生産量の約9割は道内で消費!地元民に愛される栗山町の老舗酒蔵「小林酒造」
栗山町|【更新日】2025年3月27日

小林酒造は、明治11年に初代・小林米三郎が札幌で開業した造り酒屋です。明治33(1900)年に豊かな自然に恵まれた栗山町に移転し、今日まで町の発展に寄与してきました。
上質な酒造りには、よい米、よい水、匠の技術が不可欠。今回は小林酒造のご厚意で、酒蔵を案内していただきました。
目次
実証実験として冬期の蔵見学を開始
一般客立ち入り禁止の禁断ゾーンに潜入
小林酒造では、5月初〜9月末まで10名以上の団体を対象に蔵見学を実施しています。1週間前までに予約が必要で、参加料は無料(2025年2月現在)。
冬期間は酒造りを行っているため見学を休止していましたが、実証実験として10月〜4月末も一日10名限定で、蔵見学を行っています。
夏期同様、1週間前までの予約が必要です。酒造り中のため、実施できない日もあります。
歴史ある酒蔵で行われる昔ながらの酒仕込み
酒を運んでいたレールが残されている
西洋建築を取り入れたレンガ蔵の重厚な扉が開き、関係者以外立ち入り禁止の空間に踏み入れました。
「赤レンガ道庁」でも知られる通り、耐久性に優れるレンガは、北海道文化を支えてきました。
小林酒造では1万坪の敷地内に17棟もの蔵が点在。築100年蔵としては全国でも有数の規模を誇っています。
開拓の歴史を語る貴重な資料
レンガ造りのほかに、札幌軟石を用いた酒蔵があります。これは栗山に移転直後の明治33(1900)年に作られた最も古い酒蔵です。
現在の札幌市南区石山エリアから切り出された札幌軟石は、札幌石材馬車鉄道(札幌市電の前身)を経由して、夕張川を下って栗山に運ばれたと考えられています。
生産量の約9割を道内で消費
迷ったら全部飲んじゃえ!
小林酒造が栗山へ移転した理由は、酒造りに欠かせない燃料が入手できる夕張炭鉱が近くにあったことも大きな理由です。炭鉱景気などもあり、1967(昭和42)年には北海道最大の酒造メーカーになりました。
その後、炭鉱の閉山や日本酒離れ、新型コロナウイルスなどの影響を受けて生産量は減少。
現在は質の向上を重視して年間約148,000リットルを製造しています。
歴史は夜に作られる、日本酒は冬に作られる
主力商品「北の錦」には、「北の地で錦を飾る」という初代・小林米三郎の心意気が込められました。
原料米は北海道産米100%。酒造好適米として吟風・彗星・きたしずくを使用しています。
昭和30年代のタンクも現役バリバリ
日本酒の仕込みは、温度管理がしやすく、菌の繁殖がしにくい寒い時期に行われます。これを「寒造り」といいます。
蔵の中は夏場でも室温20度を超えることはありません。酒造りは麹菌や酵母菌、乳酸菌などの微生物の力を借りて行われます。
納豆菌は繁殖力が強く、酒造りに必要な米麹の大敵。見学する際は前日から納豆を食べないことを約束してください。
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旧社長宅を「守り人」がご案内
酒蔵と隣接して1897(明治30)年に建築された小林酒造の社長宅があります。2013(平成25)年まで実際に生活していましたが、現在は一般公開され、一部はカフェとしても利用できます。
また、1日4回(11月〜3月は3回)、小林家の「守りびと」による見学会(要予約・有料予約 小林家電話:0123-76-7228)が行われています。
北の錦資料館で時代をさかのぼる
敷地内にある北の錦資料館でタイムスリップ。1階は徳利や酒杯などを展示し、2階には造り酒屋の祝宴を再現したコーナーや終戦後にGHQが駐留し簡易裁判を行った応接間を再現しています。
展示総数はなんと約5,000点。見ごたえも十分です。
限定販売の大古酒を味わう
ブランデーのような味わい
売店では人気の銘柄のほかに、ここでしか買えない限定品を販売しています。
毎年バレンタインデーには、チョコレートに合う大古酒2本セット(全麹酒:2007年4月瓶詰・玄米酒:2006年4月瓶詰)を販売。アルコール度数17%な辛口のお酒で、「全麹酒はアイスクリームにかけると美味しく、玄米酒は熟成したチーズや、パンケーキとよく合います」と説明を受けました。
買って飲んでみると、辛さが際立つ洋酒のテイストでした。ビール党なので「これは飲み切れるかな?」と思いましたが、飲み進めるごとに複雑な味が理解でき、気が付いたら空瓶が転がっていました。
お気に入りの一本を自宅でじっくり味わおう
常時たくさんのお酒を試飲できるので、飲み比べて自分にあった一本を選ぶことができます。もちろん酒気帯び運転はご法度。試飲ができない場合は、スタッフにお好みを伝えてセレクトしてもらい、自宅で味わってください。
小林酒造へのアクセス
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【住所】北海道夕張郡栗山町錦3丁目109番地
【開館日】年中無休 (休業日:12月31日~1月3日、4月第三月曜日)
【開館時間】4月~10月 10:00~17:00 11月~3月 10:00~16:00
【お問い合わせ】記念館0123-76-9292
【公式サイト】http://www.kitanonishiki.com/
【アクセス】JR栗山駅より車で約5分(徒歩で約15分)
※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。