JR新居町駅からぐるり!世界的造園家「中根金作」の足跡を辿る湖西市街歩き
湖西市|【更新日】2025年4月19日

静岡県湖西市の新居町は、「昭和の小堀遠州」と称された世界的造園家・中根金作氏の作品が数多く残る場所です。
JR新居町駅を起点に、噴水のある駅前公園から、石組みの美しい日本庭園、白砂青松の新居関所まで、全16カ所の中根氏の作品をめぐることができます。
今回は、7カ所の作品をめぐる約4kmの周遊コースを紹介します。
目次
昭和の小堀遠州と称された世界的造園家・中根金作
街に調和する中根金作氏の作品たち
静岡県出身の造園家・故中根金作氏は、“昭和の小堀遠州”と称された世界的な日本庭園の名匠です。
島根県の足立美術館庭園(世界一と称される庭園)をはじめ、京都府の二条城清流園や妙心寺退蔵院、大阪府の大仙公園、さらにはアメリカのボストン美術館日本庭園など、国内外で数々の名園を手がけました。
そんな中根金作氏の貴重な作品が、湖西市新居町地区には数多く残されています。
約4kmの周遊コースでめぐる16カ所の中根デザイン
ロータリーや地下歩道など利用しやすく整備された駅
新居町駅を起点に、約4kmのコースで全16カ所の中根金作氏の作品を見てまわることができます。
コース全体の詳細は湖西・新居観光協会サイトで確認できますが、今回はその中でも特に見どころとなるスポットをご紹介します。
新居の伝統が息づく玄関口「新居町駅前公園」
伝統行事をモチーフにした手筒花火の噴水
江戸時代中期から受け継がれる伝統行事「手筒花火」
新居町駅から横断歩道を渡ってすぐ、目の前に広がるのが「新居町駅前公園」。公園の中心には、新居の伝統行事である「手筒花火」をモチーフにした噴水があり、町のシンボル的存在です。
新居町の玄関口である公園内には、カシの列植や藤、しだれ桜などの多彩な植栽も見られ、四季折々の自然が楽しめるのも魅力。
また、諏訪神社奉納煙火期間には実際に噴水が稼働し、華やかな景観を演出します。
新居町駅前公園へのアクセス
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【住所】静岡県湖西市新居町新居3437-6
【公式サイト】https://hamanako-kosai.jp/location/5728/(湖西・新居観光協会)
歴史と現代が融合する「関門橋周辺緑道」
大名行列のレリーフが印象的な橋の景観
続いてJR新居町駅から南へ歩いていくと、「関門橋」が見えてきます。この橋は欄干に大名行列のレリーフが施され、毛槍をイメージした照明が並んでいるのが特徴です。
周辺の緑道からは橋の景観を一望でき、歴史の息吹を感じながら散策を楽しめます。
関門橋周辺緑道へのアクセス
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【住所】静岡県湖西市新居町新居
【料金】なし
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中根金作氏が最初に手がけた公園「新居文化公園」
風情ある景観が魅力的な池泉式庭園
鴨や鯉が悠々と泳ぐ広い池です
新居文化公園は、中根金作氏が最初に手がけた公園です。その一部として新居図書館に隣接する「日本庭園」があります。
図書館の和室(茶席)からの眺めを考慮したという池泉式の庭園で、中根氏の真骨頂である石組みが特徴的。池には鴨や鯉が泳ぎ、豊かな緑が四季折々の風情を醸し出します。
新居文化公園内には広い芝生空間や貝殻の形をしたステージがあり、入口には日本の彫刻家である壺井勘也氏作の千鳥をイメージしたモニュメントも設置されています。
新居文化公園へのアクセス
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【住所】静岡県湖西市新居町新居250ー5
【駐車場】あり(62台)
季節の移ろいを感じる「浜名川親水公園」
太陽の動きを映す日時計と虹の橋アーチ
方位石や泉など、綿密に計算し配置されています!
浜名川沿いに整備された「親水公園」には、春夏秋冬の太陽の動きを感じることができる「太陽の石日時計」と、虹ができる噴水アーチの「虹の橋アーチ」があります。※現在噴水は停止中
古の歌にも詠まれた平安、鎌倉時代の名勝「浜名川」「浜名橋」をイメージして作られた公園だそうです。
「太陽の石日時計」と「虹の橋アーチ」は、1年間を通じて最も太陽を身近に感じられる、春分、夏至、秋分、冬至を体で感じてもらうことを狙って、視覚的に分かりやすい仕掛けが施されています。
例えば、12月21日前後、冬至の正午であれば、太陽光が「虹の橋アーチ」の鳥の口ばしの先に空いた穴(写真左上)から「冬至石(写真右上)」へと投光される仕組みです。
ぜひ冬至の日は正午を狙って訪れてみてはいかがでしょうか。
また、周辺には東福寺から移植された樹齢110年の藤も植えられており、シーズンになると見事な花を咲かせます。
浜名川親水公園へのアクセス
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【住所】静岡県湖西市新居町浜名643
【駐車場】あり
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四方から楽しめる枯山水「老人福祉センター庭園」
新居町の橋文化と長寿を象徴する石組み
ボランティアの方々の手入れにより美しく保たれています
老人福祉センター内にある約250平方メートルの庭園は、建物内の四方向どこからでも眺めることができる枯山水庭園。
橋が多い新居町を象徴する石橋や、長寿を表す鶴と亀を見立てた石組みが特徴的で、中根金作氏が直接指揮を取り石組みを配置したそうです。
紅葉の木が植えられているので、夏は新緑、秋には美しく赤い彩りを添えます。見学の際は、窓口で声をかけ、利用者に配慮して見学してくださいね。
湖西市老人福祉センター庭園へのアクセス
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【住所】静岡県湖西市新居町浜名643-1
【営業時間】9:00~16:30
【駐車場】あり
【休館日】土曜日、日曜日、祝日、12月28日~1月4日
街角の小さなオアシス「中田町みかどや跡」
蝶の形の色ガラスが輝く三角錐の時計台
キラッと光る美しいガラスがこの1面に埋め込まれています
変則五叉路に位置する「みかどや跡」に建てられているのは、三角錐の形をした時計台。時計の下部には蝶の形をした穴が開けられ、そこにはカラフルなガラスが埋め込まれています。
背後には腰掛けられるスペースもあるので、散策の途中で一休みするのにぴったりのスポットです。
中田町みかどや跡へのアクセス
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【住所】静岡県湖西市新居町新居1019
歴史的景観を守る「新居関所」の庭園設計
白砂青松と書院庭園が調和する史跡公園
大きく立派なマツの木が印象的
※2025年8月現在、書院庭園や白砂青松の庭は、新居関所発掘調査の関係で失われています。
(情報提供元:湖西市新居・中根庭園を研究する会)
コースの最後に訪れる「新居関所」は、関所景観にふさわしい史跡公園として中根金作氏の指示により既存植栽が整備されています。
面番所南側はクロマツを配した白砂青松の庭、北側は書院庭園として復元されており、歴史と自然が見事に調和しています。外観だけでなく、ぜひ中に入って当時の雰囲気も体感してみてください。
向かいには、湖西産の野菜や果実を活かしたカジュアルフレンチが食べられる「カフェロンポワン」もあるので、ランチとセットで訪れるのもおすすめです。
新居関所へのアクセス
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【住所】静岡県湖西市新居町新居1227ー5
【営業時間】9:00~16:30
【駐車場】あり(無料、30台)
【入館料】大人400円、小人150円
【休館日】月曜日(祝日の場合は開館)、年末年始(12月26日~1月2日)
【公式サイト】https://www.city.kosai.shizuoka.jp/kanko_bunka_sports/kankospot/9675.html
新居町駅から始まる中根金作の世界へ
JR新居町駅を起点に、約4kmの周遊コースで世界的造園家・中根金作氏の足跡を辿る旅を紹介しました。
歴史と自然が融合した美しい庭園や豊かな自然が点在する新居町は、訪れる人々の心を癒す街並みとなっています。
中根金作氏によって手がけられた作品の数々、そして季節ごとに異なる表情を見せる庭園の魅力を、ぜひ訪れて体感してみてください。