静かな場所で豊かなひとときを。小説「氷点」の舞台に佇む三浦綾子記念文学館
旭川市|【更新日】2025年4月21日

北海道旭川市が生んだ作家「三浦綾子」。生家の近くの森・見本林には、国内唯一の民営文学館の「三浦綾子記念文学館」があります。
数ある著書のうち、『氷点』は1964年に朝日新聞社の一千万円懸賞小説に当選し、鮮烈なデビューを果たした作品です。
『氷点』の舞台に佇む三浦綾子記念文学館と、三浦綾子氏の歴史についてご紹介しましょう。
目次
作家・三浦綾子氏の魅力を伝える三浦綾子記念文学館
旭川出身の作家・三浦綾子氏
三浦綾子氏は1922年4月25日に北海道旭川で生まれました。17歳で小学校教員になりましたが、太平洋戦争敗戦後に罪悪感と絶望を抱いて退職したそう。
間もなく肺結核と脊椎カリエスを併発し、13年間の闘病生活が始まります。その病床でキリスト教に目覚め、1952年に洗礼を受けました。
三浦文学は、三浦夫妻の歩みと足取りでもある
1964年、朝日新聞の一千万円懸賞小説に『氷点』が入選し、以後は旭川を拠点に作家活動していました。主な作品は、『塩狩峠』『道ありき』『天北原野』『銃口』など多数。
平易な言葉で小学生や中学生からでも読める小説として、出版当初から変わらず多くの年代の人に愛されています。
文学館のオープンの経緯とは?
空に向かって伸びるストローブ松が美しい!
1998年6月13日、旭川に三浦綾子記念文学館が開館しました。ファンの方々の想いが結集されて誕生した、市民による民営の文学館です。
三浦綾子氏の文学の仕事を称賛し、国内外に知らせたいという思いのもとつくられたそう。
館内には三浦綾子氏の人生をじっくりと辿れる展示室や、自由に作品を読むことができるライブラリーなどがあり、三浦文学の世界に没頭できます。
文学館のある見本林は小説の舞台
三浦綾子氏の代表作『氷点』の舞台として知られるのが、「外国樹種見本林」です。三浦綾子記念文学館は見本林の入り口に建てられています。
見本林では『氷点』の一文が書かれたプレートが点々と木々に飾られ、より一層三浦綾子氏の世界を感じられる雰囲気。
三浦綾子氏の本を読んだことがない人も、聡明で素直な文章が見本林の爽やかさと共に心に残ることでしょう。
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館内は三浦綾子文学一色の世界
三浦綾子氏と時代背景を綴る第一展示室〜第三展示室
三浦綾子記念文学館は、三浦綾子氏が生きた時代の背景を辿る展示室から始まります。じっくりと時間をかけて、一つひとつの解説を読んでみましょう。
年代ごとに起こった出来事が解説されており、三浦綾子氏の人となりを感じられる展示となっています。デビュー作『氷点』の完成・受賞、その後の執筆活動などの歴史にも触れられますよ。
夫婦二人三脚の執筆活動を追う第四展示室
口述筆記をする夫婦の写真が素敵!
2階の第四展示室では、三浦綾子氏と夫・光世氏の晩年の様子が展示されています。
『氷点』の入選後も執筆活動は続きましたが、手が痛むようになった綾子氏。そこで、綾子氏が話す言葉を光世氏が記録する「口述筆記」の方法をとり、夫婦二人三脚で作家人生を送りました。
最後はパーキンソン病を発症した綾子氏は、言葉を失う恐怖の中でも魂をふり絞り、2作の作品を執筆しています。
本館・ミュージアムショップでは文学館グッズを販売
可愛らしい子ども用の絵本はプレゼントにもぴったり
三浦綾子氏の駆け抜けるようなスピード感のある生涯を各展示室で十分に堪能したら、併設のミュージアムショップにも立ち寄ってみましょう。
ショップでは、三浦文学の文庫が数多く販売されています。思わず本を手に取る人が多いそうで、筆者も過去に何度となく購入しました。
文庫以外に、文学館オリジナルのマグカップやポストカード、お菓子なども販売されていますよ。
分館には三浦夫妻の執筆部屋とラウンジ
執筆部屋は当時のままの佇まい
息を呑むような静けさを感じられる空間
文学館本館の隣にある分館では、三浦夫妻が口述筆記をしていたお部屋が再現されています。まるで二人がそこに座っているかのような雰囲気を感じますね。
お部屋へ上がることはできませんが、撮影は可能ですよ。
カフェ「氷点ラウンジ」で森を見ながら一休み
優しい味わいのお汁粉でほっこり♪
分館にはラウンジカフェも併設されています。コーヒーや紅茶などのソフトドリンクのほか、お汁粉・オムライスなどの食事やスイーツもありますよ。
今回はお汁粉をいただくことに。優しい甘さの餡と焼いたお餅の香ばしさに癒されました。
氷点ラウンジには、名物の氷点ビールもありました。ブルーの瓶が凍てつく冬をイメージさせる、とても美しい見た目です。
地元旭川の地ビール「大雪地ビール」製造のもので、お土産にもぴったりですね。
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数々のイベントが開催されるイベントホール
朗読会や、中高生の文学賞の表彰式を開催
三浦綾子生誕100年を記念して作られた氷点BOX!
文学館では、中高生の弁論大会や朗読会、コンサートなどのイベントが多数開催されています。
文学館が長く継続していけるよう、「イベントを通して文学館を訪れた方々にも、三浦綾子氏に興味を持ってもらいたい」という思いがあるそうです。
2025年7月は戦後80年を偲ぶ「平和を願う集い」を開催
2025年7月には、戦後80年を偲ぶ「平和を願う集い」を開催予定です。
朗読劇団くるみの樹による三浦綾子作品の朗読劇、宮崎陽江さんによるバイオリンコンサート、広島・長崎の二重被爆者のお孫さんにあたる方からの家族証言講話などが予定されています。
7月8日から3日間にわたり開催されるため、ご興味のある方はぜひ足をお運びください。
静寂な時間の中で三浦文学に向き合ってみませんか?
歴史をたどりながら三浦文学の世界に没頭できる、三浦綾子記念文学館。ステキでおしゃれな文学館のあちこちには雪の結晶のモチーフがあり、小説『氷点』を思わせます。
凛とした雰囲気の見本林に佇む文学館を訪れ、聡明で透明感のある三浦文学に触れてみませんか?
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「三浦綾子記念文学館」へのアクセス
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【住所】旭川市神楽7条8-2-15
【アクセス】JR旭川駅から車で約3分、徒歩約15分
【営業時間】9:00〜17:00
【定休日】月曜日
【電話番号】0166-69-2626
【公式サイト】https://www.hyouten.com/
※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。