名映画監督の生涯を覗き見る。「木下惠介記念館」の展示作品に注目
浜松市|【更新日】2024年12月24日

浜松市出身の映画監督・木下惠介の偉業を顕彰する施設「木下惠介記念館」。
ここでは、木下惠介の生涯を垣間見ることができ、名監督になるまでの歴史を生い立ちから知ることができます。
今回は、「木下惠介記念館」を取材してきました。有形文化財にも登録されている建物にも注目です。
※通常、館内や作品は撮影不可となっています。今回は特別に許可をいただいて撮影を行なっています。
目次
木下惠介記念館とは?
空襲でも焼け残った希望の建築
幾度とない空襲にも耐えた鉄筋コンクリートの建物
「木下惠介記念館」は、浜松市出身の映画監督・木下惠介の偉業を顕彰し、新しい時代へと受け継ぐために2001年に浜松市により設立され、2009年に浜松市指定有形文化財「旧浜松銀行協会」内に移転されました。
この建物は、当時では珍しい鉄筋コンクリート。空襲でも焼け残っていたことで、当時の人々に勇気を与えていたそうです。
旧浜松銀行協会内には、木下惠介に関する資料の展示の他、設計者の中村與資平を紹介する資料室があります。
館内のガラスや壁にも注目
当時の高い技術力により作られたデザインの数々
書棚やキャビネット家具、丸卓、花台など、旧浜松銀行内にある家具は、日本楽器製造株式会社製で、格調・気品が高く、現在では手に入りにくい貴重な木材で重厚な作りになっています。
玄関上部にあるステンドグラスは、県内最古のもので、27回もの空襲を耐え抜いた貴重な文化遺産。円と直線を組み合わせた幾何学模様のステンドグラスは、モダンな雰囲気です。
また、漆喰壁にある5本の句の字型の繰り返し模様は、熟練した職人集団によって仕上げられたもの。当時の技術の高さがうかがえるデザインとなっています。
2つに分かれた展示室
木下惠介の実際のコレクションが並べられています
木下惠介記念館には、木下惠介が映画監督になるまでの生い立ちや思考、ゆかりの品を見たりできる展示室1と、映画作品や受賞歴を知ることのできる展示室2があります。
特に注目したいのが、展示室1にある机や本棚、ソファ、サイドテーブルなどの展示。これらは実際に使われていたもので、書籍は監督の蔵書から展示しているそうです。
中には、脚本執筆の調査のためと思われる書籍も並び、その貴重さがうかがえます。
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日本を代表する映画監督・木下惠介の功績
残した映画作品は全49本
ほとんどの作品の作曲を実弟・木下忠司が担当したそう
木下惠介がこの世に残した映画作品は全49作品。展示室2では、これらの映画作品のポスターや撮影風景の写真、受賞トロフィーなどが展示されています。
また、キャプションには撮影時のエピソードや制作スタッフ、キャストについての記録も記されています。
受賞実績のある作品が多数
数多くの作品でトロフィーなどを受賞しています
展示室2の中央には、木下惠介が受賞した賞状やトロフィーが展示されており、大変多くの賞を受賞していたことがわかります。
木下惠介は、最後は中国との合作映画を作りたいと奮闘したそうですが、国交がなく実現ができなかったとのこと。彼が作りたかった作品『戦場の固き約束』は、「幻の50作目」ともいわれています。
木下惠介の生涯についても展示
映画監督になるまでのストーリーは必見
事細かに記された生い立ちボードは必見です
木下惠介は、浜松市で漬物屋を営む裕福な家庭に生まれ、少年時代から街中の映画館を巡るほど熱心な映画ファンでした。このことから高校卒業後は映画監督を目指したそうです。
映画監督を志すようになったきっかけや、名映画監督になるまでのストーリーが事細かに描かれており、家出をした過去や潔癖症である工業学校時代のエピソードなど、非常に充実した展示内容となっています。
愛煙家でおしゃれな木下惠介のこだわりにも注目
ヨーロッパへの遊学が旅行好きになったきっかけだそう
木下惠介は旅行が好きで、まだ海外旅行が主流でない戦後の時代から、世界中の数多くの国に足を運びました。
パリで西洋文化に触れて以降は、洋服や外見のおしゃれに対する興味が顕著になり、撮影時のスタッフの通勤服に、背広やネクタイなどといったきちんとした身だしなみを要求されたそうです。
また、愛煙家としても知られている木下は、海外旅行の度に各国の特色ある灰皿を探していたそうで、そのコレクションも展示されています。
名映画監督の生涯を知ることができる「木下惠介記念館」へ
浜松出身の名映画監督・木下惠介について、広く知ることのできる「木下惠介記念館」について紹介しました。木下惠介が残した49の映画作品とともに、ぜひチェックしてみてくださいね。
※展示の様子は、2024年11月の取材当時のものです。
「木下惠介記念館」へのアクセス
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【住所】静岡県浜松市中央区栄町3-1
【アクセス】浜松駅から徒歩15分、浜松IC浜松西ICより約30分
【問い合わせ(電話番号)】053-457-3450
【営業時間】9:00~17:00
【休園日】休館日 12月29日〜1月3日・メンテナンス休館日
【駐車場】なし
【公式サイト】https://keisukemuseum.org/
※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご覧ください。