大倉山には、詩碑が設置されている。この大会で獲得したメダルは、上記3人の3個だけだった。

札幌が政令指定都市に移行

日本有数の大都市になった札幌市の中心部、札幌大通公園

札幌市は昭和45年(1970)に人口が100万人を突破。その2年後、昭和47年4月1日に中央区、北区、東区、白石区、豊平区、南区、西区、厚別区、手稲区、清田区の10区をもって国内で7番目の政令指定都市に移行した。政令指定都市では静岡県の浜松市、静岡市に次ぐ広大な面積を誇り、人口は全国の市の中で横浜、大坂、名古屋に続いて4番目に多い。平成26年(2014)3月1日現在の人口は193万7707人。現在、全国の政令指定都市は20市ある。

青函トンネル開通

昭和29年(1954)9月26日、台風15号により青函連絡船の洞爺丸が沈没。死者・行方不明者を合わせ1155人におよぶ日本海難史上最大の惨事が起こった。この事故により青函トンネル構想が具体化し、昭和39年(1964)北海道吉岡から、2年後には本州の竜飛から掘削が開始された。津軽海峡の海底下約100メートルの地中を穿って昭和60年(1985)3月に貫通した青函トンネルの全長は53.85キロ。当時は世界最長を誇っていた。青森と函館を結ぶ津軽海峡線として運行を開始したのは、掘削から約24年の歳月を費やした昭和63年(1988)3月13日。青函トンネル内には、維持管理を目的とした竜飛海底駅と吉岡海底駅が設置され、見学も可能だったが、北海道新幹線の工事に伴い平成26年(2014)3月14日で両駅は廃止され、緊急時の避難所となった。

世界遺産登録

知床半島の中央に背骨のように貫く、1500m級の知床連山

海から陸へとつながる生態系がわかりやすく見られること、希少な動植物の生息地となっていること、そしてこれらを保全していくための管理体制が整っていることが評価され、平成17年(2005)に知床が世界自然遺産に登録された。遺産地域は、原始的な自然を保全することに主眼を置いた核心地域と、核心地域を取り囲むよう設置され、人の利用も視野に入れつつ保全を図る緩衝地域に分けて管理されている。面積は陸地4万8700ヘクタール、海域2万2300ヘクタールで、合計7万1000ヘクタール。オシンコシンの滝、知床五湖、カムイカッカの滝、知床峠などの観光名所が点在。羅臼は俳優の故・森繁久弥作詞作曲の「知床旅情」発祥の地。しおかぜ公園には、知床旅情記念碑と森繁久弥の銅像が立っている。

北海道洞爺湖サミット

サミット会場になったザ・ウィンザーホテル洞爺は北海道でも最高級のホテル

平成20年(2008)7月に北海道洞爺湖で第34回主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)が開催された。会場は、洞爺湖と内浦湾を見下ろす高台に立つザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパ。開催時の総理大臣は福田康夫。出席首脳は、日本を含め9か国で、アフリカ諸国や主要経済国などからも参加があり、合計22か国、7機関が集まり過去最大規模のサミットとなり、「世界の食料安全保障」、「テロ対策」、「ジンバブエ」に関する独立の首脳文書が発出された。北海道洞爺湖サミットの開催に際し、テロなどの発生に備え他道府県からの応援も含め総勢2万1000人(うち道警5000人)の警察官が警備にあたったといわれている。アメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領にとっては最後のサミットとなった。

北海道新幹線

北海道新幹線の「JR北海道 H5系」(画像提供/JR北海道)

北海道新幹線は、東北新幹線の新青森駅から函館、小樽を経て札幌に至る延長約360キロの路線。平成27年(2015)度末には、新青森駅から新函館(仮称)駅間の149キロが開業する。新函館駅から札幌駅の区間は、すでに平成24年(2012)に着工されており、平成47年(2035)度までの開通を目指している。新函館駅までの所要時間は新青森駅から1時間1分、盛岡駅から1時間53分、仙台駅から2時間37分、東京駅から4時間9分を見込む。現在、東京駅から札幌駅へは8時間59分かかっているが、札幌駅まで延長されると5時間1分で結ばれる。北海道新幹線は、最終的に旭川駅まで延びる予定。

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