鎌倉の原風景に癒される穴場スポット。国指定重要文化財「一条恵観山荘」
鎌倉市|【更新日】2025年2月3日

鎌倉には鶴岡八幡宮をはじめとする貴重な文化財が数多く存在しますが、「一条恵観山荘(いちじょうえかんさんそう)」もその一つ。
およそ380年前の趣を残し、国の重要文化財に指定されたこの建物。神社仏閣とはまた異なる見どころや、おすすめの過ごし方をご紹介します。
目次
江戸初期の宮中文化を今に伝える「一条恵観山荘」
京都から枯山水もそのまま移築
茅葺屋根の外観は田舎家風
「一条恵観山荘」は、JR鎌倉駅からバスと徒歩で12分ほど。観光スポットが密集した鎌倉駅周辺から少し離れた場所なだけにぐっと落ち着きがあり、いわゆる“観光地・鎌倉”とは印象が異なります。
緑豊かな自然に囲まれたこの建物は、後陽成天皇の第九皇子で、摂政・関白を二度つとめた一条恵観(1605ー1672)が設計。時代は江戸時代初期、京都・西賀茂の里山に建てられた皇族の「茶屋」です。
素朴な趣を大切に設計されています
恵観の没後、時代を経て昭和34年に鎌倉へ移築。前庭の飛び石や枯山水も京都と全く同じ配置で復元されました。
同年代の建物としては、京都「桂離宮」や「修学院離宮」が有名。380年もの時が経ちながら、当時の建材が半分以上を占めていることから、建築関係者からも注目を浴びています。
建具の細部に宿る“雅な心”
鮮やかな色がまだ残る「杉戸絵」
建物内部は、指定日に事前予約制で公開。“雅な心”を大切に、こだわり抜かれた恵観の意匠を見学することができます。
茶屋は多くの文化人が集まり、お茶や歌、絵画など様々な芸事を楽しんだ場所。人形廻しの絵が施された杉戸は、当時の宮中文化を伝える貴重な資料です。
細部におもてなしの心が
作り付けの棚の戸には、赤と青の二色で雲のような模様が描かれています。
こちらは「ハレとケ(=特別な日と日常)」を表現しており、日によって戸の上下を入れ替えて来客を迎えていたとか。日本独特の文化が現れた粋な演出ですね。
訪れた人は皆魅了される、縁側からの風景
縁側からは、恵観が好んだ庭や雑木林の景色が一望できます。これぞ日本家屋といった情緒は、現代の私達にとってはもはや新鮮に感じられることも。
光が差し込む縁側で、聞こえてくるのは木々が揺れる音や小鳥のさえずりだけ。都会の喧騒から切り離されたひと時を、ぜひ一度は体験してみてください。
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四季の移ろいを感じる庭園を散策
目にも鮮やかな花手水
紫陽花の季節の花手水(提供写真)
建物内部の見学が叶わずとも、四季を通じて楽しめるよう美しく管理された庭園をゆったりと散策するだけでも癒し効果は抜群です。
園内に点在する「花手水(はなちょうず)」は見どころの一つ。お花が新しくなる度に訪れて、SNSに写真をアップするファンもいるほど。
茶室「時雨」の円窓
“己の心をうつす鏡”ともいわれる円窓
「一条恵観山荘」と向かい合う「仁居棟」には、美しい円窓を有する茶室「時雨」が。
同じ棟にはカフェもあり、四季折々の景色を眺めながら抹茶やスイーツをいただくことができます。(※1月~3月はお休み)
鎌倉の原風景を眺めるひととき
運が良ければカワセミに出会えるかも
庭園のすぐ隣には「滑川(なめりかわ)」が流れており、川底にどっしりと横たわる一枚岩がどこか神聖な雰囲気も。
「かまくら岩」の土をなめるように流れることが、川の名前の由来。人の手が加えられることなく、緑や生き物たちが生き生きとした自然はまさしく鎌倉の原風景と言えます。
紅葉の季節がベスト!
紅葉シーズンの庭園(提供写真)
取材時は冬で木々の葉が落ちていましたが、「一条恵観山荘」を訪れるベストタイミングは紅葉の季節。
この時期は、真っ赤に染まった庭園が多くの来場客で賑わいます。ぜひ短い秋の景色を堪能しに足を運んでみてくださいね。
自然が奏でる音に耳を澄まそう
庭園内には一休みできるベンチが点在しているため、読書を楽しみながらゆったりと過ごす方もいるんだとか。
自然の音に耳を傾け、五感を研ぎ澄ます…忙しい日々を頑張る方にこそおすすめしたい、鎌倉の穴場スポットです。
「一条恵観山荘」へのアクセス
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【住所】 神奈川県鎌倉市浄明寺5丁目1-10
【入園料】おとな・こども 500円
※未就学児の方はご入園いただけません。【開園時間】10:00~16:00(最終入園15:30)
【休園日】シーズンにより異なる
【駐車場】なし
【問い合わせ(電話番号)】0467-53-7900
【公式サイト】https://ekan-sanso.jp/
【公式Instagram】https://www.instagram.com/ekansanso/
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