自然の川も展示の一部!? 淡水魚の魅力がここに集結「サケのふるさと 千歳水族館」
千歳市|【更新日】2025年2月13日

北海道・千歳市は、北海道の空の玄関口として知られています。最近では国産での次世代半導体製造を目指すラピダスが建設されるなど、産業都市のイメージを色濃くしています。その一方で、千歳川にサケが遡上したり、支笏湖にヒメマスが生息するなど、たくさんの淡水魚が息づいています。
そんな魚たちに出会えるのが「サケのふるさと 千歳水族館」です。淡水としては日本最大級の水槽を有し、サケの仲間を中心に世界各地の淡水生物を観察することができます。
目次
サケと共に歩む千歳の歴史
北海道庁初代水産課長の伊藤氏がアメリカから設計図を持ち帰ったのが始まりとされています
市内を流れる千歳川では古くからインディアン水車によるサケの捕獲が行われています。水車の籠に鮭が入ると水力による回転で捕獲されます。遡上するサケの群れを捕獲する風景は、千歳の秋の風物詩として親しまれています。
千歳市は1980年に「サーモンパーク基本構想」を策定し、その中核施設として1994年に千歳サケのふるさと館をオープンしました。2015年に「サケのふるさと 千歳水族館」に改称してリニューアルオープン。2024年には開館30周年を迎えました。
四季折々のディスプレイが迎えてくれます
千歳水族館は、道の駅「サーモンパーク千歳」の敷地内にあります。地上2階、地下2階のフロアには、サケの仲間や北海道の淡水魚を中心に、世界各地の淡水生物が集められています。エントランスに足を踏み入れると、季節を感じるディスプレイが迎えてくれました。
まるで小宇宙! 北海道最大の淡水魚水槽が出迎える「サーモンゾーン」
稚魚から成魚へ、サケの成長過程を観察
サケの背中にご注目。小さなヒレを見つけてください
サーモンゾーンでは、サケの仲間が稚魚から幼魚、そして成魚へと成長する姿を見ることができます。スーパーなどで販売されているベニザケやギンザケだけでなく、塩焼きが美味しいニジマスやイワナもサケの仲間です。
サケ科の魚類は、いずれも背びれの後方に「あぶらびれ」という肉質の小さな扇状のヒレがあります。細かな点にも注目してください。
チョウザメに向かって「キャビア」と呼ぶのはヤメテ!
目の前に北海道最大の淡水魚水槽が現れました。深さ5m、水量約300トン、水圧を受け止めるアクリル板は厚さ約30cm。水槽の中にはサクラマスやギンザケ、ヨーロッパ原産のブラウントラウトなどサケの仲間のほか、巨大なチョウザメの仲間が悠々と泳いでいます。
水槽のアクリルの厚さは約30cm
ベンチの製作費は約400万円だそうです
このベンチは、水槽に使われているアクリル板で作られています。コレほどの厚みがあるのに透明度が保たれていることに驚きます。
幻と呼ばれなくなる日が訪れてほしいイトウ
イトウが「幻の魚」と呼ばれる理由が悲しすぎる
ドット柄が特徴的な魚は、日本最大の淡水魚「イトウ」です。体長は70〜100cm、信憑性は定かではありませんが、100年ほど前に2m15cmの個体が十勝川で捕獲されたとの記録が残されています。
大きく育つイトウですが、河川の改修工事によって河川が直線化され、産卵しやすい環境が激減。個体数が減り「幻の魚」と呼ばれています。北海道の各地ではイトウの個体を増やすために、さまざまな取り組みが行われています。
餌に群がる魚が幻想的な世界を見せる
午後3時に1日1回だけの大水槽餌やりタイムが始まります。上から餌を撒いているのは、バックヤードツアーに参加したお客さん。降り注ぐ餌が星のようで、宇宙空間に浮かんでいるような気分になりました。
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日本で2番目に深い湖を再現「支笏湖ゾーン」
支笏湖ゾーンは、直径7.2mの円柱に「支笏湖ブルー」と呼ばれる碧く美しい湖底を再現しています。支笏湖は田沢湖に次ぎ、日本で二番目に深い湖です。支笏湖にはヒメマス(北海道ではチップと呼ばれる)が生息しています。
支笏湖に生息するチップ(支笏湖チップ)は、1894(明治27)年に阿寒湖から移入したとされています。支笏湖は1年を通して水温が低いため、支笏湖チップは引き締まった身でとても美味。他の川魚の味とは別格です。
触れて楽しむ「体験ゾーン」
チョウザメと触れ合うドキドキ体験
全然痛くありません
体験ゾーンは、生き物たちに触れることができるエリアです。タッチプールの小さなチョウザメの口の前に指を差し出してみてください。餌と間違ってガブッと噛まれます。
チョウザメはサメではなく、チョウザメ科に分類される古代魚の一種です。歯がないので指が噛みちぎられることはありませんよ。
水族館の人気者「カイツブリ」にご挨拶
開放型展示では水鳥のカイツブリが泳いでいます。その名の由来は水を掻いてひょっこり頭を出すことから、「掻き頭潜り(カキツムグリ)」が転じたとも言われています。愛嬌をふりまく人気者です。
北海道の交通手段はレンタカーがおすすめ
国内水族館唯一の展示「アメリカミンク」は特定外来生物
好きで北海道に来たわけじゃないやい!
アメリカミンクは、1928年ごろに毛皮を衣服等に使う目的で日本にもちこまれ、北海道でも養殖されていましたが、逃げ出した個体が野生化して繁殖しました。
特定外来生物に指定され、本来の生態系に影響を及ぼすことが問題視されています。しかしミンクの現状は人間の身勝手によるものです。可愛らしい姿の裏に隠れた事情にも目を向けてみてください。
自然の川も水族館の一部「水中観察ゾーン」
秋にはサケの産卵を見ることができます
水中観察ゾーンは、千歳水族館最大の見どころと言っても過言ではありません。窓の向こうは自然の川です。春は海へ旅立つサケの稚魚、夏は産卵するウグイの仲間、秋にはサケの群れなど、野生の生き物たちが四季折々のドラマを見せてくれます。逞しく生きる姿に感動しますよ。
目からウロコが落ちる「なるほど!?サーモンルーム」
2階の「なるほど!?サーモンルーム」もお見逃しなく。ここではアイヌ文化やふ化事業を含むサケ漁の歴史などを紹介しています。「サケと千歳空港の始まり」など、目からウロコが出るような情報を得ることができます。
自虐が冴える「ミュージアムショップ・チャム」
千歳水族館に展示していない生物のグッズもたくさんあります
ミュージアムショップ「チャム」では、シンボルフィッシュとなっているサケや淡水魚をモチーフとした商品など、他の水族館ではあまり扱われない品々が充実しています。公式ホームページによると、オリジナルグッズも「それなりに」取りそろえているそうです。
「とてもコンパクトで、入るのには勇気がいる」など、自虐ネタも冴えています。楽しい思い出をグッズに込めて帰ってくださいね。
北海道最大の淡水魚水族館にはワクワクがいっぱい
千歳水族館は、「水族館は海の生き物を展示しているところ」というイメージを覆す水族館です。身近にある川には、どのような生き物が息づいているのか、それらを守り共生するために人は何をすべきか。環境についても考えさせてくれます。季節に応じたディスプレイも楽しいので、ぜひ訪れてみてください。
千歳水族館へのアクセス
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【所在地】北海道千歳市花園2丁目312
【アクセス】新千歳空港から車で約15分、JR千歳駅から徒歩約15分
【電話番号】0123-42-3001
【開館時間】通常9:00~17:00 冬季時短営業10:00~16:00
【休館日】年末年始(12月29日~翌年1月1日)※そのほかメンテナンス休館日あり
【公式サイト】https://chitose-aq.jp/
※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。